専務取締役杜氏の純米酒ブログ

期せずして杜氏になっちまった造り酒屋後継ぎの純米蔵奮闘記

じいさん(つづき)

いい雰囲気の葬儀なんてないのかもしれないけれど、そんなに悲しいばかりじゃない、旅立つ人を暖かく送り出す気持ちに包まれたお葬式でしたね。新潟のお葬式がそんな感じなのか、年齢的にも病状的にも親族に気持ちの準備があったからなのか、じいさんの人柄によるものなのか、いい最期の時だったと思いました。

式場には1時間ほど前に着いたんですけど、じいさんの奥さんのフミちゃんが出迎えてくれて、ずっと私に付きっ切りで話し込んでましたね。根っからの酒屋もん人生でしたから、自分の亭主が命をかけたお酒のことを一緒に話せるヤツを待っていてくれたようです。「オメエさん来るのを楽しみにしとった」と、話は尽きませんでしたね。

長い間家で介護してたわけですから苦労話が多いんだけど、夜中に突然起き出して麹の温度を見に行こうとしたり、米を洗うように言いつけてみたり、今年の蔵人を集めるんだと仲間に電話したり、全てが酒造りがらみの大ボケだったと2人で大笑いしました。フミちゃんも気丈に振る舞っていたのかもしれないけど、前向きでいられるようで安心しました。

そんなフミちゃんを筆頭に、親族の皆さんも信濃鶴のことをよく知っていて、長生社の社長さんが来たとご挨拶をいただきました。とにかく、冬の酒屋働きが至極当たり前だった地域ですから、お酒造りについても抵抗なく話が弾む方達が多くて、当然赤の他人の葬式じゃないとしても、まるで自分も親族のひとりみたいに感じられましたね。

式も終わって、火葬場での最後のお別れではどうしたってみんな涙声にはなるものの、孫やひ孫まで涙を流している様子を見れば、蔵じゃ厳しいことを言ってたくせに、こっちじゃいい年寄りして好かれてたな、じいさん。最期まで全ての事にやる気を持っていたことが素晴らしいと病院の先生もおっしゃっていたようで、そんな様子をみんなも見てたんでしょう。

いろんな幸せを残して旅立ったはず。親族の皆さんの口からは感謝の言葉ばかり。でも、ここにいる誰とも違う、また別の大きな物を受け継いだのは自分かもしれないと私は思ってました。酒屋バカ一代の生き様を目の当たりにして私が得たものは大きい。市井にも師はいると教わりました。また、向こうでな。じいさん、さらばだ。


□□□ 大きな斎場でした □□□
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コメント

大きな存在

ご主人がいない冬の半年間は大変なことも多かったでしょうに、
一生を酒造りに費やしたご主人を奥さまも誇りに思ってたんでしょうね。
岳志さんにとっては特別な師でも、
ご家族、親戚にとっては普通のお爺さんだったのか。
どちらにしても大きな存在だったのでしょう。

ご冥福をお祈りします。合掌

  • 2016/09/22(木) 09:57:48 |
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  • まっちー #-
  • [ 編集 ]

Re: 大きな存在

確かに冬は寂しかったでしょうねぇ。
でも、部落の人達はみんないなかったわけですからね(笑)。
18戸中の16戸の主人が出てたなんて話してましたよ。
きっと夏の間はいいおじいちゃんだったんでしょう(笑)。

  • 2016/09/22(木) 13:58:49 |
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  • 岳志 #GMs.CvUw
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