専務取締役杜氏の純米酒ブログ

期せずして杜氏になっちまった造り酒屋後継ぎの純米蔵奮闘記

クレーム

駒ヶ根高原にはいくつもホテルがあります。駒ヶ根市は観光資源が豊富ですから、それなりの数の観光客がお見えになります。ほとんどのホテルには、地元の酒ということで信濃鶴を納入させていただいています。ありがたいことです。昨日あるホテルからクレームがきました。毎度の事ながらギクッとするんだよねぇ。

うちの社員が飛んでいって、そのお酒を引き取ってきました。
「このまま飲めばいいんだけれど、お燗をすると何かおかしくなる」
とのこと。
「何だ、そりゃ?」
ちょっとよく分からない・・・。

見た感じはおかしいところはない。分析してみてもアルコール度数や日本酒度や酸度の値は全く正常でした。実際に飲んでみてもいつもの感じ。こいつぁ、おかしくなんかないよ、お燗のつけ方に問題があるんじゃないの?

で終わりにしたかったんですが・・・その社員からよく話を聞いてみると、どうやらそうではないらしい事に気が付き始めました。やっぱりお燗のつけ方も正常なんじゃないか、これは信濃鶴の酒質の問題じゃぁないのかと。

冷やで飲むととてもフルーティで美味しいのに、お燗をすると粕臭くて飲みづらくなる。これに似た評価を聞いた事がありました。それは、「吟醸酒をお燗しちゃぁダメだ」と主張する人の意見でした。

なるほどこの数年、信濃鶴は香りの高い酒になってきています。純米吟醸なんていうわけにはいかないけれど、人によっては高すぎると言う人もいるくらいです。私は香りが高い酒がいい酒だと思っているわけではありません。味のことも考えなくっちゃならないし、味と香りのバランスも大切でしょう。

でも、丁寧に酒を造ると、香りって自ずと出てくるもんなんですよね。吟醸酒とは「吟味して醸した酒」です。吟味して醸すことであのすばらしい吟醸香が出てくるのです。普通純米酒だって、吟味して醸せば香りの高い酒になってきます。

きっと、「おかしい」と言ったお客様は、こんな感じを持たれたんじゃぁないでしょうか。いつものお燗とちょっと違う事に、すぐ気づかれたのだと思います。これまで、その手のクレームがついた事はあまりありませんから、敏感な舌の方だったのでしょう。

飲み屋さんで言われることはあります。信濃鶴はぬる燗はいいんだけど、熱燗にはちょっと不向きだと。これまでの概念で言えばそうかもしれません。そこは少し吟醸気味な純米酒の弱味なのかもしれないですね。

しかし、これでいくと決めたんです。この酒質を突き詰めていこうと思っています。お客様には説明して分かってもらうしかない。ある小売店の方に、飲んでいて言われたことがあります。
「オレは、この熱燗はうまいとは思わない。でも、お前ならこれをみんなに美味しいと言わせることができるかもしれん」

自己満足に終らないように、まだまだ皆さんの意見を聞かなくっちゃなりません。もっともっと美味い純米酒を造れば、そういう意見も出なくなるかもしれません。頑張りがいがあるってもんです。

「勇みて進め、小さき者よ」・・・と言ったのは有島武郎だったっけなぁ。


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朝一番でもろみをヤブタ(もろみを搾る機械)へ押し込む。これまで私のやっていたやり方よりも、他の連中がやっているやり方の方が、どうやらうまくできそうだ。Kさんに教わってそのやり方でやってみる。確かにうまくいった。今度からそのやり方でやってやろうじゃないの。
その後は昨日に引き続き火入れの準備。細かいものばかり洗って、肩がどんどん痛くなる(涙)。今週中に火入れできるかなぁ?


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ついに抜かれちゃいましたね。仕込みが終って気が抜けたら、ブログの順位も下がるってぇのは、何かを示唆しているんでしょうかねぇ。


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コメント

( ̄□ ̄;)!!

人の味覚なんて千差万別、十人十色。
1人に合わせたらキリがありません。
しかし、去年の信濃鶴はぬるぬる燗がおいしかった!
じゃ、今年は?
すみません。このブログ読むまで試してませんでした。
これでは、この旅館さんと同じですね。
プロとしてオハズカシイ。
もちろん熱燗でも悪くないとは思いますが、最高に美味しいのは、ぬるぬる燗でした。去年までは。
さっそく明日、試してみます。

  • 2007/04/20(金) 03:06:03 |
  • URL |
  • えっちゃん #sj93pB3o
  • [ 編集 ]

味覚

確かに人の味覚はみんな違いますもんね。
私も吟香っていうのか分からないですが、あの香りが強い物は苦手です。難しいですが、ほどほどがいいです。笑
やっぱお燗は本醸造かレギュラー酒が好きですし…

私は何か食べながら飲む方が好きなので「すっきりしていて、香りが強すぎない、キレイな酒。」が好きなのですが、よく飲みに行く同僚なんかは「どっしりとしたちょっとしつこい位な味の酒」が好きらしいので、やはり人の好みは様々ですね。
一回信濃鶴の生貯を飲みましたが、私は非常においしく感じました。だから、今回はただちょっと運が悪かったみたいですね(>_<、)

  • 2007/04/20(金) 11:25:11 |
  • URL |
  • 田中 #-
  • [ 編集 ]

Re:( ̄□ ̄;)!!

そうなんです。
万人に合う酒はありません。
10人のうち1人がおいしいと言ってくれればいい、なんて言う蔵元さんもいますが、私はおいしいと言ってくれなくてもいいから、10人に5人くらいが文句を言わずに飲んでくれる酒を造りたいです。
私も、鶴のぬるぬる燗が大好きです。
試してみてね。

  • 2007/04/20(金) 23:56:20 |
  • URL |
  • 岳志 #-
  • [ 編集 ]

Re:味覚

そうそう、ほどほどの香りっていうのがいいんです。
私もそんな酒を目指しています。
ただ、今年はちょっと出過ぎたかもしれません・・・。
すっきり系とどっしり系に分ければ、私はすっきり系を目指しています。
でも、その中に穏やかな味があるのがいい、なんて勝手に思ってるんですけどね。
なかなかそんなに都合良くはいきません。
まあ、田中さんの口には合ったみたいですから、とりあえずは良しとします(笑)。

  • 2007/04/21(土) 00:03:40 |
  • URL |
  • 岳志 #-
  • [ 編集 ]

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