専務取締役杜氏の純米酒ブログ

期せずして杜氏になっちまった造り酒屋後継ぎの純米蔵奮闘記

泡無し酵母(つづき)

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お酒を造ってくれる酵母菌にはたくさんの種類がありますが、ひとつの分類の仕方として、増殖や発酵の過程において泡を形成するものと、泡の出ないものがあるというお話を昨日しました。昨日の記事に貼り付けてある写真は、『泡無し酵母』の『酒母』での様子でしたが、今日の写真は『もろみ』での様子です。

毎度うまく撮影できてなくて申し訳ないんですけど、こちらの写真では『もろみ』の表面に少し泡が立っているのがお分かりいただけますか?『酒母』ほど泡が立っていませんが、それでも全く泡が出ないわけじゃぁないんです。泡の出ている期間なんて初期の1週間程度ですが、こんなの全く出てないと言ってもいいくらいのものなんですよ。

昨日のコメントにもいただきましたが、「これが『泡無し酵母』なら、んじゃ『泡有り酵母』だったらいったいどーなっちゃうの?」ってぇ話になりますわな。どうなると思いますか?タンクからあふれちゃうほど泡が出るんでしょうか?答えは・・・その通り。ほっときゃあふれちゃうんですよ、本当に(笑)。

私が蔵に入った20年ほど前には、我が社も旧来の『泡有り酵母』を使っていました。通常、タンクの中には、タンク総量の7割分くらいのもろみを入れて発酵させます。余裕は3割分あるわけですが、泡が最高に出る時期にはそんなのじゃ全然間に合わなくて、『泡傘(あわがさ)』という、タンクのふちをかさ上げするための補助器具を付けて、更にその上に『泡消し機』という泡を消すための機械を付けてました。

『泡消し機』はモーターで金属製のホウキのような物を回して、泡をかき消していくような機械でしたが、数日間は24時間回りっぱなしで動いてました。その昔には蔵人が一晩中寝ずの番をして、泡を消していたといいます。ご苦労なこってす。そして、泡が低くなった後は、使った『泡傘』なんかを洗うんですが、もろみの泡が乾いてこびりついちゃって、洗うのにとても苦労したのを覚えてます。

ですから、もし泡が立たなかったらスゲー楽なわけですよ。それに同じタンクで仕込めるもろみの量も増やすことが出来るので、経済的に仕込み計画を立てることもできるわけです。杜氏さんの中には新しく開発された『泡無し酵母』を使うことに抵抗のある方もいたでしょうが、我が社では徐々に泡無しの方向になっていきました。今では、ほとんどが『泡無し酵母』になっています。

昨日も書きましたが、もろみの健康状態を把握するのに、目に見える泡の様子っていうのは、非常に的確なバロメータになるわけです。昔から泡の状態を見て、そのもろみの発酵の具合を判断していた杜氏さんたちにとっては、泡が立たなくなったんじゃ安心感がないんじゃないですかね。泡無しを嫌う杜氏さんもたくさんいらっしゃいますよ。

それじゃぁ、『泡有り酵母』と『泡無し酵母』はどこが違うんでしょうか。味も違うんでしょうか。その辺はまた明日。


□□□ 結局同じネタで引っ張るなぁ(笑) □□□
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コメント

おはようございます

そう言うことだったんですか〜〜(笑)
泡有りだと噴きこぼれちゃうくらい泡が出るものなんですね〜〜

お手入れ簡単、管理も簡単と来れば言う事なしですね。
どちらも美味しいって書いてありましたが、出来上がった酒の味は変わらないんですか?

  • 2007/11/29(木) 07:11:59 |
  • URL |
  • タッキー #-
  • [ 編集 ]

大変

今は機械が有りますが昔は皆人が作業してたんですものね
それこそ寝る間も無く攪拌してたんですね

御社は山廃は造らないんですか?

  • 2007/11/29(木) 15:55:43 |
  • URL |
  • 蕎麦屋のオヤジ #-
  • [ 編集 ]

>>おはようございます

ええ、そりゃもう想像を絶する泡の量でっせぇ(笑)。
最盛期にはちょっとくらい泡をかき消したって、見る見るうちにまた泡が盛り上がってきますよ。
確かに全ての作業は手がかからなくなりますが、味が全く変わらないかって言うと、そうとも言い切れないかもしれません。
その辺はまたつづきで書きましょうかね。

  • 2007/11/29(木) 17:54:03 |
  • URL |
  • 岳志 #-
  • [ 編集 ]

>>大変

この泡消し作業ばかりではなく、麹の手入れやもろみの圧搾の作業なんかも、夜中に起きだしてやったみたいですよ。
今じゃそんなことするのなんて、労働基準法でダメとか言われそうですけど(そんな事ないか)。
山廃は全くやっていません。
とーこさんの酒蔵では山廃が得意みたいですね。
私は1度も山ハイを造ったことがないので、恐くて出来ないっていうのが正直なところです。

  • 2007/11/29(木) 18:02:26 |
  • URL |
  • 岳志 #-
  • [ 編集 ]

どっちでもいいけど

随分と昔に某蔵元に見学に行った時に、仕込みタンクの上に泡を飛ば
す為の扇風機のお化けのようなものが取り付けてあって、妙に違和感
を覚えました。

あくまでも素人のイメージですが、701号とか1001号とか、01とつく
泡無しだと泡がブクブクと立たない分、人為的な作業をしないで済む
のでモロミにも蔵人にもストレスがかからないで、より自然にそして
安定した発酵が進みそうな感じがしますね。

それに折角のフルーティーでいい香りも、泡と一緒に飛ばさないで出
来た酒の中に封じ込められそうな感じもします。もちろん実際のとこ
ろは全く分からないので、次のブログが楽しみです。

ある蔵元では、元気のいい酵母を使えばカイ入れの必要は無く、何も
しない方が良い酒が出来るとして一切行わないところもあります。
この辺が『酒屋万流』と言われる所以ですね。

つう訳で、一消費者としての私には出来た酒そのものに強い関心はあ
るけど、泡が出てアワアワとアワてふためいたり、泡が出なくて「バ
ブルの時代は良かったなー。」と、酒が良く売れた時代のアワい思い
出に耽っているのは蔵元さんだけかも知れませんね。

以上、只今酔っているので上記のコメントには一切責任を持てません。

  • 2007/11/30(金) 00:22:36 |
  • URL |
  • サンセール #-
  • [ 編集 ]

>>どっちでもいいけど

サンセールさん、酔っ払いコメントありがとうございます(笑)。
でも、酔っ払いコメントしにちゃぁ、かなりいい線突いてますよ!
さすが、毎日松尾様やバッカス様にお祈りをささげているだけあるなぁ。
その扇風機みたいな機械が『泡消し機』だったんでしょうね。
私はこれまでそんな風に考えたことはなかったんですが、泡消し機で泡を消すという作業は確かに人為的な作業ではありますね。
その論法でいけば、701号酵母もそれを作る時点で人為的な作業になっていると言えば言えるでしょうけどねぇ・・・。
カイ入れをしない蔵があるというのは初耳です。
もろみが元気なうちは、自然にタンクの中でもろみが反転しますから、しなくても混ざってはいると思いますが、カイ入れをしないという選択肢は今まで持ってなかったなぁ。
サンセールさんの立場からすれば、どんな酵母を使っても、どんな造り方をしても、美味しきゃいいってことなんでしょうね(笑)。

  • 2007/11/30(金) 16:07:41 |
  • URL |
  • 岳志 #-
  • [ 編集 ]

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