
この研究会の大いに勉強になる点のひとつは、各県ごとの酒質の違いをはっきりと感じられることにあると思います。ある県の酒を利き終わって、隣りの県に移った途端に香味ががらっと変わったりしますよ。
例えば、前述の山形県の酒は雑味は全くないんだけれど少し硬く感じられましたが、隣りの福島県に移ったら味に幅のあるたっぷりとした酒になりました。私はどちらかというと福島の方が好みでしたね。東北では県単位で使っている酵母が揃っていたりするそうなので、よけいに違いが分かり易いのかもしれません。
そのくらい、比べながらお酒を利くということは、違いがよく分かるし、勉強になるっていうことなんです。そういう中に並んでいる自社の酒を味わってみて、全体の中における位置付けが認識できて、今後の酒造りの方向性が見えてくるんです。ですから、どんなに遠くても、皆さんわざわざこの研究会にやって来るんだと思います。
さて、そんな全国の優秀なお酒の中で、信濃鶴はいったいどーだったんでしょうか?今、冷静になって考えてみると・・・やっぱし良かったな(笑)。でも、これはあんまりいい事じゃぁないですね。なぜかと言うと、それが返って来年へのプレッシャーになるからですよ。このノー天気な私でも、ちょっとは感じちゃいますね。
悪いところもあったけど、まあ何とか金賞取れたよっていうくらいの印象の方が、来年に向けた新たな挑戦への意欲がわきます。しかし去年の酒は良かったなぁ、なんていつまでも思っていると、去年と同じに造らなくちゃっていう観念にとらわれてしまいそうです。知らないうちに自分で自分にたがをはめちまわないように気をつけなくっちゃね。
でも、客観的に見れば、やっぱりうちの酒は少し異端児だったと思います。アルコールを添加していないので他の大部分の出品酒よりアルコール度数が低く、日本酒の甘辛の指標になる日本酒度も平均よりはかなり低いんです。つまり、若干ソフトで甘口な傾向の酒に仕上がっているんですよね。それが返ってよかったのかもしれませんが、スペックだけから見たら、よく金賞取れたなっていうお酒です。いろんなバリエーションがあっていいと思うので、これからこんなお酒にもどんどん金賞を与えてほしいものです。
全てのお酒を利いたわけじゃぁありませんけど、どのお酒も頑張ってんですよね。信濃鶴だって今年の金賞の酒と、去年の金賞じゃなかった酒で違いなんてないんですよ。たまたま運が良かっただけです。金賞なんか取れなくたって、どの杜氏さんも蔵人さんも自分の全てを出し尽くした酒なんです。
だから、どんなにその酒の味がおかしいと思っても、その酒をけなす気には到底なれません。一応勝負事ですから、ある一線を引かなくちゃならないだけです。その線のまわりにみんなひしめき合ってんだから、どっちに転ぶかは時の運です。今回は信濃鶴にいい風が吹きました。来年もいいレポートが出来るように、また頑張りましょう。
9時半から酒を聞き始めて、会場を後にしたのは14時半くらいだったでしょうか。何にも食べずにお酒を利くので、本当におなかペコペコで毎年貧血気味になっちまいます(笑)。空の胃袋に広島名物のお好み焼きを詰め込もうと、急いで広島まで帰ったのでした。
□□□ まだギリギリで1位にいます □□□
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