
ようやく搾れましたでぇ。今年の新酒でございます。お待たせいたしました。
いやー、仕込んでからの日数が予想外にかかってしまって、これまでヤキモキしてたんです。予定だったら今ごろ既に3本目くらいのもろみを搾っているはずだったのに、とんだ番狂わせでしたよ(汗)。
今期初の『上槽(じょうそう:もろみを搾ってお酒を粕と分離する作業)』ということになりますが、今年の出来を占う記念すべき1本目の上槽なので、少しドキドキしながら味わってみます。まず、鼻に近づけて香りをかいで、ほんの少しだけ口に含んで舌の上で転がすようにして味や香りをみます。
まあまあ・・・ですかね。最初の1本目っていうのは、その年の美山錦にも慣れてないし、作業が初めてなこともあってうまくいかなかったり、もろみに多少無理をさせたりするので思い通りにいかないこともあるんですよ。毎日もろみの味をみながら上槽の時期を待ちました。
ましてや今年は、注文まで取って搾りたてを皆さんに味わってもらおうなんていう企画が持ち上がりましたから、失敗しちゃぁイカンと結構ビビりながら1号もろみの経過を観察してました。1号の酒に納得がいかなかったら2号のもろみを搾ろうか・・・とかいろいろと考えてたんですよ、これでも(笑)。
ここだけの話ですけどね、仕込んだ直後に米が溶け過ぎちゃって、酵母がそれをアルコールに発酵させるのに手間取って、もろみ日数が延びちゃったんですよ。こりゃ、味に影響するかなぁなんて心配してたんですが、もろみの終盤になって角が取れてバランス良くなってきたんで、ホッとしましたね。
多少の紆余曲折はありましたが、それでもうちの酒はうちの酒だぁね。良くしたもんだよ、信濃鶴の味がしてるもん(笑)。その土地の水で育った酒米を、その土地の水で酒にしてやるという一線を守って、私をはじめとした長生社の蔵人が、この蔵で酒造りをすれば、どーやったって信濃鶴になるんですよね。ここでしか造れない酒ですよ。
これもあんまりしたくない話ですが、今年の美山錦の出来はそれほど良くありません。収量は2割以上少ないみたいですし、天候不良が悪い方に作用したのか、粒が小さくて胴割れした米が多いという分析結果らしいですし、私もそれは実感してます。
それじゃぁ、別の米を使うのかいっていう話ですが、一旦決めたからには簡単には動きませんよ。それでもやるんです。その年の米がそういうことであれば、その年の酒がそれに見合ったものになるのは当たり前です。それがその年の酒なんだし、結婚する覚悟を決めたからには最後まで寄り添わなくてはなりません。大丈夫、ちゃんと信濃鶴になりますから。
これからは、一晩じゅうもろみを搾る機械の音がするようになります。夜と朝に見回る場所が増えました。来年の春までずっと上槽の作業は続きます。ようやく1本目に手がついたところかと思うとめまいがしますが、残りの39本も手を抜かずにいきまっせ!
搾りたて新酒のご注文をいただいた皆さんは25日頃発送予定です。鶴のように首を長くしてお待ちくださいね(笑)。
□□□ 今日はちょっと内輪話をし過ぎましたかね □□□
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