FC2ブログ

専務取締役杜氏の純米酒ブログ

期せずして杜氏になっちまった造り酒屋後継ぎの純米蔵奮闘記

主席

2011031015130000.jpg

まずは、この写真。何が何だか分かんないですよね(笑)。蔵の休憩室の柱なんですけど、なんか貼り付けた跡っていうか、紙をはがした残りカスみたいなものが写っていると思います。どーやりゃこんなものがブログネタになるのかっていう感じですが、かすれてはいるんですけど、いくつか文字が見えます。

見えない部分も補って読むと、『第20回長野県清酒品評会』って書いてあるんです。本当は、この下にもっといろいろなことが書いてあって、大きな紙だったらしいんですが、そのほとんどは取れてしまっていて、今も柱にこびりついているのがこの部分だけなんです。古くから長生社に来てくれている蔵人が教えてくれました。

これは、昭和40年代の半ば頃に、信濃鶴が長野県の清酒品評会(今は清酒鑑評会と言われています)で主席優等賞を受賞した時の新聞の一面らしいんです。それが、本誌面なのか、広告だったのかは分かりませんが、この文字の下には、長生社の信濃鶴が今回の長野県の主席の成績だったっていうことがでかでかと書いてあったらしいんですよね。

現在もそうですが、県の鑑評会では20蔵ほどが金賞の栄に輝きますが、その中でも最も成績優秀だった蔵は主席として特別に表彰されるんです。鶴もかつて主席だったことがあって、その時の新聞発表の一面をこの蔵の誇りとして休憩室に長い間貼ってあったんでしょう。お客さんが来る度に、これを見ながらちょっとした自慢話に花を咲かせていた蔵人の姿が目に浮かぶようです。

あまり鼻に掛けるのは頂けないとしても、自分たちの誇りをハッキリと明確に持ち続けることは、とても大切なことだと思います。今回の震災は、当然悲惨なものであったことは事実ですが、私たち日本人に、忘れかけていた、あるいは気が付いていなかった誇りや自信といったものを思い起こさせてくれる機会でもあったような気がします。

殊に、外国メディアの報道の中で、自分たちが寄って立っている精神的な支柱のあり様や、世界がどれほど日本を高く評価していたのかに気付かされることが多いんじゃないですかね。例えば、原発事故への対応については賛否があるでしょうけど、「もし日本人が安全な原子炉を造れないとしたら、他の誰が造れるというのか」と書かれるほど、日本の技術力への信頼感は高いんですね。

案外、私が目から鱗だったのは、日本人のGAMANについてです。日本では、これほどの無秩序な状態に陥っても、誰一人として暴徒化したり略奪に走るものがいないなんていう、私たちとしたら極々当たり前のことを、海外の記者は驚きの眼差しを持って敬服しているようです。この深い悲しみの中にあってさえ守られている日本人の規律と秩序のためのGAMANは、世界中のどこにもないものなのかもしれません。

このカタストロフィを日本が克服できなければ、一体他のどの国ができるのかといった論調には、ある程度の海外からの励ましの部分が含まれているとしても、日本人として意を強くしていいんじゃないですか。一世紀の間に世界で数回しかないような天災は、それを乗り越えられるであろうからこその神様からの試練だったんでしょう。今回降りかかった様々な困難を克服できる者がいるとすれば、それは日本人しかいないと。


□□□ 地震以降アクセス数が多いです □□□
■■■日本酒の未来のためにクリックお願いします!人気ブログランキングへ■■■

スポンサーサイト