
昨日ご紹介したのは、何も冷却装置のついていないでっかいタンクへ火入れしたお酒を入れる場合でしたが、原始的にやっている図をお見せしたかったので(笑)記事にしてみましたが、我が社のほとんどのお酒は冷却装置のついたタンクへ火入れするので、量的には極わずかしか昨日のようなタンクへは火入れはしません。冷却装置のついたタンクへの火入れっていうのは、外から見ても何も変化がなくって味気ねーんですよ(笑)。
でも、もうひとつの火入れがあることに気が付いたので、今日はその火入れ作業についても少し書いてみます。それは、一升瓶で行う火入れなんです。先週も記事にしたように、各種品評会へ出品するようなお酒などは一升瓶に入れて冷蔵庫に保存しておくわけですが、そういうお酒も、頃合いを見計らって火入れ作業をしなければなりません。
そんじゃ、一升瓶に詰まってしまっているお酒の火入れってどーするのっていう話になるわけですが、簡単に言っちゃえば、晩酌のお銚子をお燗するのと同じことをするわけです。一升瓶をそのままお湯の中に入れて、60℃以上になるまで湯煎をするってぇことです。最初から熱いお湯に入れるとビンが割れてしまうので、ぬるま湯くらいから始めなくっちゃなりません。
そのための専用の装置もありますが、どこのお蔵でも出来る方法としては、でっかいたらいの中にお湯を張って、そこに一升瓶を並べて入れるかケースごと浸してしまって、そのたらいのお湯をボイラーの蒸気を吹き込んで煮立たせていくことで、一升瓶を丸ごと火入れしちまいます。お銚子をやかんを使ってお燗するイメージです。
我が社では、ケースごとたらいに入れて加熱していきますが、ここでのちょっとしたポイントは、ビン全体がお湯に浸っちまわないようにすることなんです。どういう意味か分かりますか?写真が見づらくて申し訳ないんですが、ビンの3分の2くらいまでがお湯につかるように調整して、お湯の温度を上げていくんです。
ちょっと考えると、どっぷりとお湯に浸かっていた方が温まり方が早いと思われるかもしれませんが、そうするとビンの外側の全面から熱が一様に伝わってきます。それだとビンの外側と内側で温度のムラができちゃいますし、上下でも温度が一定にならないんです。
ビンの下の方だけが加熱されると、ビンの中で自然にお酒が対流するんですよ。下が温まって上の方はまだ冷たいので、ビンの上下が入れ替わるようにお酒が動いてくれます。そうすると、ビンの中が均一に昇温するんです。私も何回か実験してみましたが、全体を浸すやり方よりも、下の方だけ温めるやり方の方が温度は一定するし、時間も短くて済むような気がします。
これは、お銚子でお燗をつける時にも全く同じことが言えます。やかんの中でお湯にどっぷり浸すよりも、お湯の量を加減してお銚子の肩が出ているくらいにしておいた方が、ムラなくお燗が出来るんです。お燗がついたと思っても、いざお猪口に入れてみたらぬるかったなんてぇことにならずに済みます。
ただし(ここから重要!)、信濃鶴はぬる燗までが美味しく飲めるという評価をいただいているので、あまり熱くしないで人肌燗でお召し上がりくださいね。人肌燗って言うんだから36度5分ですよ(笑)。よろしくお願いします。私個人的には熱燗でも全く構わないと思っているんですけどねぇ・・・。
昔、我が社に来ていた新潟の蔵人が言ってました。お銚子の温度をみるには、お銚子の底に手を当てれば分かるんだと。夕食時にお燗をつけるのは私の役だったので、熱すぎたりぬるすぎたりすると怒られたもんです。「娘とお燗はケツで見ろ!」ってね(笑)。
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