
昨日、お祭りの話題で酒樽の話が出てきましたから、ちょっくら樽作りの現場をお見せしましょう。昔はお祭りやイベントの多い秋とか、年末年始にはたくさんのご注文をいただいて、四苦八苦して作ったものです。
あまり景気がよろしくない現在はその数もかなり減ってきていますが、今年の秋はそれなりにたくさん作らせてもらって、大変にありがたいことです。秋祭り用だけでも7個くらい使っていただけました。なにせ樽自体の値段が高いので、どうしても価格的に手が出づらいものになっちゃうんですよね(汗)。
写真はその秋祭り用の樽を作っていた時の現場です。左の2個が2斗樽、右の3個が1斗樽です。『斗』という単位は『10升』を表しますから、大きな方の樽には1升ビンで20本分のお酒が入っていることになります。相当に重いですよ。
数年前までは樽作りは全て私の仕事でしたが、造りの方が忙しくなってきたために最近は別の社員がやってくれています。この日は急遽もう1個樽をその日に作ってくれと言われて、慌てて会社へ行って作りました。一番手前に写っている樽が、その作りかけの樽です。こんなに一度に樽が並ぶことも少ないので、写真に撮っておきました(笑)。
今現在も樽の容器の本体は木製のもので、周りに竹製の『たが』がはめられた形のものを使います。そのままでは格好が悪いので、樽の周りに適当な詰め物をしてその上に銘柄の入った『菰(こも)』を巻きます。ですから、我が社では『菰樽(こもだる)』と呼んでいます。
今は、樽の格好をよくするための詰め物は発泡スチロール製のものがあって、本当に簡単に樽の形を整えることが出来ますが、昔は新聞紙やらダンボールなんかで1個1個手間をかけて形を整えなくっちゃなりませんでした。年末に1日で何個も作らなくちゃならないと、手がボロボロになったものです(涙)。
例えどんな苦労をするとしても、菰樽が並ぶのは必ずおめでたい席なんです。悲しい席で樽の鏡割りなんて聞いたことはありません。そのおめでたい気持ちをみんなで分かち合う時の介添えができればいいと思って、いつも心を込めて作っています。ちなみに『鏡』っていうのは、樽の上面の木の蓋の部分を言います。
地元のお祭りで使ってもらってこその地酒じゃぁないですか。この時のために酒を造っているって言っても過言じゃありません。神社の境内に並んでいる信濃鶴の樽を見ると、普段は意識しないんですけど、「こういう大きな文化に守られて酒造りもできているんだなぁ」と何かに感謝したい気分になりますね。
だから余計に地元の人たちの信頼を得られるような酒を造っておかなくっちゃいけないと思うんです。「信濃鶴でなくっちゃイカン」と皆さんに言ってもらって、美味しく飲んでもらって、次の日には二日酔いになればいいんです(笑)。そして、その酒が地元でとれた酒米だけで醸されているのならば、誰も文句はないだろうと思ってるんです。
□□□ 今度は五十鈴神社のお祭りだぁ! □□□
■■■日本酒の未来のためにクリックお願いします!人気blogランキングへ■■■