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専務取締役杜氏の純米酒ブログ

期せずして杜氏になっちまった造り酒屋後継ぎの純米蔵奮闘記

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蕎麦物語(その3)

その男が、初めてひとりで挑戦した蕎麦打ちの結果は、何とも悲惨なことに、蕎麦のような麺になる何歩も手前の段階の、蕎麦せんべい止まりじゃった。本当なら、その状態からどんどんと蕎麦をのしていって、ヒラヒラするくらいに薄くして、それを重ねるようにして折り畳んで切ることになるのじゃが、到底そこまで行かなかったそうな。

つまり、水の量が少な過ぎたんじゃな。蕎麦粉を練った玉をのし棒で広げていこうにも、硬過ぎて伸びていくどころか、縁の方からひび割れていってしまうそうな。それでは薄くしようもないわけじゃ。折り畳めばそこで割れてしまうような、大きな一枚の板のようになって、そこから先へは進めずに、その男は途方に暮れてたたずむばかりであった。

それでも、その男の蕎麦に対する情熱は消えることはなかったのじゃ。意を決して、もう一度さきほどの粉屋まで出向いて新たに蕎麦粉を買い求め、今度はその主の言をしっかりと胸に刻んで返ってきたそうな。もう1度失敗してもいいように、2回分の粉を手に入れるという周到さじゃった。

精神を集中させて、カッと目を見開くと、男は2度目の蕎麦打ちに入ったのじゃ。1回目のほんの些細な経験も参考になったと見えて、2回目の方が順調に事は進んだそうな。それでもどうしてもそこは初心者というものでな、水を入れ過ぎることを怖がって、結局はまた硬い蕎麦玉を作ってしまったそうな。

しかし、今度は蕎麦せんべいは通過して、ある程度は折り畳んで、包丁を入れられるくらいまではいったのじゃ。それでも、麺の状態には程遠いものだったそうな。のした蕎麦はまだまだ厚く、水不足もあってかなり硬い代物が出来上がったのじゃ。今回、その男が作ったものは、言うなれば蕎麦ポッキーだったのじゃな。

男の涙は滂沱と流れ落ちてとどまるところを知らず、自分の不甲斐なさを恥じ入るばかりじゃった。哀れに思った男の女房は、煮るなり焼くなりしてその蕎麦ポッキーを食べてくれたそうな。男の心は半分折れそうじゃった。努力しても、この世の中にはできないこともあるということを嫌というほど思い知らされたんじゃろう。

女房も娘も、この男はもう諦めると思っておったのだが、なんと男はもう一度打つと駄々をこね始めたのじゃ。先程手に入れた蕎麦粉がもう1回分残っていると。家族としては、どうあっても出来損ないの蕎麦を食べさせられる破目になるのだと、腹をくくらざるをえなかったそうな・・・

・・・思った通りにはならなかった蕎麦打ちでした(汗)。それまでに美味しい蕎麦をそこらじゅうで食べていた私は、そんなプロ中のプロが打つような蕎麦を頭に想い浮かべていたんですね。歯触りが良い蕎麦が好きだった私は、蕎麦粉を練る水の量は極力少ない方がいいに違いないと思い込んでいたフシがあります。さて、最後の挑戦で作った蕎麦の出来栄えはいかに・・・


□□□ この文体にも少し慣れてきました(笑) □□□
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