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専務取締役杜氏の純米酒ブログ

期せずして杜氏になっちまった造り酒屋後継ぎの純米蔵奮闘記

伊那醤油(おまけ)

2012060118370000.jpg

昨日のブログに、伊那醤油さんでほんの少し醤油用の大豆麹をいただいたと書きましたが、その使用目的が実はあって、社長のYさんに「お前も醤油を仕込んでみろ」って言われてたんです。ほんの少しだけ麹をやるから、家で小さな容器に入れてやってみたらどうだってことで、1.5キロ分けていただきました。

やることは簡単で、この量の大豆麹に対して2.0リットルの塩水を準備しておいて、その中に投入するだけです。塩水の濃度は23%っていうことだったので、塩460グラムを入れて撹拌しておきました。仕込とも何ともないですが、とにかく塩水に醤油用の麹が入った後の様子が上の写真です。これを、初期のうちは毎日撹拌しなくっちゃならないみたい。

ところが、翌日に撹拌しようとしても水分を全部吸っちゃって、かき混ぜようもなかったので、ちょっとおかしいと思ってYさんに電話すると、2.0リットルの塩水じゃ足りなかったようで、もう700グラム分の塩水を足せとのこと(笑)。そいつを加えたら、なんとかもろみっぽい状態になってきましたが、清酒のそれに比べると明らかに固形分の比率が高くてモコモコした感じのものですね。

写真で見てお分かりのように、黄緑色をした直径1センチほどの丸い『でん六豆』状のものが大豆麹で、それより黄色くて小さな粒が小麦を焙煎したものです。麹菌は大豆にしか繁殖していないようですが、製造過程では小麦も一緒に混ぜ込んで麹にしているようです。その辺の詳しい工程は、ちょっと不確かなんですけど・・・(汗)。

今はこんな状態ですが、これが日が経つにつれて、濃い茶色のドロドロした液状になっていくんですから不思議なものです。伊那醤油さんの蔵の中を見せていただいた印象では、それほど厳密に微生物の管理はしなくてもいいようですから、きっといろんな生き物が醤油の醸造には関係しているんでしょう。

日本酒の場合は、相当に制限された微生物しか関与しません。極論すれば、麹菌と酵母菌のみです。そしてその酵母菌も、いろんな種類がある中でも協会何号といった、単一の種類だけを分離して使います。他の酵母菌が混入しただけでも汚染っていうことになる程、清潔さを徹底した管理が要求されますが、醤油の醸造はそこまでのことは必要ないみたいですね。

醤油もろみの中にはある種の酵母菌も生きているでしょうが、それは清酒もろみとは違って、アルコール発酵がメインっていう活動ではないのかもしれません。とにかく、これだけの物量を分解するっていうこと自体が大変な仕事でしょうから、大豆のタンパクや小麦のデンプンを複雑な菌類の相関によってアミノ酸や糖分に変えていく作業に1年という長い時間がかかるってことなんでしょうね。

さてさて、出来上がりが楽しみなこの醤油もろみではありますが、しばらくしてそれほど手がかからなくなったら、母屋の味噌蔵にでも入れておきましょうかね。光は当たらない方がいいみたいですから、我が家の台所よりはその方がいいでしょう。今から考えると、仕込水に家の水道水を使いましたが、蔵の井戸水を汲んでくれば良かったと後悔しているところです(汗)。何はともあれ、1年後が楽しみな、大人の実験レポートでした。


□□□ ご希望があれば醤油麹の販売もしてくれるそうです □□□
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コメント

お酒とはずいぶん様子が違いますね~

そういえば、そんな塩分の中で活動できる菌ってのも限定されますよね。
それによって関与する菌をセーブしているんでしょうか?

日本酒も醤油も、よくまぁそういう微生物のことがわかる前から作られていますよね。先人の知恵には驚くばかりです。

  • 2012/06/03(日) 07:37:14 |
  • URL |
  • ZEN #USldnCAg
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信濃鶴印の

醤油が販売されたりして・・・それはそれでレアかも・・・

  • 2012/06/03(日) 08:01:01 |
  • URL |
  • kida #-
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へぇ~~~~!!これが!!
醤油になるんですか!!(驚)
こんな固形状の物が液体になるって??!!
醤油って凄い神秘ですね☆
経過報告が楽しみです

  • 2012/06/03(日) 09:19:42 |
  • URL |
  • hisami #-
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以前・・・

仲間で醤油を仕込んでいるって方から、手作り醤油を分けてもらいました。
もったいなくて、ちょっと味見しただけで、冷蔵庫で眠っていますけど、市販のモノに比べると香りもいいような&まろやかってか・・・

信濃鶴の杜氏さんが造る手作り醤油・・・1年後の出来上がりが楽しみですね~~どんな醤油が出来上がるんでしょう

何か操作ミス?が有ったんですか~~ww

  • 2012/06/03(日) 16:46:09 |
  • URL |
  • タッキー #-
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チャレンジ

発酵物と言っても醤油と日本酒じゃ、その様子も随分と違いますね。
醤油造りが日本酒の造りに何か参考になるか分からないけど、
美味しい醤油ができれば奥さんも喜んでくれるから良いですよ!(笑)
たとえ失敗したって、ブログネタには使えそうですしね♪

岳志さんのブログは休日でもポイントが下がらないようで、
てか、いつもよりも高くて2000ポイントをオーバーしてるし。
ランキング一位に返り咲いてますよ!

  • 2012/06/03(日) 16:55:21 |
  • URL |
  • まっちー #-
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Re: 醪

これがもろみって言われても全然信用できないくらい別物ですね(笑)。
色も形状も違いますから当然ではありますけどね。
醤油麹に塩を入れるのは、雑菌の活動の抑制っていう意味合いもあるようですね。
こんなに塩っぽければ、清酒酵母は活動できないんじゃないですかね。
そんなこと知らずに、営々と先人は造り続けてきてるんですから頭が下がりますよ。

  • 2012/06/04(月) 07:47:59 |
  • URL |
  • 岳志 #-
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Re: 信濃鶴印の

そんな醤油ができれば、どえらいレアではありますが(笑)。
このもろみからじゃ、それほど量は造れないでしょうね。
自分でちょっと楽しめればそれでいいと思ってます。
そこまでいくかどうか・・・。

  • 2012/06/04(月) 07:49:43 |
  • URL |
  • 岳志 #-
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Re: タイトルなし

ちょっとびっくりでしょ、このもろみ!
これが醤油になるなんて、信じられませんよね(汗)。
私だって、まだ信じられていないっていうレベルですよ(笑)。
醤油も日本酒も、やっぱり神様が造ってくれているのかもしれませんね。
上手くいったら経過報告しますね。

  • 2012/06/04(月) 07:53:57 |
  • URL |
  • 岳志 #-
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Re: 以前・・・

やっぱり手作り醤油は美味しそうですね。
ちょっと違った味もするのかもしれませんが、そこがまたいいというか(笑)。
どんな味になるのか、私もとても楽しみにしています。
杜氏が造る醤油っていうのもなんだか面白そうな響きですが、醤油にも杜氏さんっていう立場の人がいるのかな?
記事の投稿に操作ミスがありました(汗)・・・分かりました?

  • 2012/06/04(月) 07:57:33 |
  • URL |
  • 岳志 #-
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Re: チャレンジ

全く別物のもろみっていうか、もろみに見えないっていうか・・・。
これがどんなふうに変化していくのかは、私としても興味のあるところです。
日本酒の造りには生かせる部分はあまりないかもしれないですけどね。
たとえ失敗してもブログネタにっていうのは読み過ぎです(笑)。
ランキングのポイントがどえりゃー高いのはナゼ?

  • 2012/06/04(月) 08:02:18 |
  • URL |
  • 岳志 #-
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醤油と木樽

週末は三重のお蔵さん見学。久しぶりに鶴を読んだら醤油話しでびっくり。
実は先月 銚子の酒と醤油見物をやって 醤油工場で製造を教えてもらったのですが、酒造りの先入観を持っていたためか 良く理解出来なかったのです。もう一度行かないと と考えていました。
そして今回の三重。醤油は今も木桶や木樽が活用されているようですが、日本酒でも木桶復活させる活動がありますよね。これに懐疑的な意見を述べたら 三重のある蔵元は 「品評会向けの技術力は最高だと思います。でも技術向上の過程で昔の良さを捨ててきたのではないでしょうか。木桶を使わなくなったことなどがそうなのではないか と考える昨今です。」 
この考えは新鮮でした。新しいものほど良い という考え方が実は必ずしも正しいわけではない ということなのです。タンクまでそれが当てはまる可能性があるとは想像もしませんでした。反省します。

  • 2012/06/04(月) 10:17:17 |
  • URL |
  • 泉山 #-
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Re: 醤油と木樽

泉山さんも、醤油に関係の深い近況だったんですね(笑)。
お酒や醤油など、醸造物にかなりのご興味がおありのようで、私も負けてられませんね。
三重の蔵元さんの話は、特段日本酒の製造に偏った話ではなくって、これまで私たちが利便性と経済性だけを追求して今の社会を創ってきたことにも当てはまる内容だと思います。
そういう過程で、何か大切なものを切り捨ててきてしまったんじゃないかっていう反省は、自分の仕事以外にも考えさせられることが多いです。
信濃鶴の純米化の流れには、そういう考え方も大きな役割をはたしているんですけどね。

  • 2012/06/04(月) 17:25:08 |
  • URL |
  • 岳志 #-
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