専務取締役杜氏の純米酒ブログ

期せずして杜氏になっちまった造り酒屋後継ぎの純米蔵奮闘記

ビン火入れ



『火入れ(ひいれ)』っていうのは、お酒の中に生きている酵母菌や雑菌を死滅させたり、酒質に変化を及ぼす化学的な成分の効果をなくすために、お酒を65℃くらいまで熱する加熱殺菌のことを言いますが、いろんなやり方があって、蔵の中でもその時々の状況に応じて使い分けたりするんですけどね。

中でも、大吟醸酒などの高級酒に用いられる丁寧な火入れの方法として一般的なのは、俗に言う『ビン火入れ』と呼ばれる、お酒をまずビンに詰めてしまった後にビンごと湯煎して加熱する方法で、香りが逃げずに酒質の変化も最小限に抑えられる方法として多くのお蔵さんで実施されていると思います。

長生社でも、純米大吟醸だけはこの方法で火入れしてるんですけど、作業とすれば大変なんですよね(汗)。年に1度しかやりませんから、不慣れでスムーズに事が進まない部分もあって、あんまり乗り気になれない作業のうちのひとつではあります。それでも、皆さんに美味しいと言っていただくために、毎年工夫しながら努力してるんですけどね。

とてもたくさんビン火入れをなさるお蔵さんでは、専用の装置があって手順よく火入れが進むようにできてるんですけど、長生社ではごくわずかな量ですから、蔵にある物を使って作業をしているんです。いくら少ないって言っても1000本単位にはなりますから、それなりに大掛かりな仕事になるんですけどね。

仕事中の写真が撮れてなくて申し訳ないんですけど、とにかくグラグラに煮立ったお湯が大量に入る浴槽みたいなのが必要ですから、今回は夏の間に粕を貯蔵しておく大きなプラスチックコンテナを使いました。これでちょうど1000リッターの容量のものです。この中で熱湯を作って、そこにビンをお燗するようにして立てて入れていくわけです。

冷えたビンをいきなり熱湯の中に入れれば割れちゃいますから、このコンテナの熱湯に入れる前に予備的に温める桶も用意して、段階を経て熱湯に入れるようにします。それでも運が悪かったり、もともとビンにひびが入っていたりすると簡単に割れちゃいますね。一升ビン1本で6000円のお酒ですから、たくさん割れたら目も当てられません(汗)。

この作業も何年もやってますから、慣れてないとは言えコツもつかめてきて、1日半くらいはかかりましたが、今年はかなりスムーズに完了しました。火入れ後はすぐに冷蔵庫に入れちゃいましたから、これでようやく枕を高くして寝ることができるってもんです。ここまで手をかけると、いろんな場面で美味しいと言ってもらえる確率も上がる様な気がするんですよねぇ(笑)。


□□□ 火入れ後に急冷するのも大切です □□□
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コメント

手間暇

効率ばかりを求めずに美味しくするための手間暇を惜しまない。
その思いに応えるお酒が出来上がりましたかね。
その手間暇かけたお高いお酒の瓶が割れてしまっては、
元も子もありません。
もったいないし残念至極。
今回の作業でも何本かは割れちゃったんですかね?

  • 2016/03/27(日) 09:38:58 |
  • URL |
  • まっちー #-
  • [ 編集 ]

室温保存してみます

昨日、純米大吟無濾過生原酒の4合瓶を購入しました。
長野県の準備審査であまり結果が良くなかったとの事でしたので自己責任にてあえてお酒をいじめてみます。
床下収納で室温保存して、夏の番外編にて丸文酒店にて冷蔵保存してもらっているお酒と飲み比べてみたいと思っています。
どちらが味が乗ったお酒になるでしょうか楽しみです。

Re: 手間暇

このひと手間がどれほど味に影響するのか・・・。
それは比較対象品でも作っておかない限り分からないんですよね。
もし作っておいたとしても、大した違いじゃない可能性も高いんですけどね(汗)。
それでもやるっていう心意気の積み重ねが美味しさにつながっているんだと思いたいです。

  • 2016/03/27(日) 13:52:18 |
  • URL |
  • 岳志 #-
  • [ 編集 ]

Re: 室温保存してみます

室温保存っていうのも自信がありませんが・・・(汗)。
冷蔵保存のものと比べてみていただければ、私もその結果が知りたいです。
県の審査で結果が良くないってことは何の基準にもなりません(笑)。
そこで点数の高かったものが全国に入らないなんていつものことなんですよ(笑)。

  • 2016/03/27(日) 13:54:43 |
  • URL |
  • 岳志 #-
  • [ 編集 ]

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