専務取締役杜氏の純米酒ブログ

期せずして杜氏になっちまった造り酒屋後継ぎの純米蔵奮闘記

鑑評会2014

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今年も、全国新酒鑑評会の公開研究会にはるばる広島まで行ってきましたが、昨日も書いたように、相変わらず東北地方のお蔵さんの金賞・入賞率が非常に高くて、とても羨ましい思いで利き酒をしてきました。山形、岩手、宮城、福島県あたりの成績がずば抜けて良かったですね。県を上げての取り組みが成果を出しているっていうことなんでしょう。

お恥ずかしい話、長野県はたったの6蔵しか金賞はいただけませんでしたから(涙)、その差に愕然とするばかりではあるんですが、ある意味で、こういうコンテストは規定演技を評価する場ですから、そこから逸脱したお酒が悪いばかりじゃないはずだと、信州人同士で慰め合いながらお酒の味を確かめてきました(笑)。

最近の流れや杜氏仲間連中の話を総合して勘案すると、近年の成績優秀酒の特徴のひとつはお酒の甘さにあると言えるかもしれません。分析する項目で言えばグルコース濃度っていうことになるんですが、要は、甘さのしっかり乗った味のあるお酒でないと金賞は取れないっていう感じですね。当然、ベタベタした甘さじゃダメなんですけどね。

単純にお酒の評価基準を分けると、香りと味っていうことになりますが、香り的には今の吟醸香の主成分と言われるカプロン酸エチル、味的には甘さを構成するグルコースがより多く必要になってきているっていうことでしょう。香りが高く、甘味もしっかりあるお酒が、たくさん並んだお酒の中ではよりアピールする力が大きいのはうなずけますけどね。

最近の技術的な進歩をしっかりと感じられるのも、全国新酒鑑評会でのとても大きな収穫です。例えば、新しい酵母の開発で吟醸香はより多く出るようになってきていますし、その種類もいろいろあって、少しずつ香りのバリエーションが異なるのも経験できます。ただし、香りだけがプンプンしているっていうご批判もあるみたいですが(汗)。

麹菌もそれべしのタイプが売り出されていますから、これまでの菌より更に多くグルコースを生産できる麹を造ることができるようになっています。私は、いろいろな理由もあってそのタイプの麹菌を使ったことはないんですけど、どうやら金賞受賞のお蔵さん達はこぞって新しい麹菌をお使いになっているみたいですね。

ただし、金賞受賞酒の方向性があまり明確になっちゃっても、面白みに欠けるっていうご意見が多いのも確かでしょう。つまり、この酵母でこの麹菌でこういう造り方をすれば金賞間違いなしみたいなマニュアルができちゃうと、同じ酒質の中でのドングリの背比べ的な鑑評会になっちゃう危険性も出てくるかもしれません。ま、私が言っても、金賞が取れない負け惜しみ以外の何ものでもありませんけどね(笑)。

実は、信濃鶴はこのグルコースっていうヤツが極端に低い方のタイプなんです。金賞を取るようなお酒の平均から見れば半分くらい、多いお酒の3分の1程度しかないんですよね。鶴だけを飲んでいると純米らしい味も感じるんですけど、グルコースが高いお酒と並べるととても味薄なんです(涙)。来年はこの部分を改善していかないと、とても金賞には近づけそうもありませんなぁ。

それから、気になる純米タイプでの金賞受賞ですが、今年は8蔵あったそうです。この数がどんどん伸びて、純米じゃないと金賞が取れないなんていうことになるのが私の夢ですが、思い切って純米吟醸の部を創設したらどうかなんていう意見もあるようですから、そちらに望みを託するのもいいかもしれません。いずれにしても、たまーには金賞が欲しいんですけどねぇ・・・(笑)。


□□□ 鶴も悪くはなかったですよ □□□
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コメント

消費者無視

純米酒での金賞はわずか9点ですか?
研究所の発表を見ると出品は845点ですから、受賞率はなんと
0,9%ですね!
全体の金賞受賞率は28%弱ですから、全く問題にならないと数字と言わざるを得ません。
市場では、昨年度も吟醸酒の出荷量は増えていますが、その内訳は、純米吟醸酒が約60%と純米酒の方が多く、その傾向はさらに広がる傾向です。
鑑評会での評価と、この市場の実態(消費者の意識)とのギャップをどう説明すればいいのでしょうか?

今の僕は鑑評会否定論者ですから、とやかく口出しをする必要はないのですが、
<<こういうコンテストは規定演技を評価する場ですから、そこから逸脱したお酒が悪いばかりじゃない>>
と言うほうが正論だと考えています。

特に吟醸酒は、一つのタイプの酒としてすでに完成した酒ですから、吟醸酒としてこれ以上新しい酒が生まれる可能性は少なく、もし可能性があるとすれば、それは純米吟醸酒の中からだと思っています。
ところが、現在の鑑評会はその純米酒を受け入れず、相も変わらず「重箱の隅をほじくるような技術の競争」をさせているような気がしてなりません。、

  • 2014/06/01(日) 10:47:11 |
  • URL |
  • 酒ひろし #-
  • [ 編集 ]

金賞

そりゃあ、出品したからには金賞が欲しいですよね!
ただ、金賞を狙うばかりに信濃鶴の持ち味や長所を捨てる訳には行きません。
良い所を伸ばした先に金賞があるのが良いのですが、
今日の記事を読むと、審査の方向性が変わって行かないことには、
金賞への道のりが遠く感じます。
世の中の変化を汲んで純米吟醸の部ができると良いですね!

  • 2014/06/01(日) 17:27:47 |
  • URL |
  • まっちー #-
  • [ 編集 ]

Re: 消費者無視

おっしゃる通りの問題点があるということは私も同意見です。
消費者と別の方向を向いているようでは、なかなか販路拡大の力にはなりにくいのかもしれません。
純米吟醸の部を作ろうという機運は組織内にはあるみたいなんですけどね。
抵抗勢力がいるとかいないとか・・・(汗)。
まぁ、純米吟醸の部ができても信濃鶴の金賞は遠いような気もしますが(笑)。

  • 2014/06/03(火) 08:12:58 |
  • URL |
  • 岳志 #-
  • [ 編集 ]

Re: 金賞

そうです、出品したからには賞が取れた方がいいに決まってますよね。
でも、あまりに鶴の目指す方向性とかけ離れても面白くありません。
良いところを伸ばしながら、少し金賞も視野に入れてっていう感じでしょうかね。
そのうちに事態が好転するかもしれませんしね。
純米吟醸の部ができても、必ず金賞が取れるわけじゃありませんしね(笑)。

  • 2014/06/03(火) 08:16:41 |
  • URL |
  • 岳志 #-
  • [ 編集 ]

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