信濃鶴ってどんなだ?(6)
もう卒業してしまいましたが、数年前まで駒ヶ根の青年会議所という団体に入会して様々な活動をしてきました。40歳で卒業ですが、13年間もやったので、最後の年には結構な古株でした。以前にもブログに書きました、「協力隊週間国際広場」なんていうのも、その青年会議所での活動を今も引きずっているわけです。
その基本理念は、青年としての英知と勇気と情熱を持って明るい豊かな社会を築き上げようとするものでした。私はそこで徹底的にまちづくりを叩き込まれ、自分でも深く考えるようになったのです。そして、酒造りとまちづくりの垣根がなくなった時に「酒造りはまちづくり」なんていうフレーズがどこからか降りてきたのかもしれません。
話がそれました。さて、地元産の酒米のみで造ることにこだわったこの信濃鶴ですが、単に他と差別化して特徴的な商品を作ろうとしているだけではありません。それがまちづくりにつながればいいと常に考えています。極端な言い方をすれば、造りたいのは酒ではなく、そんな酒を飲んでいるまちなのです。
地産地消が当たり前のまち。
そんな自分たちの文化基盤を誇りに思ってもらえるまち。
日本一純米酒を飲んでいるまち。
いつの日にか、そんなまちがブランドになるかもしれない。そしてその時に、信濃鶴はみんなが誇れる地酒になっていればいいんです。
地元で買えない地酒なんていうのもあるんですよ。変な話ですけど。首都圏の市場で人気に火がついて大ブレイクしてしまった様な銘柄の製品は、全てそちらに吸い取られてしまって、地元の酒屋さんでは売っていないなんてことになってしまうんです。私から見ればうらやましい限りのような気もするんですが、やっぱりそれじゃあ本末転倒でしょう。そんな状況になると、地元の酒屋さんも自分では手に入らないその銘柄のことをあまり良くは言わなくなってしまいます。地元で愛されるのが一番です。
「おれは純米酒は嫌いだ」と面と向かって言ってくる人もいます。それはそれでしょうがない。しかし、もし信濃鶴しかなければいやでもなんでも飲むしかない。そこで言ってやれるかどうかなんです。
「でも、あなたの飲んでいるものに間違いはないんですよ」
と。うまいかまずいか、好きか嫌いかという議論とは違った次元の裏付けを持たせて、地元の人たちを誰かが守っていかなくてはならないのです。このまちの人たちが
「信濃鶴をうまいって言っておけば間違いない」
と言ってくれるその「信用」こそ、私がこの会社に残しておきたいものなのです。
最後に、なぜ地元にこだわるのですかと聞かれた時によくするお話を挙げておきます。
数年前にある新聞記者の方が教えてくれた話です。長野県で「棚田サミット」という会議が開催されたのだそうです。消えつつある棚田の価値を見直し、後世に残していこうという趣旨です。その中のひとつの講演会で、棚田で採れたお米をおいしく食べるには、どんな水で炊くのがよいのかという研究をして、その内容を発表した人がいました。
いろいろな水で炊いてみたそうです。井戸水、川の水、水道水、日本のミネラルウォーター、外国のミネラルウォーター、・・・。そして最もおいしいという結果になったのは、なんとその棚田の脇を流れる用水の水だったというのです・・・。
その米が育った水で炊いた米が一番うまかったのです。「なぜだ?」と問われれば答えようもないのですが、「そりゃそうだ!」と胸に落ちるものもあります。世の中はそういう風になっているんですね。
だから、その米が育った水で仕込んだ酒はうまいに決まってんだって。自分の地元ってすげぇんだって。日本中の「地元」の数だけうまい酒があるってぇことに、疑う余地なんかないんです。
コメント
いい感じ
だんだんいい感じのリズムが出てきたブログ、コメントが追いつかない。ブランドは、農でつくる人から売る人まで皆が「いいと思って」価値を共有することが大事じゃやないかと思います。お互いに顔が見えることが原点じゃないかと思います。
- 2006/11/14(火) 11:22:12 |
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Re:いい感じ
リズムが出てきましたか?
でも、実は20日からは仕込みが本格化するので、そんなにブログを書く時間が取れないと思って、書いておきたいことだけは今必死になって書いているんです。
これからはあんまり頭を使う話は書けそうにありませんね。
実際のところ酒米農家の顔はあまり見えていないのが現状です。
このポイントは要注意事項だと思ってます。
信濃鶴のために、この地域の酒のためにいい米を作ってやろうと思ってもらわないとイカンじゃあないですか。
- 2006/11/15(水) 11:23:33 |
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気付き
コメントの最後のフレーズ
ドンドン書いているうちに 自然に考えますね。
是非栽培していらっしゃる方を紹介してくださいよ。
それとお米が実ってる風景。
飯島の辺りで見る中央アルプスはかなり険しい感じで素敵だと思います。
そのアルプスと 田植時期 青く育った時期 そして黄金色の時期のコントラストを見せてください。
ああ このお米を使っているんだって ・・・
事実は文字もイメージも変わりませんが 頭の中に
絵が出来たとき 忘れ得ぬものになるはず。
農家が高い意識でお米を作っている事が解ったら
(そうなったら・・かな?)純米酒が よりピュアなイメージになりますね。
Re:気付き
信濃鶴の原料米を作ってくれている「顔の見える」農家の人を作りましょう。
今まで私が手を付けられなかった分野なんです。
原料米が良ければ、それから造られる酒もいいに決まっています。
「ピュアなイメージ」ってくらいカッコよくなりたいですね。
このブログにも黄金色の田んぼの写真を載せたかったんです。
でも、始めたのが10月1日で、その頃には飯島の美山錦の刈り取りは全部終了していました。
もち米、酒米、うるち米の順で刈るんだそうですよ。
- 2006/11/15(水) 18:20:41 |
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