専務取締役杜氏の純米酒ブログ

期せずして杜氏になっちまった造り酒屋後継ぎの純米蔵奮闘記

初呑み切り

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暑いんだか寒いんだか分からないような天気が続いている駒ケ根ですが、皆さんがお住まいの地域はいかがでしょうか?暑いっちゃ暑いんだけど、真夏の暑さと比べるとそれ程でもなくて、朝なんかかなり涼しくなるんですけどね。ニュースでは8月は暑くなるなんて言ってましたから、これから本番になってくるんでしょうけど・・・。

そんな季節の移ろいと一緒に、毎年の歳時記的行事は気温とは関係なくやって来るわけで、今年も業界恒例の『初呑み切り(はつのみきり)』の時期がやってきました。『初呑み切り』の表示は『初呑切り』とか『初呑切』とか書かれますが、今回は読み易いように『初呑み切り』でいくことにしましょう(笑)。

初呑み切りっていうのは、初めて呑みを切るっていう字面通りの意味ですが(笑)、『呑み』っていうのがタンクに付いているお酒の出し口、『切る』っていうのが開けるっていう意味で、タンクに加熱殺菌後に封入されたお酒の状態を検査するために、初めてタンクの出し口をあけて、お酒を少量採取することを表しています。

取り出されたお酒は社内で利き酒をして品質を評価した後、地元の酒造協会単位で持ち寄って、国税局や県の研究機関の先生をお呼びして検査していただきます。品質に問題がなければひと安心ですし、もしも異常と思われる兆候がある場合には、速やかに何らかの手を打たなくっちゃなりません。

春先になってお酒を搾り終わって、火入れ(加熱殺菌)をしてタンクに詰めちゃえばそれで造りが終わったわけじゃなくって、その後もそのお酒が順調に熟成しているのかを常に監視している必要があります。特に、蔵が明けて数ヶ月が経過したこの時期に、実際に検体を採取して、その実物を味わってみることには大きな意味があるんですよね。

できたお酒が変調をきたして、品質が悪くなるのにはある程度時間がかかります。例えば『火落ち菌(ひおちきん)』と呼ばれる雑菌もじわじわと増殖していきますから、あまり早い時期に検査をしても、その変調に気がつきにくい可能性が高いわけで、少し期間を置いてから初呑み切りが行われる意味はそんなところにあるんでしょうね。

結果的には、信濃鶴もその他の伊那谷のお蔵さんのお酒も、品質上大きな問題のあるお酒はなくって安心できました。自分達だけで自社のお酒だけを利き酒していてもなかなか分からない部分もありますから、先生方や他のお蔵の皆さんにも見ていただくことで新たな発見がある場合も多いんですよね。

県の先生からは、「例年より熟成の進み具合が少し早いんじゃないか」っていうご指摘を受けましたから、タンクの貯蔵温度を少し下げようかと思っていますが、私とするとこちらの思惑に沿ったご意見だったので、まずまず想定内ってところです(笑)。これから夏を超えて、上手い具合に熟成したお酒を皆さんにお届けできればうれしいですね。


□□□ 夏休みに入ったらポイントが低い? □□□
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コメント

目的

これも毎年お馴染みの記事です。(^^)
今回も心配するような問題も無く、出来具合も満足の様子ですね。
ひと昔前に比べれば設備も良くなって醸造の技術だって向上してるから、
品質上に大きな問題が起こることって、ほとんど無くなってるんじゃないですか?
それよりも専門家のアドバイスをもらう機会の意味合いが強くなってる気がしますが。

  • 2013/07/27(土) 12:11:59 |
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  • まっちー #-
  • [ 編集 ]

Re: 目的

毎年書いてる記事って、だんだん書き慣れてきますね(笑)。
同じようなこと書いて気が引けるんですけど、新しい読者もいるかもしれませんからねぇ。
ま、毎年の歳時記を思い出していただいて、酒屋のような気分になっていただければ結構です(笑)。
品質上の大きな問題がある場合も、それなりにあるそうですよ。
時としてそういうこともあるから、この行事は止められないのかもしれませんね。

  • 2013/07/27(土) 16:04:11 |
  • URL |
  • 岳志 #-
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