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専務取締役杜氏の純米酒ブログ

期せずして杜氏になっちまった造り酒屋後継ぎの純米蔵奮闘記

大雪に桜を見る

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千葉のNさんから、先日メールをいただきました。Nさんとは、このブログを通じてもう長い間お付き合いいただいています。彼は駒ヶ根にいらしたことがあるんですけど、私とは1回も遭遇したことはないんですよね。駒ヶ根で信濃鶴のファンになってもらえて、以後、心強い応援メールをよく頂くようになったんです。

Nさんは、現在は富山に単身赴任なさっておられますが、まだ千葉にいらした頃に地元の老人会の世話人をなさっていたんです。当初ご本人はあまり乗り気ではなかったのかもしれませんが、その老人会の面々が実に傑作な御仁ばかりで、何とも愉快な逸話をたくさんメールで送ってきてくれました。なぜかって言うと、それらが鶴にまつわる話題だったからです。

Nさんのお力添えもあって、その老人会の中で信濃鶴はとてもいい酒だっていう別格の扱いをしていただいていたんですが、共に良く飲んだ会長さんがお亡くなりになって、とっても寂しいことになっていたんです。その時の話も記事にしましたけど、Nさんがかなりのストーリーテラーなんでしょう、ジーンとくるような話が多いんですよね、これが。

まぁ、このNさんと老人会のお話は、このブログのひとつのカテゴリーになるくらいに、よく記事にさせていただきました。ブログ内検索で『老人会』とかで引けば、たぶんほとんどヒットするはずです。そして、今回もまた、そのシリーズの最新作をメールしてくれました。引用が長いんですけど、省略すると雰囲気が壊れそうなんで・・・

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先日、お話しておりました老人会の元役員6名が「北陸の冬の幸を味わい、単身赴任を慰労する旅」と銘打って、大雪の中、富山に遊びにこられました。皆さん70歳半ばから83歳なのに、それは元気、元気。予想していたとはいえ、民宿に泊まってのドンチャン騒ぎが午後7時から開幕しました。さすがにバニーちゃんはいませんでしたが、コンパニオンを呼んでの酒池肉林(?)のような大騒ぎ。(事前に民宿にお願いして、休館日に宿泊させてもらい貸し切り状態)

もちろん、宿には【鶴】(岳志さんに送ってもらった生酒)を持ち込みました。ところが、誰も【鶴】に手をつけません。「遠慮せずに飲んでください。せっかく取り寄せたんだから」と言っても手を付けず、地元の酒ばかり飲むんです。

午後8時頃、雪が本降りになり、たまたまおかみさんが「海は真っ暗ですが、露天風呂で本当の雪見酒などいかがですか?」と声を掛けてくれました。皆さん、ほろ酔い状態で(と本人達は言ってました)、せっかくなので入ろうということになり、私を含め一同露天風呂へ。さて、湯に浸かって外灯に透かして空を見上げると、それは100円玉ほどの大きさの雪が、それこそボンボン降ってきている中、

Aさん「Nさんの単身赴任もそれなりに頑張っていることがわかった。安心した。ちょうど頃合もよし。Bさん、やろうか!」
Bさん「では」(と言って、脱衣所から部屋に置いていたはずの【鶴】を6本持ってきました。どこで用意したのか、桝が7個。なみなみと【鶴】をついでから)
Cさん「では、Nさんの健康と亡き会長の御霊が安んじられんことを、乾杯!」
それぞれ、ひとくち味わったあと、
Dさん「桜の下でまた【鶴】を呑みたい言うとったあの人に、雪見酒を呑ませたかったなあ」
Aさん「こんな大雪でも、見上げたら、桜の花吹雪に似とらんかあ~?」
Eさん「大雪に桜を見る、そんな気がせんか?」
Fさん「大雪と桜吹雪か、案外合っとるのお~」
私の桝に【鶴】を注ぎながら、
Aさん「いい酒は人生の節目で呑むんだ、と言っとった会長の言葉が、染みるのお」

そのやりとりを聞いて、私は顔を上げることが出来ず、ただただ桝に降り解けていく雪と涙で胸がいっぱいになりました。多忙な中、心身ともに疲れ果て、すさんだ生活になっていた私に、【鶴】は単身赴任先まで人の温かい想いを運んできてくれました。ありがとうございました。まずは、お礼まで。

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肩が痛いだの、寝不足だの、疲れただの、甘えたこたぁ言ってられませんな(汗)。鶴のことを、「人生の節目で飲むいい酒だ」って言ってくれている人たちがいるんですからね。それが大いなる買い被りだとしても、それに真摯に応えていく努力だけはしなくっちゃ。これまでの経緯もあるからでしょうけど、今回のは泣けた・・・。


□□□ Nさん、いつもありがとうございます! □□□
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