専務取締役杜氏の純米酒ブログ

期せずして杜氏になっちまった造り酒屋後継ぎの純米蔵奮闘記

実験

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一昨日の夜のこと。この日はちょっといつもと違う実験をしようと思って、少しワクワクしてたんです。私のようなヘッポコ杜氏は日々常に精進ですから、実験的な試みも毎日のように繰り返していて、その何百という失敗の中からたったひとつの成功事例を見つけ出すっていう、気の遠くなるような試行錯誤が仕事みたいなもんです(汗)。

何の実験だったのか具体的にここで申し上げても仕方がありませんから詳しくは書きませんけど、麹の温度管理に関することだったんです。上手くいったら今後の麹の出来がきっと良くなるはずだと、かなり意気込みのある内容でしたね。麹の品質が少しでも上がれば、必ず仕上がったお酒にもいい影響があるはずですからね。

その事前実験ではある程度の手応えをつかんでいたもんだから、この夜は割と安直にその手立てをして、あとは様子見を決め込んだんです。麹の温度経過は私の机にいても見られるようになっていますから、鼻歌交じりにブログなんか書きながら(笑)、チロチロとその様子を見てました。

はてさて、実験の成果が表れるその瞬間がやってきました。じーっと観察を続ける私の眼に映ったのは・・・常識ぶっ飛びのとんでもない温度(汗汗汗)。慌てて麹室まで飛んで行って様子を見ましたが、こちらの思ったようには全く事は運んでなくて、惨憺たる現状にその場で立ち尽くして涙ぐむ私・・・(ウソ)。

そうなると、問題はそこからのリカバリーにあるわけですが、そういう惨状になるとは微塵も考えが及んでいなかったヘッポコ杜氏(涙)。真夜中の蔵の中であれこれと施策を考えるんですが、眠さと実験失敗への挫折感から自暴自棄になって、全てを放棄して何も考えずに布団に入りました・・・(ウソウソ)。

まぁ、実際には寝るわけにいかなくなっちゃって、朝まで寝ずの番をする羽目に陥っちゃったんですけどね(笑)。こういう実験にしとけば良かったとか、こんな準備をするべきだったとか、いろんな恨みつらみを自分に投げかけながら、少し寝ては麹室に行って様子を見るという、まるで吟醸麹の時のような一晩を過ごしましたとさ・・・(本当)。

今回は惨敗に終わりましたが、わたしゃーあきらめませんぜぇ。もうちょっと工夫を凝らして、再度挑戦するつもりです。それによって、少しでも美味しい信濃鶴になるんであれば、少しばかりの寝不足なんざぁ屁でもありません。ホンのちょっと手を加えることによって、見違えるような成果に結びつくことだってありますもんね。

昨日の夜は、一昨日の半徹がたたって、しっかり布団で寝ればよかったのに机の上で寝落ちちゃったようで、朝まで4時間くらいそのままの格好(汗)。眠い目をこすりながら、明け始めた朝の暗い空に向かって、「負けるもんかー!」と大声で叫んだ岳志でした・・・(大ウソ)。


□□□ 実験には失敗しましたが、いい麹になりました □□□
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コメント

温度

上が室温、下が麹の温度だとすると、仲仕事から仕舞い仕事までの温度管理について実験したっていうことでしょうか?
何かの本で、仲仕事から仕舞い仕事までの温度上昇がゆるやかだと、雑味が出やすいという話を読んだので、それを早めに上げようとしたとか…ま、シロウトの憶測なので当てずっぽうですけど(笑)

「試すことに失敗はない」
という格言もあることですし、ある意味、試すことをやめた時に衰退が始まるといっても過言じゃないんじゃないかと。
そう思って、自分の仕事も毎日やっているつもりですが、なかなかうまく行く事が少ないのも事実…

エジソンが電球のフィラメントに適した素材を発見しようと、何度も失敗しているのを見て、知り合いの科学者が
「そんなに失敗ばかりしていてイヤにならないのか」
と尋ねたそうです。するとエジソンは
「今まで試した素材はフィラメントに適していないということがわかったんだ。だから、決して失敗なんかじゃない」
と言ったそうです。
とはいえ、凡人だったら、何度も失敗したらメゲテしまいますよね。そこを乗り越えて試し続けられるのもやはり才能の一つなんじゃないかと…(笑)

  • 2012/11/27(火) 07:32:53 |
  • URL |
  • ZEN #USldnCAg
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実験

評論家のような言い方になって申し訳ありませんが、100%成功するのは実験とはいわないですね。
ただ、岳志さんの場合はそれを商品とされるわけですから、失敗しましたでは済まされない厳しさが伴いますので、巧くフォローをされて安心しました。
今の麹造りは、数知れない先人たちの失敗(実験)のくり返しの結果ですから、それを更に変えようとすれば、それなりの覚悟は必要だと思います。
新しいことに挑戦される岳志さんの意欲と、その根性に期待して、成功を祈っています。

気力

想定外の事態になって、さぞや慌てたことでしょう。
蔵には岳志さん一人しかいないから、誰も助けちゃくれないし。
そんな状況でも何とか良い麹にできたのは、経験と実力の成せる技なんでしょうね。
代償の寝不足が堪えるでしょうが、またひとつの経験と学びが得られて、
新たな挑戦への気力が沸いて来ましたかね。
やっぱり、大変な仕事ですね!

  • 2012/11/27(火) 12:45:25 |
  • URL |
  • まっちー #-
  • [ 編集 ]

Re: 温度

この写真の温度は全く記事と関係ありません(笑)。
でも、さすがにZENさん、麹の温度経過のことまでお詳しいようで・・・(汗)。
試すっていうことは、別の言い方をすれば問題意識を持っているっていうことだと思います。
エジソンの話じゃありませんが、そういう意識を持っていれば常に楽しいはずです。
失敗を楽しめるようになれれば、いつか大金星もめぐってくるかもしれません。

  • 2012/11/28(水) 01:48:30 |
  • URL |
  • 岳志 #-
  • [ 編集 ]

Re: 実験

私の感じで言うと、実験の成功割合は10%がせいぜいじゃないですかね。
中途半端な成果っていうことだってありますしね。
商品を造っている中での実験は相当に気を使います。
ですから、大失敗はできないっていうのが大きな足かせにはなりますよね。
でも、いろいろやってみて思うのは、結局先人の言うことが正しいってことですかね(笑)。

  • 2012/11/28(水) 01:51:05 |
  • URL |
  • 岳志 #-
  • [ 編集 ]

Re: 気力

この日は結構慌てふためいてオロオロしてました(笑)。
こういう時にひとりだけっていうのは寂しいものがありますね(涙)。
商品にできないほどの大失敗ってできませんから、予防線は常に張ってあります。
実験ってどういうわけだか睡眠時間と引き替えになるんですよね(汗)。
まぁ、夜しか実験できないってこともあるんでしょうけど・・・。
大変な仕事ではありますけど、大変さっていう意味ではまっちーさんのお仕事と変わりありません。

  • 2012/11/28(水) 01:54:35 |
  • URL |
  • 岳志 #-
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