専務取締役杜氏の純米酒ブログ

期せずして杜氏になっちまった造り酒屋後継ぎの純米蔵奮闘記

火入れ

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今日は、ホットな話題をホットなうちにお届けしましょう。いや、本当に熱いんですよ。蔵の中じゅうが熱気で満ち溢れています。何も知らずに外から入ったら、湯気でむっとしてふんぞり返っちゃうかもしれません。この写真の通りの光景が蔵の中に繰り広げられていて、SF映画の何か危険なワンシーンみたい・・・なこたねーか(笑)。

これも、中小のお蔵さんではよく見られる、とても酒蔵らしい作業風景でしょうね。何をやってるかって言うと、『火入れ』作業です。正確に言うと、火入れが終わった後の冷却作業ですね。タンクの中には65℃くらいの熱酒が満タンに入っていて、そのタンクの外側に水をかけるもんだから、ご覧のような状態になるわけです。

ご存知の方もおられるでしょうが、『火入れ』っていうのは、発酵が終了したもろみをしぼってできたお酒を加熱殺菌することを言います。加熱することによって、お酒の中でまだ生きている微生物を殺し、お酒の成分を変化させる力を持っている酵素の力を失活させることで、熟成に向けて安定した酒質にするための大切な作業です。

先日、鶴でも発売した『無濾過生原酒』なんていうタイプ、つまり『生酒』と呼ばれるお酒はこの加熱処理をしてありません。ですから、暖かいような場所に置いておくと、どんどんと酒質が変わって、基本的には美味しくない方向に向かってしまいます。しかし、低温での管理をしっかりしさえすれば、フレッシュな味覚を楽しめるってことになるんです。

一般的なお蔵さんでは、『生酒』よりも『火入酒』の方が量的には多いはずで、造りの期間中に何回かは大量のお酒の火入れ作業をしなくっちゃなりません。その作業自体はあまり絵になる部分はないんですけど、火入れしたお酒を急冷するための作業は、この写真のようにもうもうと水蒸気が立ち込めた面白い図になるわけです。

昔は、熟した酒の方が喜ばれたっていうことで、長生社では火入れ後のタンクの温度が下がらないようにわざわざ保温して、熟成を早めたなんていうことをした時代もあったみたいですが、今では一般的に、なるべく酒質を若く保つように、水をかけて速やかにお酒の温度を下げる努力をするようになってますね。

こういう鉄板でできたようなタンクの場合には、構造が単純ゆえに冷やし方も単純明快に水をかけるっていうことになります(笑)。タンクに内部を冷やす機能が付いたような新型の場合には、電気の力で冷やすようなシステムになっていて、傍から見ても冷やしてるんだかどうなんだか分からないくらいですから、こんな光景も段々とレトロなイメージでとらえられるようになるかもしれません。

この日はタンク67号と68号の2本分の火入れを行いました。合わせて1万7千リッターくらいでしたが、もうしばらくするとこのお酒がビン詰めされることになると思います。どんどんと出荷されて早く空になっちゃうのが夢ですが、かといって想定以上に売れてもお酒が足りなくなっちゃいますから、あまり欲張らずに程々がいいんでしょうね(笑)。


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コメント

理解が?

知る人ぞ知る知らない人には「何それ?」の世界だと思いますが私のような素人でもこの様な工程を踏んで美味しい鶴ができるのだけはなんとなくわかります。文面から伝わって来る岳志さんの情熱の深い分だけさぞ鶴が美味しくなるんだと心に言い聞かせています。(少しヨイショが入っていますが)?

生酒vs熟成酒

いつも瓶詰めしたのを火入れする様子を写真で見てますけど、
タンクごとの方が一度に終わって効率が良さそうです。
でも、その温度にするまでに時間がかかりそう。
やはり蒸気を使って温度を上げるんですかね。
生酒のフレッシュな味わいも魅力的ですけど、
熟成したお酒を燗にして楽しむのも、今の時期は特に良いですよね!

札幌の酒屋のFacebookページに無濾過生原酒が入荷したと出てましたから、
これから仕入れに出かけてこようかな。(^^)

  • 2013/02/24(日) 14:28:15 |
  • URL |
  • まっちー #-
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火入れ

火入した後、急冷させて酒質をあまり変化させない機械があると聞いたんですが、やはりそれ相応にお値段の高い機械なんでしょうねぇ…

他のお蔵さんで見た火入れは、釜の中に蛇管を通して、そこで火入れをするものでしたが、長生社さんもそのタイプでしたっけ?

  • 2013/02/25(月) 12:59:41 |
  • URL |
  • ZEN #USldnCAg
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Re: 理解が?

まぁ、ある程度に理解していただければ結構かと(笑)。
どこのお蔵さんでもやっている作業ですが、百蔵百様だと思います。
いろんな工夫をなさっておられて、見学すればきっと面白いんじゃないですかね。
どんな作業も思い入れを込めてやってますから、鶴は美味しくなるんですよ(笑)。

  • 2013/02/26(火) 00:22:36 |
  • URL |
  • 岳志 #-
  • [ 編集 ]

Re: 生酒vs熟成酒

ビンで火入れする作業は、専用の機械がない我が社では大変な仕事です(汗)。
タンク1本でやれば効率は雲泥の差ですよ。
お酒を高温にするやり方は・・・これはまたどこかで説明しなくっちゃなりませんね(笑)。
タンクを温めるっていう感じじゃなくって、温めたお酒をタンクに入れるっていうことです。

  • 2013/02/26(火) 00:25:29 |
  • URL |
  • 岳志 #-
  • [ 編集 ]

Re: 火入れ

火入れと急冷を一気にやれる機械は、きっとお高いんでしょうねぇ(汗)。
酒質的には生酒にかなり近いものになるんだそうですよ。
長生社では蛇管を使うんじゃなくってプレートヒータっていう機械を使います。
かつては蛇管でやってましたから、蔵には一式あるんですけどね。

  • 2013/02/26(火) 00:27:43 |
  • URL |
  • 岳志 #-
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