お屠蘇気分の正月ブログを書いている最中に、実は蔵では大仕事が始まってました。そうです、今年の純米大吟醸の仕込のスタートです。スタートっていうことは、まだ本仕込じゃなくって、酒母用の麹が出来上がって、酒母の仕込が終わったっていうくらいの段階だっていうことなんですけどね。
酒母の育成に約2週間、続いて本仕込みをしてから4~6週間程度、トータルで2ヶ月近くもかかる長丁場です。吟醸系のもろみは低温でじっくり発酵させますから、完成するまでに通常のもろみより長い時間がかかります。その間、気を抜かずに管理し続けるっていうことは、並大抵のことじゃありません。
どのお蔵でも、どの杜氏でも、どの蔵人でもやっていることはそう変わりません。かけている熱意も同じでしょう。しかし、ほんの少しの技術の違い、原料の違い、環境の違いで、様々な酒質が生み出されるんだから面白いもんです。今や本当にいろんなタイプの吟醸酒が出てきていますが、そのどれもが美味しいのは、注がれている愛情に違いがないからでしょうね。
写真は完成した酒母用の麹です。吟醸用と言っても、基本は同じなんですから、何か特別な製法があるわけじゃありません。でも、普通は、なるべく手をかけ易い、昔ながらの方法が使われますね。昔ながらっていうことは、単純な木の箱を使った方法が多いんですけど、最新の機械でいい麹を造っておられるお蔵さんもいくらでもありますね。
単純な方法になればなるほど、麹の温度を自動で制御してくれるなんていうわけにはいきませんから、夜中でも何でも人間が見て回って、手をかけながら育てていくことになります。麹の温度管理が大変な時間帯が夜になる場合が多いもんだから、吟醸の麹は寝ないで造るなんていう話になるわけです。
麹がある程度上手くできると、やっぱりちょっとホッとできるんですよね。納得できる仕上がりだったのかそうでなかったのかで、その日の気分は天と地ほども違います。この日の晩御飯はかなり美味しくいただけましたから、ここに写っている麹は、私としては合格点だったっていうことでしょうね(笑)。
筋を付けてあるのは、表面積を大きくすることによって乾燥を促すためです。蒸し上げた時点ではちょっと硬めのおこわのような手触りだったものが、ここまでサラサラパラパラの状態にまでなるんですから、ある意味で劇的な変化ではありますよね。表面は白くなって、麹特有のいい香りがしています。
薄暗い蔵の中で、あんまりきれいに写せてはいませんが、右側の影は蔵の柱で、左側は私のです。シーンと静まり返った蔵の2階で、脇にしゃがみ込んで匂いをかいだり、握って感触を確かめたりして、ひとりでニンマリしている図っていうのは、傍目にはあまり気持ちのいいもんじゃないかもしれませんねぇ(笑)。
□□□ 一瞬1位だったみたいですね □□□
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