それはね、彼らの日本語が実に流暢だっていう事なんです。いつ頃から日本に来て、修行の期間が何年間くらいあったのかは知りませんが、彼らは日本人が日常使うネイティブに近い日本語をしゃべるじゃないですか。自分の気持ちを表現するための、微妙なイントネーションだってモノにしているように思えます。
日本語学校なんて行ってるわきゃないんです(たぶん)。それに、日本語学校で教われば、語彙の多さとか文法の正確さはもっと上になるのかもしれませんが、あの流暢さ、あの親近感、あの日本人らしさは学べないと思うんです。
それじゃ、彼らはどこでその日本語感みたいなものを獲得したのかと考えると、そりゃ間違いなく稽古じゃないでしょうか。あるいは、それに付随している兄弟子たちとの厳しい上下関係の規律を守っていく中でのことだと推測しますけど、どーでしょうかね。
昔聞いた話では、相撲部屋の稽古や戒律は非常に厳しく日本的で、とても外国人が辛抱できるものではないなんて言ってました。今では日本人の方が辛抱できなくなっちゃったのか、昔ほど厳しくなくなってきたのか、外国人力士に根性がついてきたのか、日本人以外の力士はいくらでもいますけどね。
必死だと思うんですよ。来日した当初はほとんどしゃべれないわけだから、稽古を始めたって何を言われているのか分からない、何を怒られているのか分からない、どう対処すればいいのか分からない。例の暴行事件なんかは問題外ですが、死にそうなほど苦しい稽古を乗り切って、兄弟子達に「バカヤロー!」と怒鳴られているうちに、必死に自分の中に染み込んでいったものじゃないかなぁ。
テレビのインタビューで通訳をつけてる力士なんていませんよ。多くを語っているわけじゃないんだけど、間違いなく彼らは自分の日本語をしゃべっています。それを聞くたびに、「こいつ頑張ったんだろうな」と思っちまうんです。
実は、私にも似た経験があるんです(?)。これも昨日の話の続きですが、私が杜氏役をやる前には、我が社には新潟から数人ずつ杜氏や蔵人が来ていました。杜氏は長年長生社に来てくれていたのでそれほどでもなかったのですが、もうひとりの年老いた蔵人Nさんは、バリバリの新潟弁だったんです。2人がしゃべっていると、言っている事の半分は分かりませんでした(笑)。
まだ蔵に入って年数の浅い私は、教わることが多く、しょっちゅうミスって怒られていました。ところが、Nさんに何か言われても、何言われてるんだか分かんないんだな、これが(涙)。特に忙しい作業中に、緊急の要件を「オメ、それを◆÷△●×□しろや!!!」なんて言われた日にゃぁどーしていいか分からずに、真っ白になってその場に固まっていましたよ(汗)。
何年か経つうちに、私も必死で喰らいついていたので、だんだんと言っていることが理解できるようになりました。その頃には「よーやく、オメも使えるようになってきたな」と言われてうれしかったもんです。どーですか、外国人力士の日本語と同じく、重みのある話じゃぁないですか(笑笑笑)。
□□□ 今じゃホレ、結構新潟弁わがんだよ □□□
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