専務取締役杜氏の純米酒ブログ

期せずして杜氏になっちまった造り酒屋後継ぎの純米蔵奮闘記

信濃鶴ってどんなだ?(7)

信濃鶴ってどんなだ?シリーズも終盤です。言いたいことはたくさんあるのに、自分自身の頭の中がうまく整理されていなくて、ゴチャゴチャと読みづらくてすいません。でも、書いておかなくてはならないと思うことは書いてしまいます。

パンフレットからの抜粋も最後です。たったこれだけの文章でも、大勢の人に見てもらおうとすると、じっくり考えて推敲を重ねないと納得のいくものにはなりませんね。その割りにこのブログは書きなぐってますけど・・・。

『 うまい普通酒とは・・・
毎日飲んで頂くいつもの酒を最高の品質にしたい。
これは酒造家全ての夢でしょう。
信濃鶴は美山錦の精米歩合を最低でも60%とし、
全て吟醸造りに倣った低温発酵で醸造されています。
品質向上に向けた全ての設備投資は、普通純米酒のために行っています。
お求め頂きやすいように価格も低く抑え、
いつも傍らに置いて頂ける酒になりたいと願っています。
意識せずにうまい純米酒を飲んでいる人を、
一人ずつ増やす努力をこれからも続けます。 』

駒ヶ根市からは少し離れた飯田市にある、お得意先の小売店さんが言ってくれました。
「駒ヶ根の人はいいよね。あれだけのお酒が、あの値段で、地元でいつでも飲めるんだから」
うれしいひと言。「あのー、もう一回言ってくれますか」とお願いしたくなっちゃいました。

私が造りたいのは普通酒です。普通酒というと税法上の表記からいくと少し誤解があるかもしれませんが、普段の酒、毎日飲む酒、まちの呑み屋さんで出てくる酒、このまちに空気みたいに漂っている酒、飲みすぎてゲロを吐く酒(汚ねーな)、うれしい時に飲む酒、悲しい時に飲む酒・・・まあ、何でもいいや。

それを純米酒でいきたいわけです。それも一切手抜きのない、お天道様に恥ずかしくない造り方で。これは蔵元として、職人としての私のこだわりです。自分が飲みたいのはそんな酒なのです。

わが社の製品ラインナップは、精米歩合60%の普通純米酒、55%の特別純米酒、39%の純米大吟醸酒のみです。使う米が1種類しかなくて純米酒だけとなると、商品の差別化を図るのは精米歩合くらいになってしまいます。ちなみに精米歩合60%というのは玄米の外側40%分を削り落としてしまったお米のことです。

今の造り酒屋は全ての種類の酒を自社ブランドの中に造ろうとしているように見えます。普通アル添酒、本醸造酒、純米酒、吟醸酒、純米吟醸酒、大吟醸酒、純米大吟醸酒、生酒、原酒、おり酒・・・。いろいろな種類を作りすぎる。いろいろあるからお客様のニーズには応えられるかもしれないけれど、「あの蔵の酒はこうだ」という評価が形成されないのではないかと思います。どの蔵にもそれぞれの特徴がある方が、自然だし楽しいと思うのです。

私は上記の3種類の純米酒の中でも、特に普通純米酒に命をかけて造ってます。これだけあればいいとさえ思っています。当然純米大吟醸の方が手もかかるし、同じように命はかけます。しかし私にとって純米大吟醸は、そこで得られた知見を普通純米酒造りに生かすための試験醸造なのです。最高の技術を普通純米酒作りに生かすことが最大の目的です。

最高の技術の中には2つの意味があります。ひとつは経験によって私や蔵人の血となり肉となる「技能」。もうひとつはそれらの技能を生かすための「設備」です。妥協のない修練は必要ですが、技能の方はタダで手に入れることが出来ます。しかし、設備の方はどえらく金がかかるんだなこれが・・・。

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