(続き)
もう一点、一職人として私にはアルコールの添加に関して我慢できない感情があります。決してアルコール添加酒の悪口ではないので、誤解しないで下さいね。
酒米を洗って、蒸して、麹を造るところから始まって、もろみをしぼって酒にするまでに、長いもので50日もかかります。全ての工程に人の手が入ります。餌こそやっていませんが、生き物を飼っているわけですから、常に面倒を見て、大切に育てるのです。
大吟醸ともなれば、手をかけて米を洗い、朝早くから蒸しあげて、寝ずの番をして麹を造り、朝に晩にもろみの面(ツラ)を眺め、まさに命を削って酒造りに没頭します。これはどの蔵の杜氏さんも蔵人も一緒です。
つまり、杜氏や蔵人や蔵元(蔵を経営している会社のこと)にとって酒は命だと思うのです。アルコール添加は通常はもろみをしぼる直前くらいに行います。命をかけて50日も付きっきりで育てたのに、自分の命と全く関係のない、どこかから運んできたアルコールなるものをドボドボと添加するのです。まだわが社でアルコール添加をしていた頃に、私の一番嫌いな作業がこれでした。
私の感度からいえば
「何てことするんだ!やめてくれー!」
ってなところでしょうか。
私はアルコール添加を否定しているわけではありません。それどころか、アルコール添加酒にはどうしても純米酒には作り出せない味の領域があります。「勝てねぇなぁ」と思うこともしょっちゅうです。名杜氏が少量のアルコール添加によって、味を整え、すっきり感を出し、香りを引き立たせる様はまさしく神業です。れっきとした現代のテクニックのひとつだと思います。
しかし、アルコール添加しなくても酒になっていることも事実です。私はこっちの方に賭けたのです。
日本酒の製造量のうち、純米酒の占める割合は1割程度のものでしょう。最近は純米志向が強くなってきているので、割合は上がっていくとは思います。自分のような駆け出しの杜氏でも、あまり多くは造られていない純米酒に特化すれば、純米酒では一歩先に出られるのではないかと考えたのです。
「それで純米酒はうまく造れたんですか?」
いえいえ、全然ダメ・・・
(続く)
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コメント
アルコール添加
手塩にかけた生き物に工業製品を入れる感じなんでしょうね。ただ、アル添については専門家は酒質が安定するからと言いますが、ちょっと違うと思っていますが。
- 2006/10/16(月) 12:56:05 |
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- ヨコハマ #-
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Re:アルコール添加
「酒質の安定」という表現は正しいと思います。
しかし、「造りの手を抜いてもアル添で酒質が安定する」・・・と履き違えると、こりゃあかんということになるでしょうね。
アル添酒でも、純米酒でも手を抜いていないものを飲みたいものですね。
- 2006/10/18(水) 09:33:27 |
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- keyboo #-
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