専務取締役杜氏の純米酒ブログ

期せずして杜氏になっちまった造り酒屋後継ぎの純米蔵奮闘記

入蔵(1)

ついに、今年の造りが本格的に始まりました。昔、蔵人が新潟から来ていたときには、駒ヶ根に来た日を「入蔵(にゅうぞう)」と言って、会社でお祝いをしたものです。今はほとんど社員だけで酒を造るので、これといった日はありませんが、気分的にはおとといあたりから「入蔵」した感じでしょうか。

これまでも、蔵の掃除や片付けなど少しずつやってはいましたが、洗い物を一気に2階から降ろして、ムロ(麹を造る部屋)を拭き上げて消毒をして、仕込み水を取る準備をして・・・となってくると、「今年も始まったー!!!」とやる気が出てきますね。

わが社では5月の連休過ぎあたりまで、お酒を造っています。造り終わると「皆造(かいぞう)」と言って、これもまた盛大にお祝いをするのですが、この頃には、
「もう、勘弁してくれ!こんなつらい造りはもういやだ!」
くらいに思っているのですが、夏を越えて秋風が吹き、米の収穫が始まる頃になると、
「今年はどんな酒を造ってやろうか。あんなこともやってみようか。」
なんて、知らないうちにやる気になってます。バカだね・・・。

実際の仕込みが始まるのはもう少し先ですが、仕込みの作業に入る前にとにかく大切なのは、掃除、洗濯、殺菌、消毒です。蔵に入りたての頃によく前杜氏に言われました。
「蔵の仕事の半分以上は掃除と洗い物だ」
これが一番大切な仕事だというのです。どんな技術もしっかりとした土台の上でしか花を咲かせません。小手先の技術なんて二の次なんです。この基本ができていない蔵では、いい酒は絶対にできないでしょう。わが社もまだまだ。

もうひとつ厳しく言われたのは
「手を洗え」
でした。目に見えない麹菌や酵母菌を扱うのですから当然なんですが、この基本ができるようになって始めてプロに近づくのだと思っています。どんな技術も幼稚園児に教えるレベルの基礎がなければ意味がないのです。それは技術や知識の問題ではなく、心の問題なんでしょうね。そういう心で醸さないといい酒はできないということです。

そんなことも思い出しながら、一日中掃除をします。一日中ムロの床や壁や天井を拭き掃除しました。何回となく雑巾を絞るので、手のひらは真っ赤かになって、一枚皮がめくれそうになります。それでも、自分の心を磨くつもりで雑巾で床を磨くのです。

そんなカッコいい事言っても、2日もやれば体がバキバキになってしまいました。これで今年の造り大丈夫かなぁ・・・。

コメント

 そこまでやるなら さぞ整理整頓が行き届いているのでしょうね。
一度見学させてください。
できたら 5Sはこうやってやるんだ っていう見本として
多くの人に公開するなんていうのもいいかもしれませんね

  • 2006/10/29(日) 19:18:13 |
  • URL |
  • acb #-
  • [ 編集 ]

Re:acbさん

>さぞ整理整頓が行き届いているのでしょうね
ギクッ!・・・ちょっとおおげさに書きすぎたかなぁ・・・
acbさんの会社で言われている様な意味での整理整頓という感じではないかもしれませんが、土蔵の中を常に清潔に保っておくことは、結構大変です。
ところで5Sって何でしょう?勉強不足ですいません。

  • 2006/10/30(月) 08:43:11 |
  • URL |
  • keyboo #-
  • [ 編集 ]

5Sについて

新潟の有力酒蔵で5Sを入れて成果をあげているようです。整理・整頓・清掃・清潔・躾の頭文字をとって5Sです。結構いろいろなノウハウがあるようです。私の好きな5Sは仕事・スポーツ・食・酒・○です。この5Sは元気の5Sです。

  • 2006/10/30(月) 10:58:35 |
  • URL |
  • ヨコハマ #-
  • [ 編集 ]

Re:5Sについて

ありがとうございます。よくわかりました。
木曽のある造り酒屋さんへ蔵見学に行ったときも、倉庫も含めて、大変きれいに清掃されていて、感心したことがありました。
いい酒を造る蔵は、その辺から違うんでしょうね。新潟に負けないためにも、5Sを心に刻んでおきます。
ちなみに、ヨコハマさんの5Sもよくわかりますよ。

  • 2006/10/30(月) 12:13:04 |
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  • keyboo #-
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