専務取締役杜氏の純米酒ブログ

期せずして杜氏になっちまった造り酒屋後継ぎの純米蔵奮闘記

火入れ(つづきのつづき)

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どこまでお話してたんでしたっけ?火入れ作業にも時代の変遷があるってあたりからでいいですか?ま、時代の変遷って言ったって、技術的な進歩みたいなものには見放された感のある業界ですから、とりあえず昔からのやり方自体はほとんど変わってないっていう前提でお話しますけどね(笑)。

ひとつ私が実感するのが、火入れをする時期についてでしょうか。昔・・・って言っても、私が杜氏役をやるようになった、たった20年ほど前の話ですけど、長生社ではこんな時期に火入れなんてやってませんでしたね。そんじゃいつ頃かっていうと、お酒を全部造り終わった3月や4月の仕事だったように記憶しています。

つまり、全部造り終わって全部をブレンドして酒質を合わせてから、ようやく火入れしてましたね。これは、全てを均一にするっていう目的と、お酒を熟させるために生で置いておく期間が長かったっていう2つの側面があったように思います。いかにしてお酒を熟成させるかってことを、昔の杜氏さん達は常に考えてましたね。

ですから、造りの途中のこんな時期に、できた酒だけでも火入れしてしまおうなんて考えもしませんでした。なぜ、現代では火入れの時期が早くなってきているかって言うと、基本的にはお酒をあまり熟させずにフレッシュを良しとする風潮からじゃないですかね。なるべく早く火入れをして、鮮度を残したお酒の方が現代では好まれるってわけです。

前回お話した、火入れしたお酒を可及的速やかに冷却するっていうくだりも、私はやったことはありませんが、熱いタンクに更にむしろを巻いて温度が冷えないようにして一晩置いたなんて聞いたことがあります。そうすることで、熟成を早めたいっていう狙いからですが、今そんなことをしたらあまりいい評価を受けないお酒になるかもしれません。

その時代その時代で、国の研究機関の指導も変わってきたんでしょうし、何よりもそれが時代のニーズだったってことでしょうから、割に短い時間の中でお酒の嗜好も変わってきてるってわけです。熟成かフレッシュか、甘口か辛口か、多量に飲むのか少量なのか、火入れ作業ひとつ取ってみても、少しずつ対応が変わってきているんですよね。


□□□ 変な写真でスイマセン(汗) □□□
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コメント

でも

資金繰りやら税金やらもあるとは思うんですが、開けてから自家熟成させないと美味しくならないお酒なんかもあって、もっと蔵で熟成させてから出荷してよ~と思うこともしばしば(笑)

熟成といえば、信濃鶴の普通酒の22BYってのが冷蔵してあるんですよ。越百に送って信濃鶴の会でもやりましょうかね?(笑)

  • 2017/02/08(水) 08:14:19 |
  • URL |
  • ZEN #USldnCAg
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新酒と古酒

≪いかにしてお酒を熟成させるかってことを、昔の杜氏さん達は常に考えてましたね≫
昭和40年代の記憶ではその通りで、蔵元はいかに早く熟成させるかに苦労し、熱心な小売店さんでは新酒の出荷が始まる3月~4月ごろになると古酒を買いだめしておられました。
その最大の原因は三増と大量のアルコール添加であったと思います。三増を添加した酒はなかなか熟成をせず、いつまでもアルコールの香りが残り、旨みもなかったように思います。
純米酒を丁寧に造っておられる信濃鶴さんの酒なら、新酒でも充分美味しいですし、熟成させれば熟成の美味しさが加わるだろうと思います。
ZENさんの22BYの酒楽しみですね。その酒で信濃鶴さんの会をやられるときはお声をかけてください。

  • 2017/02/08(水) 10:53:08 |
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  • 酒ひろし #-
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変化

お酒を呑む側の嗜好の変遷も大いにあると思いますが、
酒造りの設備や輸送方法の変化も一因と思います。
20年前の酒屋さんに日本酒をストックするための冷蔵庫なんてあったのかな?
今は熟成したお酒はお燗して、生酒は冷やして呑むのが美味しいですね。
戦争による物資不足で三増酒なんて質の悪いお酒があった時代を考えると、
今は恵まれていて、決して後戻りはしたくないです。

  • 2017/02/08(水) 12:28:02 |
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  • まっちー #-
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Re: でも

まぁ、ZENさんレベルのお酒のみになるとねぇ・・・。
求めてるところが普通と違うっていうか・・・。
そのレベルの人は自分で熟成させるのが一番かも(笑)。
古い鶴がいろいろな所にあるみたいですが、飲む機会がないと飲めませんなぁ(汗)。

  • 2017/02/08(水) 23:23:13 |
  • URL |
  • 岳志 #-
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Re: 新酒と古酒

この話題については酒ひろしさんはかつての状況をよくご存じでしょう。
アル添との馴染をよくするための熟成っていう部分は相当にあったでしょうね。
アル添の量が多かったわけですから、馴染ませるのにも時間がかかったはずです。
古酒については酒ひろしさんはプロ中のプロですから、鶴の古酒についてもご相談しなくっちゃならないかも・・・。

  • 2017/02/08(水) 23:27:08 |
  • URL |
  • 岳志 #-
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Re: 変化

かつて、冷蔵庫に入れるのは大吟醸くらいだけだったんじゃないですかね。
生酒が普及するようになって冷蔵ってことが一般化したんだと思います。
今は日本酒は最高に美味しい時代だって言われてますよね。
売れなくなったことが皮肉にも手をかけた製品作りに貢献した形でしょうか(笑)。

  • 2017/02/08(水) 23:29:54 |
  • URL |
  • 岳志 #-
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