専務取締役杜氏の純米酒ブログ

期せずして杜氏になってしまった造り酒屋後継ぎの純米蔵奮闘記

男泣き

私の曾じいさんは、今から20年以上前に亡くなりました。まだ大学生だった私は、どうしても抜けられない実験科目を受けてから駒ヶ根に帰らなくっちゃならなかったもんだから、結局曾じいさんの臨終には間に合いませんでした。あまり後悔っていう事をしない私の、数少ない大後悔です。

明治生まれの、造り酒屋としてはいい時代を生きた、昔気質の商人でしたね。今会えたのなら、いくらでも話をしたいことがあるのに、もうちょっと生きててくれたらなぁと、かなわぬ夢のようなことを考えることもあります。

いくら可愛い曾孫とはいえ、子供のしつけは厳しかったように記憶しています。親の言うことは聞くもの、長男は家を継ぐもの、人前では行儀を良くするもの・・・こんなことは説明するまでもなく、当たり前のこととして私たちの間に流れていた空気でした。よく説教も喰らいましたね。

そんな曾じいさんの葬式には、この地方の数多くのお歴々が参列していたんだと思います。今だったら、どういった人たちが見えてくれていたのか分かるかと思いますが、大学生の私にはどんな肩書きの人たちなのかは皆目見当がつきませんでした。

式が進んで、弔辞の場面になりました。ひとりのご老人が前に出て、何も見ずに遺影に向かってとつとつとしゃべり始めます。しかし、次第に声はかすれ、何を言っているのかわからなくなり、おろおろと曾じいさんの名前を泣きながら語り掛けるばかり。

同じ時代を生きてきた盟友だったのでしょう。平和な時代も激動の戦渦もくぐりぬけ、日本の、そしてこの地域の経済発展の歴史を共に作り上げてきた間柄だったはずです。年寄りだから涙もろかったのでしょうか。いや、そこには2人にしか分からない真実があるからこそ、大勢の人の目も気にせずに涙していたはずです。

私は、その姿を見て思いました。それが男として、公を背負って、歴史を背負って、真実を背負って流す涙であるのなら、たとえ人前であろうとも、これっぽっちも恥ずかしいものじゃないと・・・。こんなに素晴らしい友情に包まれて死ねるのならば本望だと・・・。

そのご老人の名前はacbさん。駒ヶ根市の初代の市長であり、この地域の発展のために生涯をかけた大人物でした。私は彼と曾じいさんとの関係については良く知りません。ただ、葬式で涙を流して遺影に語り掛けるという事実だけで、全ては語られています。

もうお分かりですね。彼は、私の天敵のacbさんの祖父に当たる方です。そして、初代市長の後を継ぎ、駒ヶ根市の2代目の市長になったのが、私の曾じいさんの弟だったんです。腐れ縁なんだよなぁ、きっと。

曾じいさんたちみたいに、駒ヶ根経済の発展のために尽力して、acbさんと肩を並べるような経営者になることは私には出来そうもありませんが、まだまだ先は長いですからねぇ、どうなるか分かりませんよ。

こんな酒造り生活を続けていれば、私はそんなに長生きじゃないだろうから、たぶんacbさんより前に死ぬはずです。そして、acbさんは私の葬式で弔辞を読んで、オイオイと泣いてくれるはずです。「あんときゃ俺が悪かった。酒の売り方も、宣伝の仕方も、レッテルのデザインも、全て岳志の言う通りにやっときゃよかった。ああー許してくれー」ってね・・・(笑笑笑笑笑)。


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コメント

 岳志さん こんにちは
結構効いたみたいですねぇ・・・ふふふ
2日も続けて挑戦的になっているとはねぇ
仮にもランキング1位の杜氏どのにそこまで言われたんじゃ挑発に乗らないわけにはいかないっていうことでしょうか?
サンセールさんにパロディ?なんていわれちゃっていますがね。
まあ 何を言っても・・・・って言うところはあるのでしょうが・・・ この続きは今日書くであろうブログにて・・・って言うことでしょうかね。
それにしてもファンが多いねぇ

  • 2008/05/31(土) 11:35:58 |
  • URL |
  • acb #-
  • [ 編集 ]

ついに

曾じいさんまで登場ですね。ただ、今飲んでいないお客さんに「信濃筒」を伝える義務はあります。それは一生懸命美山錦をつくり、酒を醸し、これまで支え続けてきた地元の人たちへのお返しではないかと思います。

  • 2008/05/31(土) 15:47:13 |
  • URL |
  • ヨコハマ #-
  • [ 編集 ]

>>acb師匠

acbさんにこれだけお相手願えているだけでも、私は幸せですよ(笑)。
でも、相手がacbさんじゃなきゃ、こんなにカチンともこないし、こんなに一生懸命に説明しようとは思わないでしょう。
サンセールさんをはじめ、全国のいろんな読者の皆さんが私たちの激論を固唾を飲んで見守っているかもしれません(笑)。
いろんな人たちの意見をコメントしてもらえて、やっぱり考えさせられるし、とてもうれしく思いました。
サンセールさんのパロディもさすがでしたが、彼がどれほど頑固な男なのか私は知っています(笑)。
そして、acbさんだって実は結構頑固じゃないかと思い始めてるんですけどねぇ・・・。

  • 2008/05/31(土) 18:33:46 |
  • URL |
  • 岳志 #-
  • [ 編集 ]

>>ついに

こいつは、いつか書こうと思っていた記事でした。
信濃鶴を多くの人に対して広めていくのは、専務の大きな仕事だと思います。
ラベルの件も、販売方針も、製造方針も私が考えなくっちゃならない大仕事でしょうね。
ただ、acbさんやヨコハマさんや全国の読者の皆さんにこれだけ意見をもらえるんですから、とても心強く感じていますし、皆さんの気持ちを無駄にしちゃいけないって思います。
そして、何よりも地元の人たちの声無き声にも答えていかなくっちゃならないですよね。

  • 2008/05/31(土) 18:39:48 |
  • URL |
  • 岳志 #-
  • [ 編集 ]

そりゃね。

 岳志さん 今頃気付いたんですか?
なんたって このブログの開設まで3ヶ月はねばりましたからね。
ただで出来ることもやらないで!って・・・
最後にはほぼ毎日電話でしたから・・・
でもね ブログに書いたように そうさせる体験があるんですよ。
早く 気付いておくんなせぇな ・・・ ふふ

  • 2008/05/31(土) 22:14:06 |
  • URL |
  • acb #-
  • [ 編集 ]

ここの無料スペースお借りします

acbさんへ。
今回はやたらと粘着してますねー(笑)。きっとお二人の間には、私達第三者には分からない経営上の深いテーマがあるんでしょうね。まあ、何たって相手は石頭の酒造り職人ですから、そう簡単に言う事は聞きますまい(爆笑)。

もし『長生社のカイゼン』がテーマでしたら、矛先を変えた方が近道かも知れませんよ。なんたって酒の品質そのものは全国的に見ても高水準ですから、そっちの方は今後も石頭に切磋琢磨していただくとして(超爆笑)、経営に参画してもらう為にも某女史を担ぎ上げたらどうなんでしょうか?

その辺の事情は全く知りませんので、来月は調査の意味も含めて行かせていただきましょう。

  • 2008/05/31(土) 23:54:56 |
  • URL |
  • サンセール #-
  • [ 編集 ]

>>そりゃね。

うんうん、acbさんのブログの体験記事はとても面白かったですよ、マジで!!!
トヨタでの経験なんて、どっかの大社長の著書とか、テレビのノンフィクション番組みたいでとってもリアルでした。
その裏付けはとっても大きいですね。
私には、そんなカッコいい(カッコ悪い?)経験がありません(笑)。
あんなことを披露されちゃうと、わたしゃ不利ですねぇ・・・。
でも、私はacbさんやその他の皆さんの意見に耳を貸さないなんていうことは、決してありませんからね!
ちょっと真剣に考えてみますよ・・・。

  • 2008/06/01(日) 10:37:00 |
  • URL |
  • 岳志 #-
  • [ 編集 ]

>>ここの無料スペースお借りします

石頭で悪うござんしたね!!!(笑笑笑)
acbさんも頑固で引くってぇ事をしないし、サンセールさんは私の記事をパロって、結局自分の頑固ぶりをぶちまけてるし・・・。
もしかして、ブロガーって頑固野郎が多いのかな?(笑)
そうは簡単に自分の意志は曲げないつもりですが、皆さんのご意見はしっかりと聞いて、真剣に考えるつもりです。
それにしても、いったい某女史って誰だぁ???
駒ヶ根にお越しになったときに会える人なんですか?
女房?えっちゃん?・・・それとも娘?(笑笑笑)。
駒ヶ根じゃぁ、みんなサンセールさんとトーコ夫婦のことを待ちわびてますからね!
acbさんにも会いたいでしょうから、ご招待しなくっちゃね!

  • 2008/06/01(日) 10:51:59 |
  • URL |
  • 岳志 #-
  • [ 編集 ]

愛されてるんですね♪

ここ2日間ほどの、acbさんとのブログ上でのやり取り。。。。
ハラハラ、ドキドキしながら拝見してました。

頑固やなァ〜 岳志さん・・・
うちの旦那も頑固ですが、岳志さんはそれを上回るかな?

うちなんて、女の分際でバンバン意見を言うし、旦那をチンチンにさせる事なんて日常茶飯事だし、、、、大変だと思うんですよ。旦那は。。。

でもね、私も元坂酒造の看板しょって生きてるつもりなので、意見は
諄いくらい言います。
殴られよーが、投げ飛ばされよーが。。。。伝えたい事だけは言う
(実際に旦那は、絶対に手は出しません・・・ガンジーのような人です)


きっとね、とても五月蝿い女房だと思うんだけどね。
まぁ、それでも22年間という月日を過ごした訳ですよ。
最近は、二人の考え方が添うようになってきましたよ。
やっとって感じですね。 嵐のような日々でしたから・・・・笑

追記

愛されてるんですね♪
ってのは、岳志さんが地元のみなさんから、、、、って事です。
念のため。。。

>>愛されてるんですね♪

ハラハラ、ドキドキでしたか・・・そりゃ、良かった。
たまにはいつもとは違う緊張感が無くっちゃね(笑)。
女房にしても、acbさんにしても、周りの友人達にしても、ブログ仲間にしても、一般の人とは比べ物にならないくらいの親近感を持って、私に一言くれているわけですから、ありがたいもんです。
あの旦那も頑固そうだなぁ(笑)。
あのキャラと互角にやりあうトーコさんもそーとーなもんじゃないかっていうのは、容易に想像できます(笑)。
今度お会いすれば、全てが白日の下にさらされるでしょう。

  • 2008/06/01(日) 22:58:28 |
  • URL |
  • 岳志 #-
  • [ 編集 ]

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