専務取締役杜氏の純米酒ブログ

期せずして杜氏になっちまった造り酒屋後継ぎの純米蔵奮闘記

妄想

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一体どこの写真かと思われるかもしれませんが、これは長生社の蔵の中の壁際と言うか、部屋の隅みたいなところを撮ったものです。土蔵造りの蔵で、壁は漆喰が塗られていて一見白くてきれいですが、よくよく見るとかなりふすぐれていて、あまり胸を張ってお見せできるようなもんじゃありません(汗)。

板の壁や柱は雑巾で拭くこともできますが、漆喰の壁は拭くわけにはいきませんから、基本的にはほったらかしなんですよね。かつては何年かに1度くらいの割合で、上から漆喰の成分である石灰を塗り重ねたりしてましたけど、最近はそんなことをする余裕がなくて、補修も満足にしてやってませんね(汗)。

この場所は、実は酒母室の片隅なんです。この下には机が置いてあって、そこで酒母の経過表を書くようになってるもんだから、私も普段座らないその机に年末年始は毎日座ることになって、ふと見上げるとこの景色だったもんだから、何気にシャッターを切ったんですけど、別に何の変哲もない写真ではあります。

よく見ると大雑把な作り方してんだな、これが(笑)。建築のことなんか全く分かりませんから素人判断ですけど、柱の組み方なんてかなりブロック的だし、いろんな接ぎ目もエイヤっとその場で取って付けたような感じです。頑丈に作ってあることは確かなんでしょうけど、神社仏閣のような繊細さは微塵もありませんね(汗)。

それでもこの蔵を建ててる時って、こう、何て言うか、長生社にも勢いがあったんだろうと思うんですよね。当然、蔵ができてないんですからまだお酒の製造なんてしてるわけじゃありませんが、いくつかの小さな蔵が寄せ集まってできたのが長生社ですから、その時点では既にどれくらいのお酒を造って、どれくらい売れるのかの目算はあったはずです。それも、かなり期待含みでね。

この蔵ができた大正9年当時は、お酒なんて高級品で、それでも造れば飛ぶように売れた時代だったんじゃないんですかね。そんな時に、大きな酒蔵を作るなんていうことは世間の耳目を集めただろうし、現代でのIT企業みたいなかなりイケてる業種の新工場の完成を、みんなでワクワクしながら眺めていたことでしょう。

この蔵は広島の賀茂鶴さんの五号蔵を真似て作られたって言われてますが、大工さん達もこんな大きな建物を作るのは当時としては珍しいことだったでしょうから、気合を入れて仕事をしたんじゃないですかね。棟梁の名前が『○○(読めない)菊次郎』と蔵の梁に書いてありますが、もしかしたら広島から連れてきたような人だったのかもしれません。

今から見ればかなりテキトーな作りでも、当時の最新工場だったはずで、威勢のいい掛け声の中、関係者の夢を乗せてで建てられたんじゃないかと、なぜだかふと思いました。静まり返ったひとりの蔵の中で、その時の喧騒が聞こえたような気がしたんですよね。


□□□ その勢いや今はいずこ(涙) □□□
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コメント

ふすぐれ

「ふすぐれる」って長野の方言でしょうか?
調べてみると、福島の会津で「ふくれる」という意味で使われているようですが、これとはちょっと違うニュアンスですよね?

焼酎の次は日本酒ブームと言われて久しいですが、ここ最近、本当にビッグウェーブが来ているようですね。
地元で日本酒しか扱っていない酒屋さんは「入荷すると右から左に出て行ってしまって、ぜんぜん在庫にならない」って言うほど売れているようです。
今月号の「サライ」という雑誌も日本酒特集のようですし、いよいよって感じでしょうか?

  • 2014/01/14(火) 12:28:59 |
  • URL |
  • ZEN #USldnCAg
  • [ 編集 ]

独りぽっち

大正時代の建物って、構造計算なんてどうしてたんだろ?
経験値に頼るところが大きかったように思えますが、
かなり余裕をみて、丈夫めに造られてるんでしょうね。

今日のタイトルを見て、何を妄想?と思いましたけど、
漆喰の壁や大雑把な造りの柱や梁を眺めて、建てられた当時に思いを馳せるのも、
夜中に独りぽっちでいるからこそなんでしょうね。

  • 2014/01/14(火) 12:33:00 |
  • URL |
  • まっちー #-
  • [ 編集 ]

Re: ふすぐれ

げっ!「ふすぐれる」って方言だったのかぁ・・・(汗)。
当たり前に使ってて気が付きませんでしたよ。
先日話題にしたソースかつ丼みたいに、自分の中の標準になってました(笑)。
ちょっと薄汚れていてクリアじゃない感じなんですけどね。
日本酒ブームが来てるんですか・・・あまりこちらじゃ実感ないんですけどねぇ・・・(涙)。

  • 2014/01/14(火) 18:47:38 |
  • URL |
  • 岳志 #-
  • [ 編集 ]

Re: 独りぽっち

構造計算なんていうことは考えてなかったに違いありません(笑)。
それでも、経験上これくらいは大丈夫的な判断基準があったんでしょうね。
そのためにも、実際のサンプルを見ることが大切だったのかもしれません。
夜中一人でいても、自分に余裕がないとこんなこと考えられないんですよね(汗)。
この時は、きっと精神的にリラックスできてたんでしょう(笑)。

  • 2014/01/14(火) 18:49:56 |
  • URL |
  • 岳志 #-
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