スランプ(つづき)
というわけで、変化に乏しい長い半年の造りの期間に、何回かはスランプに陥ります。毎日同じ事を繰り返している・・・はず・・・にもかかわらずです。
ある日ふと気が付くと、何か麹の出来が悪いじゃん。「あれ、こんなはずじゃぁないぞ」と思って、注意して見るようになるとよけいに納得がいかなくなる。「こんなんじゃぁいい酒になるわきゃぁねぇでぇぇぇ!なにひったるんでんだ!オイ!」と、自分を追い詰めてみても、一旦スランプ状態になると、時すでに遅しでなかなか這い出せません。
これまでと同じようにやっているつもりなのに、どこか出来がイマイチな状態に陥るわけです。きっと、客観的に見たり、分析をしてみたりすれば、大して悪くはないのかもしれません。でも、手を下している本人がダメと言ったら、それはダメなんです。数字じゃぁない。
いつも思うんですよ。同じ様にやってるはずなのに何でだろうって。実際問題としては、ほんのちょっと気を抜いていたために工程の標準がずれてしまっていたり、いつもより楽なやり方に流れてしまっていたり、こちら側で制御できない外的な要因が変化したのかもしれません。でも、そんな目に見える部分を修正しても、追いつかない何かを感じるんです。
そして、いつもこの結論にたどり着いて納得するんですよ。スランプにはまる時には必ずこの条件を満たしています。それは
やる気でやってなかった
気持ちが途切れていた
気合が入ってなかった
意識が集中していなかった
・・・などなど
どれも同じ事です。何か麹に対する気持ちが途切れてしまっていて、作業がルーチンワーク化してしまっていたような時にスランプ状態になっちまいます。
上で出てきた「思い」という言葉を使うなら、「ああ、思いに欠けてたな」って。いつもと同じ様にってぇことは、いつもと同じ様に手を動かすってぇ事じゃぁなくて、いつもと同じ様な「思い」で麹に接するてぇ事なんじゃあねぇのか、バカヤロウ!!!ってね。
結局、いろいろな修正を経てようやく元に戻ったなと思えるようになった時点で考えてみると、やってることはやっぱり以前と大して変わりのないことだったりするんですよね。まあ、スパイラル階段をひと回り登って、ほんの少しはレベルアップできたと思いたいんですけどね。唯一変わっているのは、麹に対する「思い」だけだったりして・・・。
もしかしたら言葉ではうまく説明できないような、麹の遺伝子と私のそれとの共鳴のような作用がどこかにあるのかもしれない、なんて感じないわけじゃぁありませんよ。その作用を機能させるためには、しっかりとした「思い」を日々の作業の中で持ち続けなくっちゃならない。そこが並大抵の忍耐力じゃぁねぇんだよなぁ。
名杜氏の中には麹に声をかけ、もろみの発酵する音に耳を傾ける方々がいらっしゃいます。それは、そういう「思い」を途切れさせないための工夫だったりするのかな。私もこれから毎日麹やもろみに声かけようかな。傍で見たらヤバイ・・・かな(笑)。
【【【【【【【【【【 今日の蔵内ライブログ 】】】】】】】】】】
今日はいつもと違う作業がいろいろあって忙しかった。まず、昨日上槽した純米大吟醸のオリ引き作業をやった。各種の品評会用に1升ビンにとったお酒には、まだ少しだけ酒粕の成分が混入している。それがビンの底に沈殿するので、吸出しをかけてきれいな部分だけを取り出す。ビンの本数が多いので、結構時間がかかった。腰も痛てぇや。
もうひとつは、麹を造る時に使う箱の洗浄。この箱に入れて麹を生育させる。我が社ではステンレス製のものを使うが、しばらく使うと汚れてくるので、定期的に洗わなくてはならない。こびりついているのを落とすのが大変。
いつもの土曜日は時間的に余裕があるのに、今日はテンヤワンヤだったなぁ。
《《《《《《《《《《 人気blogランキングへ 》》》》》》》》》》
日本酒の未来のためにクリックお願いします!m( _ _ )m
結構ダンゴ状態ですね。上位集団にくっついていることができますように!
[[[[[[[[[[ たのしいクリック付録 ]]]]]]]]]]
信濃鶴を飲んでみたいと思った方はこちら → お問合せ先等ご案内
初めてこのブログを訪れてくれた方はこちら → このブログの目次
コメント
”思い”は同じ
麹やお酒に対する「思い」を維持する事、その大事さと難しさ。わかります。
「思い」がない訳じゃない。凄く有る。でも忙しさや、繰り返しの中で「いつもと同じように手を動かす」だけになってしまう。
私は宿泊業なので「ホスピタリティ」。お客様を一生懸命お迎えし、喜んで頂きたいという「思い」。それが、ふと作業をしているだけで気持ちをどこかに置き忘れてしまう時があります。そんな時お客様は喜んで頂けなかったんじゃないかな?と思います。
うちのBlogへのコメントありがとうございました。お返事が凄く遅くなってしまいました、すみません。ちょっと言い訳を。PrivateのBlogの方にはある「コメントのメール通知」機能が営業の方にはなく、気が付きませんでした!ごめんなさい。
- 2007/03/11(日) 08:42:32 |
- URL |
- Shinji #SJMMuUIM
- [ 編集 ]
あるのですね
おはようございます。
あるのですね、「スランプ」というものが。
確かに、見た目ルーチンワーク的な仕事は、それを常に同じ強さと質の気持ちを込め続ける・・・というのは本当忍耐力の必要な事なのですね。
プロ野球選手が、毎日同じように素振りなど練習していても、スランプに陥るのと似ているような気がしました。イチロー選手や松井選手でもスランプはあるのですからね。
それに気付いた時に、既に8割方は脱出したも同然なのでしょうね。
勉強になりました。
新聞で見たか、人から聞いたかした話なのですが、一日に数回、従業員達でモロミ様にお祈り&お礼をする蔵もあるらしいですし、モロミに音楽を聞かせる蔵もあるので、やっぱり自身の想いをモロミに話し掛けるというのもいいと思いますよ♪
モロミは生きものなので、岳志さんの熱い想いが伝わり、分かってくれるかもしれませんよ☆
- 2007/03/11(日) 10:04:13 |
- URL |
- 田中 #-
- [ 編集 ]
Re:”思い”は同じ
そうそう、Shinjiさんの言ってることと私の言ってることは、同じ事だと思いますよ。
私の場合は麹が反応するし、Shinjiさんの場合はお客さんが反応するし。
お客さんの反応の方が、ダイレクトでしょうねぇ。
同じ人間ですもんね。
それもまた、接客業の醍醐味なんでしょうけどね。
Shinjiさんの場合、気持ちが入ってないと、うまくスキーが滑れないなんてぇ事はないんですかね。
それから、コメントバックの件は気にしないで下さいね。
私もよく見落としてますから(笑)。
- 2007/03/12(月) 17:48:19 |
- URL |
- 岳志 #-
- [ 編集 ]
Re:あるのですね
スランプがあるなんて、ちょっと以外だったでしょうか?
私がまだまだ未熟だからなんでしょうね。
何ものにもとらわれない無為の境地でいられれば、そんなブラックホールに吸い込まれずにすむのかもしれませんね。
スランプに陥った時に、じたばたするんじゃなくて、ここまで戻って考え直せばいいっていうようなラインを、毎年少しずつ進めて行ければいいのかななんて思っています。
- 2007/03/12(月) 17:56:09 |
- URL |
- 岳志 #-
- [ 編集 ]
Re:田中さん
もろみも麹も生き物なんですよね。
そして私も生き物なんですよね。
どこかに通じ合える術があってもおかしかぁないですよね。
猫を見てれば、何となく奴らの考えていることは分かります。
麹の機械を開けたら、そこに猫がいて「ミャー」とか鳴いたらジョークになっちゃいますけど、そんな感度も必要じゃないかと・・・。
- 2007/03/12(月) 18:03:17 |
- URL |
- 岳志 #-
- [ 編集 ]
なんと やっぱりあるんですね。
いや そう感じるだけなのかもしれませんが・・・
でもあるって考えたほうが都合がよさそうです。
この思い 社員と共有しなくちゃいけませんね。
なんてたって 共同作業に違いないでしょうからね。
思いを共有して誇りにつなげる ・・・ いい感じです。
Re:acbさん
ああ、そうですよねぇ、社員と共有できたらいいよなぁ。
そういう視点が欠けてんだよな、私は・・・。
「和醸良酒」と言います。
みんなの和が良い酒を醸すというのです。
仲がいいばっかじゃなくて、苦しいことも共有してこそ、本当の誇りにつながるんでしょうね。
まだまだ、ダメです。
- 2007/03/12(月) 18:13:55 |
- URL |
- 岳志 #-
- [ 編集 ]