全国新酒鑑評会で「金賞」を受賞しましたよ。
いやー、まぐれまぐれ。
でも、ここまでの道のりはそれなりに長かった・・・。
地元の美山錦を使って、純米酒規格で、ヘッポコ杜氏という三重苦を背負った長生社の信濃鶴が、本年度の全国新酒鑑評会でついにやってくれました。信濃鶴を応援してくれている方々にお礼を申し上げ、長生社の社員全員と喜びを分かち合いたいと思います。1日中携帯が鳴っているくらいお祝いの電話も日本中からいただいて、本当にありがとうございました。
金賞受賞酒のほとんどが、西日本産山田錦を使ってアルコールを添加した吟醸酒という現在の状況で、地元産美山錦の純米吟醸というスペックはほとんど無謀な賭けです。いくら会社のポリシーだと言っても、もうこれで信濃鶴は金賞とは縁が切れたと思った人たちも多かったでしょうねぇ。
私自身も「挑戦することに意味があるんだ」と自分に言い聞かせていた部分もありました。今回金賞を受賞して「感無量(涙)」というより「あービックリした(笑)」っていう感じでしょうかね。でも、決してあきらめてはいませんでしたけどね。
これまで私が杜氏役をなんとかこなすようになってから、全国新酒鑑評会で金賞を受賞したことがなかったわけじゃぁないんですよ。
平成10年度 ×
平成11年度 ×
平成12年度 ◎金賞
平成13年度 ◎金賞
平成14年度 △入賞
平成15年度 ×
平成16年度 △入賞
平成17年度 △入賞
平成18年度 ◎金賞(本年)
こんな感じでした。入賞というのは、成績優秀ではあるけれど金賞には手が届かないというレベルのもので、ほとんど評価されません。つまり、金賞でなくっちゃぁ意味がないんです。3回目の受賞ということになりますが、今回の金賞はこれまでとは全然意味が違います。
杜氏になりたての頃はやっぱりうまくいくわきゃぁない。平成9年までは6年連続で金賞を受賞して、長生社はその当時の連続金賞受賞日本記録を持っていたのに、私がそれを途絶えさせてしまいました。前杜氏からいくら教わったといっても、自分の判断で吟醸を造るのは大変なことでした。細かいテクニックにも目がいっていませんでしたね。
吟醸造りが少し分かってきて平成12、13年は金賞でした。この2年間は全国以外の品評会でも全て金賞受賞で、すこぶる快調でした。実は、この年までが山田錦のアル添吟醸だったんです。そのまま続けていれば、もうちょっとは金賞も受賞できていたかもしれません。タラレバでものを言っちゃぁいけませんけどね。
しかし、翌年から純米吟醸酒に、翌々年から地元産の美山錦を使用するように、きっぱりと変更してしまいました。だって、地元産美山錦の純米酒一本でやっていこうと会社の方向転換をしたのに、山田錦のアル添吟醸造りの技術を磨いても仕方ないですからね。ちょっとだけ度胸は必要でしたけどね。
そして、その年からパッタリと金賞はとれなくなっていたんです。そこからの5年間が長かったんだな、これが。そんな吟醸酒を出品しているお蔵なんか私の周りにはなかったので、お手本はどこにもないし、自分で手探りするしかありませんからね。もともと腕のある杜氏ならばしっかりとした方向性を見出せるのでしょうが、わたしゃぁ五里霧中・・・。
別に今回金賞を受賞したからといったって、5年間かかって最善の方法を探り当てたというわけじゃぁないですよ。どんな造り方がいいのか、まだ全然分かっていません。だから、今回はまぐれだっちゅうとるんです。少しだけいい方向に向える様になったっていうくらいじゃないですか。
でも、自分のポリシーを曲げないで金賞にたどり着いた意義は大きい。「為せばなる、為さねばならぬ何事も、為らぬは人の為さぬなりけり」って、どっかの偉い人が言ったとか。今日くらいはこの余韻に浸っていたいねぇ。
偉そうな事言いましたけど、まあ、金賞とった時くらい多少ビッグマウスになってもいいでしょう。お許し下さいね。もう一度同じ事やっても同じ酒が出来るわきゃぁないんだし、来年は来年で受け身にまわらない挑戦をしますよ。今後数年は金賞はとらんでも、今回の金賞受賞を使いまわして宣伝しときゃぁいいでしょう。これで私も来年の鑑評会までは、仲間内でデカイ顔ができますしね・・・(笑)。
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