昨日ご紹介した、『澤姫』を醸す井上清吉商店さんで教えていただいたことなんですけどね、このブログをご覧の読者の皆さんにとってはあまり関心が高くないとは思われますが、もしかしたら読んでるかもしれない同業者さんのためにも、ちょっと記事にしときましょう(笑)。私の備忘録的な意味も含めてね。
お酒のもろみを仕込んで、それを理想とする方向性の中である状態に導いていくことが、私達が冬の間にやっているもろみ管理なわけですが、その過程の中で重要な位置を占めるのが各種の分析です。昔は杜氏さんの勘と経験と度胸で判断していたものを、今ではいくつかの分析指標を使って、より正確な意思決定につなげています。
日本酒度、アルコール度数、酸度、アミノ酸度なんかが一般的ですが、それに加えてグルコース濃度の測定が重要だと言われてるんです。グルコースなんて聞くとよそよそしいですけど、つまりは糖分のことだと思ってください。特に、品評会用の出品酒に関しては、結構いろいろな研究もなされているようです。
極々簡単に言うと、日本酒っていうのは、お米のデンプン質がグルコースになって、そのグルコースがアルコールになるっていう2段階のステップを踏んでできています。最初の段階に関与しているのが麹菌で、次の段階に関与しているのが酵母菌ってことになりますね。ある意味で中間物質となるグルコースの濃度を測定することがいかに重要なことかは、読者諸氏にもお分かりいただけると思います。
ところが、このグルコースの濃度ってーのは簡単には測れないんだな、これが(汗)。きっと、分析方法はいくつかあるでしょうし、そのうちのどれかは私達のような小さな蔵にもあるような原始的(?)な分析機器を使ってもできるのかもしれませんが、ひと言で言っちゃえば分析装置が高くてなかなか手が出ないってことなんですよ(涙)。
安くても20万円、もっと正確に測定しようとすると数百万円なんてぇことになっていきます。そこまでのお金をかけて、実際の現場でそれほどまでには重要視されていないグルコースの濃度を測るってことは、小さな蔵であればある程、優先順位が下がっていっちゃうわけです。ある程度の規模のお蔵さんじゃないと、持つことは難しいんじゃないですかね。
ところがところが、実に安価に分析できる機械があるっていうんですよ。それは、血液中のグルコースを測る物なんです。何に使われているものかっていうと、糖尿病の患者さんが血中の糖濃度を日々測定するためのもので、その辺のドラッグストアでも売ってるらしいですね。価格は2万円もしないくらいだそうで、これなら買えるっていうレベルじゃないですか(笑)。
実際問題としては、もろみ中のグルコースと血中のそれでは、溶存している液体そのものの性質が違うもんだから、ある程度のバイアスがかかっちゃうみたいですが、それでも検討に値する情報ですよね。私にとっても、グルコース濃度っていうのはこれまでは触れずにきた領域でしたから、今年の冬からはもしかしたら測定してみるかもしれません。まぁ、それで信濃鶴が美味しくならなきゃ、あんまし意味ねーんですけどね(笑)。
□□□ 2000ポイント超えはでき過ぎです □□□
■■■日本酒の未来のためにクリックお願いします!人気ブログランキングへ■■■