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専務取締役杜氏の純米酒ブログ

期せずして杜氏になっちまった造り酒屋後継ぎの純米蔵奮闘記

洗い物

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この写真の私の手が、どこを洗っているのかお分かりですか?これは、タンクの中を洗っている図です。このタンクの内側はクリーム色をしていますが、もっと白い色のタンクも、真黒に近いような色のものもあります。これは割に小さい容量のタンクですが、おとなひとりはすっぽり入れる大きさですから、きれいな長靴を履いて中に入り込んで洗うんです。

昨日も泣き言を言ったように、蔵の中の仕事をする社員がひとり戦線を離脱していますから、とにかく出来ることをどんどんと片付けていかなくっちゃなりません。あまりタンク洗いをする機会はないんですが、昔取った杵柄で「よっしゃー」という気分が半分、普段はやらない仕事で「あぁ、めんどくせーなー」という気分が半分です(笑)。

私は今年で、入社してから20年目になりますが、最初の年から蔵に入っていましたから、蔵人歴も20年目っていうことです。「もうそんなに経ったんだなぁ・・・」なんて感慨にふけっているヒマは、今の私にはありません(汗)。でも、タンク洗いなんかしていると、昔のことが思い出されてはくるんですよねぇ。

最初の8年間は前任の杜氏が新潟から来ていましたから、私は『下働き』とか『追い回し』なんて呼ばれる、蔵で一番若い連中がやる肉体的にはハードな、何でも屋みたいな仕事をずっとやらされていました。仕込の櫂入れ作業から始まってタンク洗いまで、次から次へと仕事が回ってきて、慣れないうちはとても疲れたのを覚えています。

「チクショー、こき使いやがって、オレは社長の息子だぞ」・・・と思わないでもありませんでしたが(笑)、今思えばいい経験をさせてもらったもんです。この8年間が長いか短いかは別として、こういう基本的な仕事を徹底的にやらされたことで、私が得たものはとても大きなものがあったと思うんですよね。

この何の変哲もない、汚れているのかどうかも分からないタンクの内側をしっかり磨くことの方が、麹の品温経過をあれこれ思案するよりも、よほど大切で基本的で意味のある仕事じゃないかと考えたりするんです。これが出来ずして、もっと上のレベルの仕事をしても、そりゃ上辺だけに留まってしまうような気さえします。

私が造る信濃鶴がまだまだ未熟なのは、そういった基本がなっていない部分がまだたくさんあるっていうことなんでしょう。お酒の完成形っていうものがあるのかどうかは分かりませんが、造る人が立派であれば自ずとそのお酒はいい酒であることは間違いありません。世の中の名杜氏と呼ばれる人は、みんなそんなオーラを持っているもんね。

と、そんなことを考えながら、こういうピンチがどうやりゃぁチャンスに転化できるのか、今年で12年目を迎える未熟な杜氏は、蔵の中を走り回りながら考えています(笑)。それでも、12年っていうと十二支がひと回りすることになりますから、私も歳をとるはずですよねぇ・・・(涙)。


□□□ 結局休日が取れない運命ですな □□□
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