専務取締役杜氏の純米酒ブログ

期せずして杜氏になっちまった造り酒屋後継ぎの純米蔵奮闘記

磐城寿

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皆さんは『磐城寿(いわきことぶき)』というお酒をご存知でしょうか。株式会社鈴木酒造店さんがお造りになっている銘柄です。日本酒に少し詳しい方々にはよく知られた話になっていますが、先の震災の時に福島県の浪江町の海岸沿いにあった蔵は全て流されてしまって、その後は原発事故の影響で元の場所にも帰れなくなり、現在は山形県の長井市に移って、新たな酒造りを始められているお蔵さんです。

私は東京でのお酒の会なんかで、専務(かな?)のSさんとは何回かお会いしたことがあったんですよね。しっかりと味の乗った、それでいてまろやかさの感じられる、正に漁師の酒っていう感じのじんわりと美味しいお酒でした。震災直後の報道で聞いて、非常に心配はしていましたが、人的な被害はなかったそうでホッとした記憶があります。

全く何もなくなってしまった鈴木酒造店さんでしたが、時を経ずして蔵の再建に取り掛かって、廃業の決まっていた長井市の蔵を買い取る形で再びお酒造りを始められました。私も、東京の酒販店さんの店頭に磐城寿が並ぶようになって、その年のうちに新しいお酒ができてくるなんて、本当に頑張っておられるんだなぁとビックリしたもんです。

実は、この新しく再建した蔵が、若乃井さんの蔵のすぐそばにあるんですよね。ですから、仙台から若乃井のOさんに山形まで車に乗せてもらった時に、「S君のところに顔を出してみようか?」っていう話になって、ノーアポで突撃蔵見学を試みるという、実に迷惑な行動に出たような次第で、大バカ者の信濃鶴・若乃井コンビだったりします(汗)。

その日はSさんはおられなかったんですけど、仕込を一緒にしているS弟さんが蔵を案内してくれました。Oさんも蔵の中は初めて見るっていうことで、二人で興味深く見学させていただきましたよ。この蔵の一番の特徴は、完全に冷蔵庫化されているっていうことでしょう。上の写真でも分かりますが、元あった蔵の中にデッカイ冷蔵庫を入れ込んだような形になっていて、年間を通しての醸造が可能になっているそうです。

しかし、醸造に使える空間は確実に狭くなっているわけで、仕込タンクも大きいものが使えませんから、一本の仕込は小さくせざるを得なくて、その分仕込本数を増やして対応しているとのこと。製造数量は信濃鶴と同じくらいですから、仕込期間が長くなって大変なんじゃないですかね。逆に、品質の高いお酒を小仕込みでっていう目的で、年間使えるような蔵の設備にしたっていう面もあるとは思うんですけどね。

こういう話だけ聞けば不屈の闘志の物語ですが、実際には大変なことだって多いはずです。例えば、震災復興の補助金なり貸付金利の優遇措置なんかの制度は、県境を越えると対象から外れちゃうんだそうで、福島県から山形県に来た鈴木酒造店さんには適応されないそうです。原発事故の補償も、津波で全てが流された後に事故が起きたっていう時系列ですから、大した額にはならないとか。なんとか、もっと大きなくくりで手が差し伸べられないんでしょうかねぇ・・・。

それでも、全国の酒造メーカーからの救援も受けて、設備的には順調に稼働しているとおっしゃってましたから、復活の日はもうそこまで来ているっていうところでしょう。頼もしい兄弟二人で醸す酒は、これまで以上に美味しい仕上がりになるに違いありません。信濃鶴も負けちゃいられないと、胸に刻んだ蔵見学でした。


□□□ お忙しいところをありがとうございました! □□□
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コメント

岩城

よくテレビで報道されてましたね。実は高校の一級後輩で岩城ひろみさんと言う女性がいましたが。高校開闢以来の美人で私は一度だけ磐田のお祭りにデートしたことがあって「岩城」って文字を見ただけで心臓が未だにバクバクしてしまいます(^O^)ところで発注書は届きましたか?

Re: 岩城

またディープな内輪話をご披露いただいてありがとうございます(笑)。
それも、磐城寿とはほとんど関係ないし(笑笑笑)。
でも、そんな美人とデートまでこぎつけるなんて、鳥居さんもやりますねぇ。
私には振られた経験しかありませんけどね(涙)。
ご注文は承りましたから、火曜日発送でいきますねー!

  • 2012/09/23(日) 11:11:10 |
  • URL |
  • 岳志 #GMs.CvUw
  • [ 編集 ]

磐城壽

男酒~って感じのゴツいお酒でしたね。
復活後のお酒も飲みましたが、そのDNAが、蔵の場所を移っても感じられるっていうのは素晴らしいことだと思います。
自社酵母が残っていたというのも大きい理由でしょうが、場所も水も違っても、なおその特徴が残るというのは、酵母だけじゃない何かを感じざるを得ませんね。

  • 2012/09/23(日) 13:39:05 |
  • URL |
  • ZEN #USldnCAg
  • [ 編集 ]

県を移ってまでも復活を目指すなんて、まさに不屈の闘志を感じます。
そのための設備投資もかなりの額になるんでしょうけど、
国からの支援や補償が受けられないのはやりきれないですね。
もっと実態を見て判定する体制が取れないものか...。
磐城寿は見たことも呑んだこともありませんが、
出会う機会があれば、心して呑ませていただきます!

  • 2012/09/23(日) 18:11:41 |
  • URL |
  • まっちー #-
  • [ 編集 ]

Re: 磐城壽

いい感じのゴツさを持ったお酒なんですよね。
とても美味しく飲ませていただいたのを覚えてます。
やっぱり、お酒の味には造り手の気持ちと技術が反映されます。
蔵の場所や原材料が変わってもDNAとして受け継がれる部分はあると思います。
そういういろいろが合わさってお酒の味になってるのが面白いところでしょうね。

  • 2012/09/24(月) 07:59:52 |
  • URL |
  • 岳志 #-
  • [ 編集 ]

Re: タイトルなし

いい後継者がいたってことも思い切った手を打てた要因でしょう。
社長さんもまだまだお元気そうでしたしね。
いろいろいい条件もそろっていたのかもしれません。
あれだけのことをやっているんですから、何とか支援をしてもらえたらいいんですけどね。
もし出会ったら、ぜひ楽しんで飲んでいただきたいと思います。

  • 2012/09/24(月) 08:03:34 |
  • URL |
  • 岳志 #-
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