
最近、全く蔵と関係のないような記事ばかりでしたね(汗)。そりゃぁそれで面白いんですが、造り期間中は蔵の中の事を皆さんにお伝えしていくのもこのブログの大きな使命ですから、今日は造り酒屋ならではの話題をお届けしましょう。
酒蔵では2種類の生き物を飼っているっていうお話は以前しましたよね。ひとつは『酵母菌』、もうひとつが『麹菌』です。何となく同じような名前のものですが、全く別物ですからね。酵母菌は目も耳も口もない細胞1個がふわふわと動き回っているような微生物です。麹菌はひとことで言っちゃえばカビです。
こんな乱暴な言い方はしちゃいけないかもしれませんが、酵母菌は動物で麹菌は植物っていうような印象でしょうかね。もっと言うと酵母菌が『動』で麹菌が『静』とでも表現していいかなぁ。酵母菌はもろみで泡が立ったり、タンクの中で自ら反転したりして、私たちが見ててもすぐに分かる動きがあるんですが、麹菌は蒸米の周りに徐々に白い菌糸が生えてくるだけで、動きっていうもの自体はないんですよね。
さて、そんな2種類の生き物ですが、両方ともその出発点はいったいどんな形のものなんでしょうか。酵母菌に関しては少し前に泡無し酵母なんかの記事も集中しましたから、その中でも出てきたと思いますが、我々が利用するのと基本的に同じ形のものが出発点です。
どういうことかってぇと、もろみっていうのは大量の酵母菌が繁殖している乳白色のドロドロした液体なわけですが、我々が買ってくる酵母菌は、ほんの少量の酵母菌がアンプルに入った形で私たちの手元に届きます。ですから、小さな容器の中に乳白色の液体が入っているような感じです。そいつを徐々に増やしていって、大きなタンク一杯のもろみになるわけです。
ところが、麹菌はそういうわけにはいかないんです。先ほども植物だなんて書きましたが、麹菌の場合は同じ物を増殖させるんじゃなくて、種をまいて育てるんですよね。ですから麹菌の出発点は麹菌の種である胞子であって、それを蒸米の上に撒くことから始まります。それが上の写真です。
どんな状態か分かりづらいかもしれませんが、お米の上に緑色のカビがびっしり生えているって見ていただければ結構です。そのカビも成長し切っちゃって、周りに胞子をたくさん付けています。私たちの日常生活の中で、カビっていうのはあまり歓迎されるもんじゃなくて、見つかるとすぐに廃棄されてしまうので、その熟れの果てって言うのはあまり目にすることはありませんが、きっと写真のような状態になるんでしょうね。
そして、その胞子こそが私たち造り酒屋にとって必要なもので、これが麹菌の出発点になる種なわけです。写真のような状態で購入しますが、これを我々は『種麹(たねこうじ)』とか『もやし』と呼んでいます。何でそういう名前なのかはよく分かんないんですけどね(汗)。
これを何か容器に入れて、ガサガサッと振れば、モワッと胞子が空中に舞い上がります。息でも吹きかければ、どこかへ飛んでいってしまいます。細かなメッシュの付いた専用の容器か、ガーゼのような布に包んで蒸米の上から降りかけると、種付けが完了します。二日二晩かけて、使用可能な『麹』の出来上がりとなるわけです。
とにかく、あらゆる点で麹の出来不出来が、お酒の良し悪しに影響を与えますから、酒造りの工程の中で、麹造りは最重要な仕事という位置付けになります。私も毎日この麹造りに命をかけてるんですよ。
□□□ 今日の記事は明日の記事の前振りなんです(?) □□□
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