専務取締役杜氏の純米酒ブログ

期せずして杜氏になっちまった造り酒屋後継ぎの純米蔵奮闘記

余裕

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美味しそうでしょう。今年の我が家の初物のキュウリです。娘と一緒に畑から採ってきて、味噌をつけてバリバリ食べました。これからしばらくは、毎日家に帰ると畑に直行して、美味しそうなのをもいで来て、味噌で食べるのが日課になります。キュウリはこういう食べ方が一番だと思ってるんですけどね。

採れたままが最高の味だっていう代表例が、私にとってはこのキュウリかもしれません。記憶にあるところだと、トマトも本当に美味かった記憶があるんだけど、近年我が家の畑では上手に栽培できなくなっちゃって作ってないんです(涙)。魚介類の新鮮さにも通じるところはあるでしょうが、そのまんまっていうことがいかに素晴らしいか、このキュウリを食べる度に実感しますね。

できたままで十分美味しいのが自然の産物ですが、振り返って考えてみると、日本酒っていうのは自然の為すがままっていうところからは少し外れているのかもしれませんね。まぁ、為すがままじゃお酒なんか醸造できないわけで、人為的な操作がなければ、私達が楽しめる程の高濃度のアルコールなんて自然界には存在し得ないんですけどね。

それでも、これまで私が拝見してきた名杜氏さんたちの酒造りには、どこかに自然に任せるっていう部分もあったような気がするんです。麹の造り方にしても、もろみの誘導の仕方にしても、あまりこちらの思う通りに強引にやらずに、麹菌や酵母菌が自然に生育していけるようなもっていき方をしているんじゃないかって感じることが多かったんですよね。

それは、酒造りの全体に目を向けられていて、ある程度の軌道修正がどこかでできるっていう経験の違いによるものなのかもしれませんが、ある意味では、仕事に対する余裕と言うか、大らかさと言うか、度量と言うか、人間的な部分から出てきているスタンスのような気もします。年齢を加えていく中で醸成されていく要素も大きいかもしれません。

更にここで我が身を振り返ってみると、私の酒造りには、今のところほとんど余裕はありません(汗)。まだまだ若気の至りのような酒しかできていない気がしますね。何としても美味い酒にしようという意識が強くて、造り込もう造り込もうとしてるんじゃないかな。こうするべきだっていう思い込みも多々あるんだと思います。

ある調理学校の校長先生のお話の中で、「料理の盛り付けには、必ずお皿の余白の部分が大切です。日本酒ももう少し引いたところがあってもいいんじゃないか。これでどうだっていう味もありだが、控え目なそれもまたいいんじゃないでしょうか」と言われてました。これは、信濃鶴にも当てはまる話だと、うなづきながらお聞きしたんですけどね。

「ある一線を極めれば、その先に何かあるかもしれない」っていう思いが私の中にあることは確かです。前人未到の純米酒なんてあるわきゃないんですけど、いつかそんなものにたどり着いてみたいという夢はありますね。ま、そこまで行ったら、後は力を抜いてだらだらと酒を造ってみてもいいんだけどなぁ(笑)。


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コメント

とれたて

いいですね~!

子供の頃、祖母が家の近くの貸畑を借りていたことがあるんですよ。
たった2年ぐらいですが、その時に収穫して食べた農作物は美味しかったなぁ~
トマトも、今のトマトよりも甘味はないけど野性味のある味だったように記憶しています。

自然な醸造に任せるというと、真っ先に浮かんでくるのが「雪の茅舎」の高橋杜氏ですね。
櫂を入れないっていうのは、それでもお酒になるのはわかっていても、なかなかできないことですよね(汗)

  • 2012/07/05(木) 07:34:34 |
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  • ZEN #USldnCAg
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Re: とれたて

プロの農家さんのようにうまく出来なくたっていいんですよね。
とれたてって言うだけでどんな野菜も美味しいもんです。
農薬もあまり使わずに済みますから、その野菜の素性も安全です。
櫂を入れないお蔵さんなんてあるんですねぇ(汗)。
その方が絶対にいいっていうんなら、私もそうするんですけどねぇ、楽だし(笑)。

  • 2012/07/05(木) 07:49:20 |
  • URL |
  • 岳志 #-
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さわりなく水の如くに飲める酒

日本酒ももう少し引いたところがあってもいいんじゃないか。これでどうだっていう味もありだが、控え目なそれもまたいいんじゃないでしょうか>>
日本の酒の著者、坂口謹一郎先生は
「さわりなく水の如くに飲める酒」を理想の酒とされ、それは、「たとえ酒の姿にいかような極端なくせや特徴があろうとも、それはその酒の持ち味であり、めいめいの好き好きによることでもあるが、酒質の調和だけは日本酒に限らず世界中の酒を通じての、大切な基本的性格である。」とし、「うちに千万無量の複雑さを蔵しながら、さりげない姿こそ酒の無上の美徳であろう。」とか書かれています。
※太字化は僕がしました
ひところ「○○水の如」しという銘柄がもてはやされましたが、単に水の如しの酒はすぐに飽きられてしまいました。

我が家も今年はキュウリ植えてませんが
去年・一昨年キュウリ植えました
捥ぎたて美味しいよね♪
丸ままかじる!!これが一番美味しい
料理になるか只の食べ物になるか
それは~盛り付け次第って
ある方が言ってたな~いい言葉だと思う☆

  • 2012/07/05(木) 09:45:48 |
  • URL |
  • hisami #-
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採れたての味

もぎたてのキュウリは瑞々しくて美味しいでしょうね!
実家の裏の畑でも作ってましたから、小さいときは食べたことがあります。
最近は、そういう、もぎたての味を楽しむ機会が無くなってしまいました。
それでも、畑をやってる知り合いが毎年、採れたての枝豆を持ってきてくれて、
それでビールを飲むのが楽しみになっています。
採れたての枝豆の味も、売ってるのとは違いますよね。

あまり手を加えずに自然の成り行きに任せる...
それも長年の経験を積んで初めて成せる技なんでしょうね!

  • 2012/07/05(木) 12:30:50 |
  • URL |
  • まっちー #-
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Re: さわりなく水の如くに飲める酒

うーん、深い!!!
いい言葉をいただき、ありがとうございました。
偉大なる先生ならではの蘊蓄あるお言葉じゃないですかね。
それを思えば、私の酒なんてまだまだだと自戒するばかりです(汗)。
『酒質の調和』が世界中の酒の大切な基本的性格だと言い切れることが素晴らしいです。
私とすれば、目からうろこの一言でした。

  • 2012/07/05(木) 18:36:10 |
  • URL |
  • 岳志 #-
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Re: タイトルなし

キュウリはとにかくそのままが美味しいと思い込んでます(笑)。
実際にそれ以上に美味しい食べ方があるかなぁ・・・。
人間に食べられようとして大きくなってるわけじゃないのにね。
それを人間が美味しいと感じるってことは少し不思議です。
やっぱり人間も自然の一部だってことでしょうかね。

  • 2012/07/05(木) 18:38:07 |
  • URL |
  • 岳志 #-
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Re: 採れたての味

誰が育てたキュウリだって、こういう風に食べたら美味しいと思いますよ(笑)。
我が家のキュウリも、全然特別なことのない育て方をしてます。
あとは、それが旬のものかどうかも重要なんじゃないですかね。
1年中採れるキュウリじゃ、この美味しさはないんじゃないのかなぁ・・・。
キュウリの育ち方とお酒のもろみの育ち方が同じに思えるようになれば、少しは進歩したってことになるかもしれません。

  • 2012/07/05(木) 18:41:13 |
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  • 岳志 #-
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