専務取締役杜氏の純米酒ブログ

期せずして杜氏になっちまった造り酒屋後継ぎの純米蔵奮闘記

圃場巡回(つづき)

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長野県を代表する酒米の産地である、私達の住む上伊那地方ですが、一般の飯米も含めて非常に質の高いお米が収穫できる、知る人ぞ知る米穀地帯なんですよ。水は中央アルプスの伏流水が豊富に使えるわけですし、造り酒屋としてなんといい地の利を得ていることかと、この圃場巡回をさせてもらうといつも思わされますね。

以前にもご紹介したことがありましたが、飯島産の美山錦は県外の造り酒屋さんからも注目されていて、私が知っているだけでも東京で名の知れた銘柄のお蔵さん数社が買い付けに来ておられるようです。そういうルートが出来上がっているっていうことも事実でしょうが、それだけ評価が高い証拠でしょうね。『信州産美山錦使用』なんてうたっているお酒は、大抵は飯島産なんじゃないかな。

酒米に関して長野県全体の数字を見ると、今回いただいた資料によれば、美山錦5万俵、ひとごこち1万俵、しらかば錦1千俵っていうくらいの割合の生産計画になっているようです。上伊那だけで見ると、もっとひとごこちの割合が高いんじゃないかと思いますが、この数字のうちのかなりの部分はこの地方で作付けされているわけです。

ちなみに、しらかば錦っていうのは完全な酒造好適米じゃなくって、『準』酒造好適米と呼ばれる範疇のものです。信濃鶴でも昔はよく使いましたね。私が杜氏になった頃もいただいてました。美山錦への移行もあって使用量は減っていきましたが、扱い易いとてもいいお米だったと記憶しています。現在は、ほとんど作られなくなっちゃったようです。

写真は、中川村の棚田の様子。今では圃場の整備も進んで、大きな機械が入れるように田んぼ自体が広くなっているわけですが、山の中なんかではそんなわけにもいきません。中川村にはこういった棚田がいくつか残っていて、地元の有志の方たちによって管理維持されているようです。この田んぼのほとんどで美山錦が作付けされていました。

本当に山の斜面にへばりついたような小さな田んぼでしたが、ここで収穫された美山錦を使って、『今錦』醸造元の米澤酒造さんが『おたまじゃくし』っていう面白いブランドのお酒にして好評を得ておられます。ここでのお米作りは大変そうだってことは、見るだけでよく分かりましたね。山の中ですからシカやイノシシに荒らされることも多くて、周りには電気柵が張り巡らされてましたよ。

私は自分でお米を栽培したことはないんですけど、田んぼの土手に立って美山錦の穂を手で撫でていると、自分でも気が付かないうちに顔がニターっとしてるんですよね(笑)。こりゃもう自分の娘の頬を撫でているのと同じで、かわいくてかわいくて仕方がないっていう感情が込み上げてきちゃうんでしょう。ほぼ出来上がった美山錦を前にして、気持ちのいい田んぼの空気を深呼吸しながら、どんどんと酒造りモードに突入している岳志でした。


□□□ 旅に出るとコメントバックがしづらいんだな □□□
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コメント

そういえば

新聞やテレビでも取り上げられていたね。
今錦さんの取り組みは自分もおもしろいな~って思ってました。

とはいえ・・・・キーブーが米作りしたら・・・・・。

似合いすぎるな~~~(^^;

  • 2012/09/09(日) 00:39:57 |
  • URL |
  • バンダナ #-
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米作り

冬は酒造り、夏は米作りをなさってる蔵元さんもいらっしゃいますよね。
志をもって自農されている方もいらっしゃれば「お米を買っていたら採算が合わないから」という、悲しい理由のところもあるようですが…(汗)

いずれにしても、自分が作ったお米をお酒にするのって、どんな気持ちなんでしょうかね。

それはそうと、お出かけとは…年内最後の営業でしょうか??

  • 2012/09/09(日) 06:55:24 |
  • URL |
  • ZEN #USldnCAg
  • [ 編集 ]

私が学生時代にお世話になった先生のところの田んぼです!先生を訪ねた帰りに何度か長生社さんの蔵元にもお邪魔しました。私は飯田線の電車や電気機関車を撮影しに70年代から伊那に通っていました。無人駅の田切駅(以前の場所)に泊まった事も何度もありました。信濃鶴はその飯田線の沿線で育った酒米から醸造されたお酒なので大変愛着を感じています。

  • 2012/09/09(日) 07:42:41 |
  • URL |
  • 団長 #RzxuB/2w
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Re: そういえば

とても気持ちのいい場所にある田んぼなんですよ。
カメラマンもよく来るんだそうです。
とれる量が極少量なのでできるお酒も少ないようです。
私も米作りってやってみたいんですけどね。
でも、体が持たないんじゃないかと・・・(汗)。

  • 2012/09/09(日) 09:15:05 |
  • URL |
  • 岳志 #-
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Re: 米作り

夏米を作るっていうのは蔵元の夢でしょうね。
それができているお蔵さんは素晴らしいと思います。
どんな理由にせよ、一番面白い酒造りじゃないですかね。
米に対する愛情がワンランク上になるでしょう。
それが手を抜かない酒造りに絶対につながってくるはずです。

  • 2012/09/09(日) 09:18:31 |
  • URL |
  • 岳志 #-
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Re: タイトルなし

団長さんは信州大学の農学部とかにいらっしゃったんですかね。
あの農家さんなら先生にだって十分なれるでしょう。
知識っていうより経験とか情熱っていう部分で学ぶべきところが多いはずです。
飯田線や信濃鶴にとても愛着を感じていただいていてうれしいです。
私もこの地からいいお酒を造り出せるように頑張りたいです。

  • 2012/09/09(日) 09:23:51 |
  • URL |
  • 岳志 #-
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原動力

こんな斜面の棚田で米作りするのは手間もかかって大変な苦労がありそうです。
その手間隙を惜しまないから良い酒米が育つんでしょう。
農家さんが丹精込めて作った米を使うんだから、
手抜きなんかはできないし、良いお酒を造る原動力にもなりますね。

今頃は仙台日本酒フェスト夜の部の真っ最中で、長い一日ですね。
終了後の打ち上げは盛大に酔っ払うでしょうね!(笑)

  • 2012/09/09(日) 17:03:44 |
  • URL |
  • まっちー #-
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Re: 原動力

本当に大変な仕事だっていう説明でした。
ほとんどがボランティア的に行われているとか(汗)。
それだけ酒造りには力が入るでしょうね。
いろんな人の思い入れがお酒にこもっているはずです。
やっぱり、美味しいお酒なんですよ!

  • 2012/09/11(火) 07:38:59 |
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  • 岳志 #-
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