専務取締役杜氏の純米酒ブログ

期せずして杜氏になっちまった造り酒屋後継ぎの純米蔵奮闘記

長野県清酒鑑評会

毎年、春先のこの時期に「長野県清酒鑑評会(かんぴょうかい)」っていうやつが開催されてます。まあ、日本酒の、特に吟醸酒のコンテストみたいなもんですね。皆さんが目にする一番有名なのは「全国新酒鑑評会」ですが、その長野県版と言えばいいでしょうか。ただし、成績が優秀な酒に金賞が与えられるとか、順番がつくということはありません。

主催は長野県と長野県酒造組合です。出品要綱には『県内で製造される清酒の醸造技術と品質の向上を図り、業界の発展に寄与することを目的とする』なんて書かれてますね。今日出品酒を発送して、今月の23日に審査会が開かれます。29日には出品酒を全部並べて研究会が行われます。

本当は私は23日の審査会の審査員なんです。いや、官能が優れているからというわけではなくて、単に立場上なんですけどね。でも、まだ3月中は仕込みが続いてますから、出られません。その程度の余裕もねぇのかって感じで情けないんですが、仕込期間中は蔵を離れられねぇんだよなぁ。

審査会に出られない旨を担当の先生に連絡したら、「いつまで楽しんで酒造ってるんですか?」と冷ややかに言われてしまいました(汗)。4月に入ってもまだ仕込みをしている蔵なんてそんなにありませんからねぇ。

我々蔵元にとってこの鑑評会の意義は、全国新酒鑑評会に向けての事前審査的な意味合いを持っています。とにかく全国新酒鑑評会での金賞は、どの蔵ものどから手が出るほど欲しいわけです。全国には1点しか出品できませんから、その1点を決めるために、県の鑑評会に何点か(3点まで)出品してどれがいいか見定めるのです。

大吟醸クラスのもろみを何本も立てる蔵では、その内のどれがいいのか決めなくてはなりません。1本しか立てない蔵でも、例えば手間をかけて搾った酒が流れ出てくる順番で酒質が変わってきますから、最初の方がいいのか後の方がいいのかなど悩みは尽きないわけです。

実は、我が社が取り組んでいる「純米酒」はこの手の鑑評会みたいなのは苦手なんだな、これが。あまりいい成績は取れないんですよ。香り高く、スッキリとした味の酒が好まれますから、アルコール添加を少量した酒の方に軍配が上がってしまいます。

更に、鑑評会でいい成績を取る酒を造るためのマストな条件になっているのが、原料米に「山田錦」を使うって事なんです。あらゆる面で酒造に適した性質を持った「山田錦」に対抗できる酒米は、現在のところ無いと言っていいと思いますね。我が社は全量地元の「美山錦」を使うと明言してしまいましたから、鑑評会向きであろうとなかろうと「美山錦」でいくしかないわけです。

このように、信濃鶴は鑑評会でいい成績をとるためには足かせが多いわけです。だからといって、始めからあきらめてかかったり、適当にあしらったりする事は決してしませんよ。ハードルが高いからこそやりがいもあるってぇもんです。

今年の純米大吟は味がとってもいいから、案外やってくれるかもしれません。長野県清酒鑑評会でいい成績がとれて、全国新酒鑑評会でも金賞がもらえるように全力で臨みますからね。金賞がもらえるまで挑戦し続けますよ。たとえまぐれでもね(笑)。


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松本市のN酒店さんが来社。純米化する以前から信濃鶴をかわいがってくれている古い付き合い。駒ヶ根近郊以外でずっとお取引いただいている、数少ない酒屋さんです。夫婦お2人でいつも仲がいい。しかし、お2人ともお酒に関しては一家言の持ち主。下手なお酒は出せません。先日搾った純米大吟醸がお気に入りの様子。出品用にとってあるお酒を分けてくれとせがまれる。困った困った。また遊びに来てくださいね。
鑑評会の出品酒を作ったりしていて、何やらあわただしい。昨日みたいにとんでもないやり残しのないように仕事をこなす。麹の引き込みがなかったので、その分助かった。
特別純米がどんどん搾れる。いい酒が続くことを祈る。今回のもろみもいい感じだ。


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