専務取締役杜氏の純米酒ブログ

期せずして杜氏になっちまった造り酒屋後継ぎの純米蔵奮闘記

おり引き

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先週、純米大吟醸のもろみを搾りましたっていう記事を書きましたが、今日はその時に搾ったお酒の『おり引き』という作業をしました。

お酒のもろみは通常は専用の圧搾機で搾ります。機械で搾るとお酒と酒粕はかなり完全な形で分離できるんですが、先週の記事に付けた写真にあるように、酒袋と呼ばれる小さな袋に少量ずつもろみを入れて搾る昔ながらのやり方で搾ると、少量ですが酒粕の部分がお酒の中に混ざって出てきちゃうんですよね。

じゃぁ、なんでそんなにうまく搾れない様な昔ながらの方法でやるんでしょうか。それも、純米大吟醸のような特殊なお酒を・・・それは、もろみに圧力をかけないで、したたり落ちてくるお酒だけを集めようとするからなんです。そういう融通のきくやり方は、機械じゃ出来ないんです。

そんなやり方で搾ったお酒は、搾った時に混入した『おり』が1週間もすると沈殿してくるので、そのおりを取り除くための作業をするわけです。この分離作業をしておかないと、酒質が悪くなってしまって、各種の品評会に出品するわけにいかなくなっちまう、とても大切な作業なんです。

実際にどういうことをするのかってぇと、お酒の入ったビンの口からそっとチューブを差し込んで、サイフォンの原理で吸い出しをかけるんです。底に沈んでいるおりを吸わないようにきれいなお酒を上の方から出していって、おりだけを底に残すわけです。

大抵のお蔵さんでは、出品に使うような吟醸酒くらいはこういった作業をなさっていると思います。ところが、我が社にはちょっと人には言えない特殊事情があって、このおり引きの作業は結構大変なんです・・・言ってますけど・・・(笑)。

どういう事情かってぇと、普通そういった特別なやり方で搾るお酒は、一斗(いっと)ビンと呼ばれるような大きなビンに採っておくんです。一斗ビンっていうのは一升ビン10本分の大きさのビンです。ですから、おり引きの作業も一度に18リッター分をこなすことができるわけです。

この大きなビンが我が社にはないんですよねぇ・・・(涙)。ですからお酒を搾る時にも一升ビンでチマチマ採っていくわけです。そして、チマチマ採った一升ビンから、またチマチマとおり引き作業をしなくてはなりません。事情が分かった同業者の皆さんが見れば、「ご苦労なこって」と思われるでしょうねぇ(笑)。

写真でご覧になればお分かりのように、上の段にお酒の入ったビンを並べて、下の段に空のビンを置いておいて吸い出しをかけます。ビンの向こう側から電球で照らしてお酒のにごり具合を確認します。手前に縦に並んでいるのは、きれいに洗った空のビンです。逆さまに立ててあるので、底が光って見えています。

朝から夕方までかけて150本くらいおり引きしましたよ。結構神経も使いますからくたびれますが、皆さんに美味しいと言ってもらえることを想像すれば、飽きるってぇことはありませんでしたね。私も忍耐強くなったもんだと再発見した次第(笑)。


□□□ ご苦労様でした! □□□
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コメント

手間♪

はぁ〜〜〜〜…、コリャますます鶴をいただくときに感謝しながらいただかなければいけません。
ご苦労を知るたびに、美味しさが増すような気がします (*^_^*)。
是非、同業者さん達のご意見も聞きたいですね。
それにしても、こんなご苦労があるなんて…感謝感謝です。

>>手間♪

苦労話をして、信濃鶴を美味しく感じてもらえるんなら、もっといろいろしなくっちゃなりませんね(笑)。
蔵の中の仕事は、あまり他では見かけないようなものもいろいろとありますから、少しずつご紹介することにしましょう。
しかし、どんな仕事にも苦労はあるはずなので、逆にisuzuさんの苦労話も、一般人には分からない面白い話があるんじゃないんですか?
今の私の一番の苦労は・・・このブログだったりして(笑笑笑)。

  • 2008/03/16(日) 17:53:27 |
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  • 岳志 #-
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