専務取締役杜氏の純米酒ブログ

期せずして杜氏になってしまった造り酒屋後継ぎの純米蔵奮闘記

蔵見学レポート(2)

昨日は『義侠(ぎきょう)』醸造元の山忠本家酒造株式会社さんについて記事にしましたから、今日は『蓬莱泉(ほうらいせん)』醸造元の関谷醸造株式会社さんの登場です。昨日も書きましたように、この2つのお蔵は、共にしっかりと売れて利益が出ているという点を除いては正反対のような部分が多くて、比較して見学することができたのはとても面白かったですね。

『義侠』さんが販売量500石(1升ビン5万本分)を、日本全国の特約店への流通で売っているのに対して、『蓬莱泉』さんは4000石(一升ビン40万本分)を、主に愛知県内で販売しておられます。私たちの感覚では、規模的には小さめな蔵と大きめな蔵っていう感じの違いですが、売り先もかなり違いますよね。

単純に考えると、販売量が多ければ商圏は広くしなくっちゃならないだろうし、少ないならどちらかと言えば地元密着でコツコツと売っていくっていうイメージですが、この2蔵はそこが全く逆なんですよね。確かに東京の酒販店さんなんかでは、販売量は少なくても『義侠』さんの方が目にする機会が多い気がしますね。

『蓬莱泉』さんは県内でのシェアが高いんだと思いますが、それを裏付けるように直販の比率もかなり高いそうです。ダイレクトメールを年に何回も何万枚と発送して、直接に蔵の脇にある直売店で売るそうです。そのために月替わりの商品を用意したりして、お客様を飽きさせない工夫をしているとのこと。

簡単に蔵の直売店にお客さんが来るって言いますけど、失礼ですが、このお蔵はどえりゃぁ山ん中にあります。簡単に出かけられる場所じゃぁありません。そこが目的じゃなければ人は来ないんじゃないかなぁ。それほど『蓬莱泉』が魅力あるお酒だっていうことでしょうし、販売戦略が当たっている証拠でしょうね。

その他にも宅急便などを使っての全国配送も相当な量になるそうで、両方を合わせれば、それだけで信濃鶴の販売量の何倍にもなります(汗)。直販は粗利が高くなりますから理想的ですが、普通は蔵元でお酒を売るのは周りの酒販店さんを考慮してあまりできないんです。ここでは昔からやっているので、あまり文句は出ないみたいでしたね。

更に大きな違いは投資のやり方にあったように思います。『義侠』さんのお蔵が基本的には従来通りの酒の造り方を踏襲しているのに対して、『蓬莱泉』さんのお蔵は超が付くくらい近代的なものなんです。酒質を損なうことなく、あれだけ合理化されたシステムは、私は他では見たことがありません。

決して手抜きではなく、酒質のためにもよい合理化がなされていました。完璧とは言わないまでも、見学していてどこにもケチの付けようがない程の蔵でしたね。細かいところまで設備されていて、あれだけの投資っていったいくらになるのか見当もつきません。見学していてため息が出ちゃいましたよ・・・。

また長くなりそうなので、今日はこの辺にしておきます。『蓬莱泉』さんでは撮影禁止だったので写真がありません。入り口くらいの写真は撮ればよかったんですが、蔵に圧倒されてしまって、忘れちまいました(汗)。


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