専務取締役杜氏の純米酒ブログ

期せずして杜氏になっちまった造り酒屋後継ぎの純米蔵奮闘記

株主総会

酒造株式会社長生社のような小さな会社でも、年に1回は株主総会があります。今日がその日。毎度毎度肩身の狭い株主総会です。

社長が口火を切ります。紹介が遅れましたが、社長が私の親父です。この業界の社長の口から明るい話題というのは期待できないわけですが、それでも例年よりは少し言葉に力があるような・・・。そんな気がして社長の話を聞いていました。

売上げ的には微減にとどまった事。減価償却くらいは出来た事。それでもまだ利益体質にはなっていない事。純米蔵路線への支持も増えてきている事。その他この1年間に業界内で起こった事などなど。

例年なら、議案の承認をいただいて、「はぁ~」というため息と共に総会が終了するパターンでしたが、今年は株主の皆さんからも前向きなご意見をもらえました。

「信濃鶴は日本一コストパフォーマンスの優れた純米酒だと思う。絶対にいいものであることは間違いないから、ぜひこれを皆でどう売るか考えて協力して広めていきたい」
「長生社は原石をいくつも持っているのだから、要はそれをこれからどう磨いていくかだ」
「純米酒を日本一飲んでいるといっても、まだ知らない人の方が多いんじゃないか。もっと広く知られれば、簡単に売上げは伸びるんじゃないか」
「専務がやってるブログも好調だ。それを見にサイトに来る読者も増えてきている。お客さんは蔵の入り口まで来ている」

皆さんの期待を感じられて、うれしかった。そして、身が引き締まる思いでした。

長生社は、まあ昔のこの地域の名士たちが出資して作った会社です。実は私のブログ師匠のacbさんは、長生社の株主なんです。今日も隣に座って、いろいろ教えてもらったり、小言をもらったり(笑)、今後の戦略を練りました。そうなんですよ、だからacbさんは私にブログを始めさせたのです(笑)。株主でなかったら、あんなに一生懸命になってくれなかったでしょうねぇ。

日本一のコストパフォーマンスの純米酒を、日本一飲んでいる日本の片隅の小さなまちの可能性を少し共有できた株主総会でした。


【【【【【【【【【【 今日の蔵内ライブログ 】】】】】】】】】】
原料米美山錦の新しいロットが到着。吸水の仕方が違ってくるから、また洗米で苦労するかな。
出麹まずまず。もう少し水分が抜けてもいいんじゃないか。引き込みは米が上粘って大変。
酒母は明日の朝丸ざまし。泡が結構立っている(下の写真)。
もろみの仕込みは気温が高くてうまく行かない。早く寒くなってくれー!


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ランキング5番で動きませんね。出来すぎだよ。


あと、ちょっと写真の実験させてね。大きさとか見てみたいんです。どっちがいいかな。
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e-TAXどころじゃないぞ

今日は夜の仕事終わってから、先日も書いた税務署へ提出する書類「酒税納税申告書」をどうしてもやってしまわなくてはならなかったので、シコシコやりました。何で今回こんなに苦労しているかというと、これらの税務書類を今回からインターネットを使った電子申告に変更しなくちゃならなかったからなんです。

電子政府を標榜して、国税庁は電子申告・納税のシステムを作ったのですが、利用数が伸びないみたいで、清酒メーカーのような免許業者に対して、このシステムの利用促進のための先鞭をつけてもらいたいという意図があるみたいです。「e-TAX」と呼ばれています。今様でしょ?

結構強引で、個別に会社まで来てくれて、パソコンのインストールから使用説明までしていってくれました。確かに利用すれば便利なのは分かりましたが、あそこまで一生懸命な税務署員の対応は始めて見ました(笑)。
「やってくれなきゃ、どうなってもしらないよ」
という、目の奥に秘めた闘志を感じてタジタジでした。これって私がこのブログを始める時の周りの人たちの態度にどこか似ている・・・(ウソウソ)。

まあ、そんなことで苦労して初めての電子書類を作っていたのでした。

だから、今日こそはブログさぼろうと思ってマシタ。2時も過ぎていたし・・・。が、それどこじゃないじゃん。ブログランキング見た?5位だよ5位。一時は4位だったって?どうなっちゃってんだよ。これじゃ手が抜けないじゃん(涙)。

1週間終わったから、後は落ちていくもんだと思っていたのに。こんなんじゃ落ち着いて酒造れないよ(笑)。どーすんだよ。


【【【【【【【【【【 今日の蔵内ライブログ 】】】】】】】】】】
洗米の時の水の温度が、だんだん冷たく感じるようになってきた。しかし、今年は何と暖かいことか!どこの蔵でも温度管理に苦労してるんじゃなかろうか。そんなこと考えながら洗米してたら、吸わせ過ぎたじゃんか。
麹引き込み時にはサバケ良くいい手触りだったが、なんか粘りっぽくなる。まとめるのにてこずる。ひとりで100kgの蒸米と格闘。本日出麹は良好。
酒母は相変わらず香り立つ。いい子いい子。本日仕込んだ酒母は4本目。汲み掛け夜中まで。
3号もろみの「踊り」温度高すぎ。わいちゃうぞ。何か酸度の分析値おかしい。


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これからもがんばりますから、よろしくお願いします。
押してもいいけど程々にね・・・なにわけ分かんないお願いの仕方してんだか・・・。
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でも5位って・・・人間は分をわきまえて生きていかなあきまへん。

人気ブログランキング参戦1週間

今日で、人気ブログランキングに参戦して1週間が経ちました。「お酒・ドリンクランキング」で現在7位。応援クリックしていただいた皆さんに感謝です。ありがとうございました。

周りの人たちに勧められて(脅されて?)始めたブログでしたが、しかしどうだぃこの結果は!たとえ一時的だとはいえ、シングルだよ、シ・ン・グ・ル。以前にここでも記事にしたテクノネット駒ヶ根のマネジメント研究会で計算した、獲らぬ狸の皮算用どおりの結果になっちゃったよ。自分でもビックリです。みんなもビックリでしょ?

これまでは週間INのポイントが減ることはなかったわけですから、ランキングは上がりっぱなしできましたが、これからは上下することがでてくるわけですね。今後はランキングの上位定着を目指してがんばって、信濃鶴をより多くの人に知ってもらえたらと思います。

しかし、これからはみんなの意識も薄れて、義理クリックによる組織票が無くなってきますから(笑)、本当の意味での実のあるブログにして、読者を増やしていかないとなりませんね。

日本酒業界という右肩下がりの業界にいて、負け犬根性ばかり旺盛になっている中で(イカン!また後ろ向き発言だ!)、久しぶりに上昇の気運を感じさせてもらいました。あー気持ち良かった!

それに、いろいろな人からもらうコメントもうれしいやね。全然知らない人からもらってビックリすることもあるし、知った人から相変わらずの芸風で送られてくるコメントも楽しい。しかし、他の人気ブログを見て思うのは、コメントの数が多いって事でしょうか。私のブログにはそれ程コメントがつかないところは、ひとつ弱味なんでしょうね。

そういえば、ブログ書くようになってから、なぜかよく雲を見るようになった気がします。空を見ながら、今日書くブログの内容を思案しているのでしょうか?
「前向きに生きるには目線をちょっと高いとこにしろ」
ということを中村天風っていう偉い人が言ったみたいですけど、ブログ書いて少し前向きになれたんでしょうかね。

ちなみに、これと同じ内容のことを高校時代の英語のT先生から教わって、結構感動した記憶があるんたけど、先生この中村天風さんのことパクってた・・・?

ブログは思ったよりも、いろいろなものを与えてくれているのかもしれません。睡眠時間だけは奪っていきますが・・・(笑)。


【【【【【【【【【【 今日の蔵内ライブログ 】】】】】】】】】】
洗米をいつもの時間でやったつもりだったが、妙に吸水が少ないぞ。なぜ?
蒸しは安定してきた。今年の美山錦に慣れてきたかな。
出麹まずまず。
今年の酒母はどれも香りがいいねぇ。楽しみ楽しみ。明日酒母の仕込み。水を汲んでヒータで温度つける。
気温が高いのでもろみの仕込みは時間がかかって大変。1号もろみやっぱりいい感じできている。


さて今日からは、これまでの組織票から一般読者の皆さんへのお願いにしていこうと思います(笑)。ぜひ日本酒の未来のために応援クリックをお願いします!
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7位っていうのは多分最高だから、記念に画面のコピー取ろうと思ったら、やり方忘れてやんの。

酒税納税申告書と警備員

今日はこれから税務署に月末毎に提出する書類を作らなくっちゃならないので、ブログの方は手抜きだー!でも、普通はその大切な書類を作ってからブログ書くんだよねぇ・・・そう言われりゃあ、この順番が悲しい。今の生活は、酒造るか、寝るか、めし食うか、ブログ書くかだ(笑)。

でも、どうしてもこの書類は作らなくてはなりません。酒税の納税申告書と言いますが、先月の数字をまとめて、今月中に提出です。酒税というのは、販売時に既に小売価格の中に含まれていて、それを酒造メーカーがお預かりする形で受け取って、税務署に支払っているのです。日本酒では1リッターあたり120円です。

まあ、本当のところは事務所に行ってストーブつけて仕事しなくちゃならないから、そっちが後回しになったっていう事ですけどね。こんな時間に事務所で仕事してると、特に今日は日曜日の晩でしょ、来るんですよ・・・誰が?・・・それは警備会社の警備員。

他の多くの会社のように、長生社でも夜間は警備会社に警備をお願いしています。会社をロック状態にしてしまうと、警備会社の方へ連絡が行って、もし誰か不審者が侵入するとすぐに飛んできてくれます。うちの場合、ほとんどは猫とかねずみとかに感知機が反応してしまったものらしいですけどね。

なので、いくら正常な手続きを踏んでロックを解除しても、夜中の2時や3時に事務所に人がいるとなると、「怪しい」ということになって、会社まで警備員が巡回に来るんです。こっちが必死で早く終わらせようとしているところに、何も言わないで入ってきて
「○○警備のものですが・・・」
と後ろから突然声をかけてくれるもんだから飛び上がってビックリするし、無意識のうちにかしこまって、自分の会社なのに
「いえ、怪しいものではありません」
みたいな態度になっちゃうのにも、自分で腹が立ったりして(笑)。

これもマニュアルにある対処の仕方かもしれないけど、頼むから、もうちょっと明るい雰囲気で入ってきてちょーだい!

あれ、全然手抜きになってないじゃん。


【【【【【【【【【【 今日の蔵内ライブログ 】】】】】】】】】】
今日から新しいお手伝いのアルバイトWさんがきてくれる。
Wさんと一緒に米洗い。少しもたついて吸水しすぎ。明日のムロ大変かも。
日曜日は人手が足らず、ムロの作業の合間にもいろいろと仕事挟んで、忙しすぎ。今日の出麹は少し硬め。
酒母の2号は明日使用。成分的にはうまい具合に落ち着いた。
もろみ1号4日目。スッキリした甘味で好印象。いい酒になれよ。


大変なことになってるぞ。ブログランキング7位じゃないか。上位に入っているブログは、長い間こつこつと書かれたものが多いですよね。そこへ2ヶ月しか書いてないようなやつが入り込んじゃあ、なんか失礼な感じが・・・。でも、クリック、クリック。
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ここでパッとこのブログ止めちゃって、幻のブログになるってぇのはどうだ?私の肩の荷も降り・・・あっそう、やっぱダメ・・・。

世界は狭い

昨日のこのブログのコメント見ましたか?なんと香港からいただきました。なんと長野県出身者。なんと同じ名前(笑)。いきなり国境を越えてコメントが飛び込んできて、感激しちゃいましたね。インターネットに国境はないんですねぇ。

彼のブログも見てみて、人気ブログランキングに登録してあったので、応援クリックしました。でも彼のブログは私のブログのひとつ上にランキングされているじゃあないか!自ら差を広げてしまいました(笑)。でもそんなことよりも、何かうれしかったのでした。

それにしても世界は狭い!

いつか書こうと思っていた本当の話・・・。
ブログを始めてしばらくたったある時、あるキーワードで検索をしてみた。すると長生社のことや信濃鶴のことが載っているホームページやブログがいくつかヒットした。単なる商品データの羅列的なものは除いても、結構いろいろ世の中の人が信濃鶴のことを書いてくれていた。概ね良い評価が多くて、少しほっとする。でも中には辛辣なものもあって、涙でパソコンの画面が見えなくなる(嘘)。

その中でも目に留まったブログがあった。
「・・・日本酒を飲むんだったら、長野県駒ヶ根市の地酒信濃鶴。絶品です・・・」
おお!名指しで褒めちぎってある。それに、別の日には
「・・・赤プリで開催された、長野の酒メッセという展示会に行ってきました。信州のいろいろなお酒を飲むことが出来ました・・・」
我々が開催したイベントにも足を運んでくれた様子。どうやら、東京に住んでいるらしい。

きっと長野県の酒のファンなのかもしれない・・・でも自分もあの会場にいたけど、信濃鶴目当てっていう感じのお客さんには会わなかったがなぁ。
趣味はパソコン系やらデジカメ系やららしい・・・ちょっとオタクっぽい人かなぁ。
旅行もよく行くらしい・・・時間に余裕がある職業かなぁ。
時事論評もよく書いている・・・少しお年を召した理路整然としたタイプみたいだなぁ。
アカデミックな内容に触れることもある・・・どこかの大学の助教授かなんかだぞこの人は。きっとそうだ!想像は膨らむ膨らむ。

しばらくこのブログをチェックをしていた。そしてある日、またお酒の話題。やはり信濃鶴を実名で褒めてくれてある。そして、日本酒でなければこの洋酒だと続く。その中でも、ある特定のプレミアムボトルが好きだと書いてあるじゃあないか。これは私も大好きな一品。日本酒でもビールでもなければ私もこれを飲む。

こりゃあお友達になるしかないぞ!コメントでもメールでも何でもいいから書き込んでみようと思って、キーボードに向かった。

そこで、ふと我に返って考えた。
「でも、こんなに身近な話題が共通する人が世の中にいるかぁ?」
もう少し過去のブログを見てみた。珍しく夏のキャンプの話題があった。
「○月○日長野県松本市××キャンプ場でキャンプをしました・・・」
「・・・ン?」

なぁぁぁんだぁぁぁ! 弟じゃんんん!! こいつっっっ!!!

なんと彼は私の義理の弟でした。

それにしてもブログの世界も狭い!・・・という顛末。チャンチャン。


【【【【【【【【【【 今日の蔵内ライブログ 】】】】】】】】】】
麹米の洗米、吸水多めでいく。
引き込み、出麹がなく、一週間のうちで一番ムロが楽な日。棚の麹は少し温度が早い。なかなか抑えられず。
来週使用する酒母は前回のように、あまり切らさずにいけそうだ。前回の酒母は進みすぎで酒になっちゃった。
1号もろみ温度高すぎ。2号もろみ留仕込完了。品温抑えられるか。


今日のランキングは13位で昨日と変わらず。我ブログの大躍進もこの辺止まりか?でも1回でいいから一桁までいってみようよ。そのためには、ハイ、クリック!
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5日目で13位なんて上出来、上出来。

飲んできました

金曜日は時間的に余裕があります。ひさしぶりに飲みに出てしまいました。一人でのみに出ることはないんだよなぁ。必ずお連れがいます。お連れを探すのは大変なことではありません(笑)。飲み友達がたくさんいることはうれしいことですね。今日はありがとね、Iさん。また今度付き合ってね!

でも、でも、会社に帰ったらそのまま寝込んじゃって、気が付いたら今5時過ぎじゃん!!!机に突っ伏して寝てたからよだれまみれになってるし・・・。もう寝ますね、っていってもあと1時間くらいしか寝らんない。トホホ・・・。おやすみなさい。


【【【【【【【【【【 今日の蔵内ライブログ 】】】】】】】】】】
かけ米の浸漬時間少し短くしてみる。昨日の蒸しが少し軟らかかったため。今日も麹米の洗米がない。体が休まる。
昨日の予想通り出麹良くなってきた。よしよしいいぞ!棚がないから、夜の手入れ作業がない。ウレシー!引き込みは多少米ベトつく。
酒母の分析値おかしい。酸がこんなに低いはずないぞ。
もろみ1号は仕込温度高かったため、ガンガン冷やす。2号仲仕込。


ブログランキングもあんまり上の方に出てくると、なんかこう恥ずかしいっちゅう感じやね。それでもやり始めたんだから上を目指しましょう。ハイ、クリック、クリック!
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さあ気が付けば、4日目にして今13位。すごいね。みんなありがと。

もろみ第1号の留仕込

本日ようやくもろみ第1号の留(とめ)仕込が完了しました。やっっっと1本だけ仕込が終わったっちゅうことですバイ(どこの方言だ!)。

どういう事かというと、詳しい説明は今後に譲るとして、一番最初に麹を造り始めて、それを使って麹菌の原液である酒母(モトとも言いましたね)を造りました。その酒母の中で酵母菌が元気に増殖して、もろみの仕込みに使用できるようになるまでに約2週間(今回は12日間)かかります。

そしてその酒母を使ってもろみを仕込むことになるのですが、一気に仕込んでしまうわけではなくて、4日間かけて3回に分けて仕込みます。日本酒古来の製法で、「三段仕込」と言います。1回で仕込んでしまうと、原液である酒母の中の麹菌数が極端に薄まってしまうので、少しずつ量を増やしていくような仕込をするのです。

このブログを見返してみてください。11月4日に最初の麹の米を洗っていますね。その麹が完成するのに3日、酒母を仕込んでから12日、もろみの仕込みで4日、合計で19日かかるじゃないですか。4日+19日=23日となって計算通りですね。この記事をアップするのは日をまたいでしまうので24日ですが、内容的には23日の事だと思ってくださいね。

これで終わりじゃあないんですよ。仕込が終わっただけのことで、これから1ヶ月近くかけて発酵が進むわけです。だから、今日仕込んだ1号もろみがお酒になるのはまだまだ先のことになるわけです。

今期の造りは、もろみを36本立てる予定なので、こういう仕込作業が延々と来年の4月のあたまくらいまで続きます。わが社では1週間に2本の割合でもろみを仕込んでいきますから、常に蔵の中には半完成品のもろみが10本以上はあることになります。

この辺、誤解が多いんですよね。お酒っていうのは、冬に入った頃いっぺんにドカーンと仕込んで、冬の間にブツブツと発酵させて、春先にギューっと絞って、ハイおしまいって。そうじゃなくて、小さな仕込をいくつも重ねて、少しずつ年間に必要な量を造っているんです。

まだまだ先が長い感じがするでしょう。でも、終わっちゃえばあっという間なんですけどね。まだ疲れが溜まってこないからやる気満々ですけど、だんだんヘタってくるんだよなぁ。今年もがんばらなくっちゃ。

エッ、「仕込」って何って?まだ先は長いから説明する時間はいくらでもありますから。そのうち分かるようにしますよ。少しずつ小出しにしないと、ネタに困ったりなんかして(笑)。やっぱ、写真がほしいよね。よし決めた、明日何とかしてみる。


よくライブ・カメラって言いますよね。ここではライブ・ブログって感じなのでライブログという造語を作ってみました。評判が悪いのを覚悟でこれでいってみますね(笑)。
【【【【【【【【【【 今日の蔵内ライブログ 】】】】】】】】】】
麹が硬いので麹米の吸水を少し伸ばしてみる。明日の蒸し上がりはどうか。
麹の引き込みないので楽。棚の手入れの時に見てみると、これまでよりは麹菌のはぜ込みはよさそう。出麹楽しみ。
丸ざましした酒母はいい泡がたっている。香りも出てきた。
ようやく1号もろみ完了。少し走らせて早いこと酒にしないと、年末のしぼりたて原酒の出荷に間に合わなくなる。粕もほしいしなぁ。


さて、今日もクリックして、どこまで順位が伸びるかやってみましょう。どうせ義理クリックはそのうちなくなるだろうから(笑)、この1週間くらいは付き合ってくださいね。ハイ、押して、押して!
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現在3日目で20位だよ。どこまでいくかねぇ。

困った!

ここしばらくこのブログに写真が載ってなかったんですけど・・・カメラ壊れた!
写真があると面白いと思うんだけど・・・ウーン困った!
新しい携帯買うか・・・そんな金ない!

これまで携帯のカメラで写真を撮ってブログにアップしてました。携帯電話の機能自体に問題は全くないんだけど、どーしたもんか・・・。

なんか写りがおかしかったんでレンズを覗いてみたら、奥の方にある絞りみたいな板が、全然中心からずれてしまってるじゃあないか。こりゃあ素人目に見ても、物理的に壊れてるのが分かる。何回もポケットから落としちゃってるからなぁ。普通のデジカメ持ち歩くわけにもいかんしなぁ。

とてもきれいな写真を貼り付けて、魅力的なブログもたくさんありますよね。やっぱりあーゆーのはちゃんとしたデジカメで撮って、縮小した形でアップするんでしょうね。どういうのがきれいで効率がいいのか考えなくっちゃ。

今様の携帯の機能はどうせあんまり使わないから、新しい携帯にもあんまり魅力はないんだよなぁ。

今使ってる携帯は3台目になります。最初のはムロ(麹を作る部屋)で作業をしている時にポケットに入れておいたら、自分のかいた汗で故障してしまいました。2台目は掘り出したばかりのアツアツの蒸米の中に落としてしまって、表示がおかしくなっていたのをしばらく使っていたのですが、結局もろみの中に落としてしまって、オシャカにしてしまいました。2回とも登録してあった電話番号を取り出せなくて泣かされましたよ。

これらから得た教訓は、「蔵の中では携帯を身につけない」ってことですね。まあ、酒造りの時期になると周りの人たちもよく分かっていて、電話かけてこなくなりますから、どっちにしてもそんなに不便はないんです。

実はうちの蔵の中って、土蔵だからなのか、もともと電波の弱いところだからなのか、通信が切れてしまうこともしょっちゅうなんです(いなかだと誤解しないように!)。話したくない相手だと、「うちの蔵、電波状況悪いんだよねー」とか言いながら、ブチッと回線を切ったり・・・イヤイヤそんなことはしないって(笑)。

早いとこ、何とかしなくっちゃ。携帯を買う金はないんだけど、飲みに出る金ならあるんだよなぁ、不思議なことに・・・。


【【【【【【【【【【 今日の蔵内ライブ 】】】】】】】】】】
明日は引き込みがない。麹米の洗米がないから楽チンだ。最近だんだん腰が痛くなってきた。もうちょっと楽に洗えんかな。
やっぱり麹が硬いなぁ。麹菌が食い込まねぇぞ。もう少し吸水率を上げた方がいいかもしれない。なんかムロでも扱いにくい感じの米だ。棚の温度きてるから、手入れ時間早い。早く寝られるゾー(ブログがなきゃね)。
酒母2号まるざまし。夜10時。
添(そえ)と仲(なか)の仕込み。仲の仕込み温度高すぎ。明日の留(とめ)の仕込みは大丈夫か?朝の気温が下がってくれればいいがなぁ。


じゃぁ、最後に今日のお仕事いきましょうか!マストな人たちはクリックしてくださいね。ダメですよ、サボっちゃぁ!
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「お酒・ドリンクランキング」で2日目にして32位だよ。ちょっとドキドキするなぁ・・・。

さてさてこれからのこと

肩の力が抜けてる・・・。

昨日までのブログで、これだけは書いとこうと思ってたことも書けたし、人気ブログランキングにも登録できた。今、脱力してんね。燃え尽きた(笑)。

酒造りの作業も通常状態に既になっていて、毎日麹の面倒を夜中まで見なくちゃいけなくなってたから、よけいにその合間をぬってブログを書くってことが大変になってたなぁ。自分にご褒美あげたいよ。飲みにでも行きたい気分だ。

話は変わりますが、会社に泊まり込みになっていいことがひとつあるんです。それは、まちにすぐに飲みに出られるってこと。うちの蔵はまちなかにあるわけではないんだけど、ちょっとはずれくらいに位置しているので、飲み屋街にはすぐに出られる。麹の手入れが終わってから、ふらふらと12時頃に飲みに出ることもたまにはある。帰るのも楽だからほんとにそれだけはラッキーです。

すいません、話が逸れちゃった。

これからどうやって記事を書いていけばいいんだろう。当然、毎日の仕込みの様子なんか報告はしていけると思います。でも、そのうち分かってもらえるんだけど、蔵の中の仕事って、毎日同じことの繰り返しなんです。毎日毎日同じ作業が延々と数ヶ月間続くわけです。その中で酒に対する向上心を持ち続けることは大変な忍耐だと思っています。

だから、そのうちに目新しさがなくなってくるだろうと想像されますね。いろいろとその時の話題や、酒造りのうんちく話なんかも取り混ぜられるといいでしょうかね。でも、なんていうのかなぁー、これだけしょっちゅう書くんだから、蔵内のライブ感みたいなものが伝わると面白いと思うんですけどね。

そこで、とにかく分かっても分からなくてもいいから、酒造りの経過の中で、その日に感じたことを羅列するコーナーを作るってぇのはいかがか?当然、専門用語も出てくるかもしれないけれど、そんなの分かんなくていいや。習うより慣れろ。そのうち分かるようになりますよ・・・たぶん(笑)。


【【【【【 今日の蔵内ライブ 】】】】】
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出麹かなり硬い。こんなのに仕上げちゃって、どうすんだ、ヘタクソ!。
今年の美山錦の感じがまだつかめてない。
ようやく1号もろみ始まる。本日踊り。泡少ない。ちょっと弱いか。
踊りの段階で香りは高い。そういえば酒母の1号も香りかなり高かった。
もう1号もろみ始まってんのに、もろみ経過簿まだ用意してねぇじゃん。
酒母3号仕込む。夜中まで汲み掛け大変。
/********************************/


大事なの忘れてた。
はい、クリックするのが義務の人たちはお願いしますね。いいですか、毎日やるんですからね。気を抜いちゃダメですよ。
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「お酒・ドリンクランキング」で現在もう73位にいますよ・・・。

いきさつ(3)

こんないきさつで私のブログは始まりました。

彼にケツを叩かれなきゃあブログなんてやらなかったかなと思うのがacbさん。某機械メーカーの社長さんで「お前いつになったら始めるんだ!」と度々電話をくれました。言い始めたら結構強引で、グイグイ引きずり込まれてしまいました。しかし、何としてもやらせるという「押し」には凄いものがあるなぁ。彼の会社の社員でなくてよかったー(ウソウソ!)。でも、結果オーライでしたね。

私もリンクを張っている彼のブログ「いい会社ってどんなだろう」は、人気ブログランキングの社長ブログの中でも、常に100番以内(今70番くらいかな)に入るお手本ブログです。今では私のブログの先生。アドバイスももらって、彼のやることを見習いながらブログを書いています。

その他にも、案外身近にブログをやっている人が多いのでびっくりしました。「えっ、ブログやってんの?」という会話になると、いきなり親近感増しますね。人気ブログには個人の離婚バトルを書いたものや、外食した食べ物のことばっかり書いたもの、営業のノウハウを書いたものなんかがあって、何とも楽しい世界ですよね。

ぜひ仲間入りをしましょう。ということで、
ジャジャーン!「人気ブログランキング」デビュー!
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何で今日なのか?実は今日テクノネット駒ヶ根のマネジメント研究会があったのです。私は出席できなかったけれど、「クリックしてね」と事務局には言っておきました。さあ、みんなこれクリックしてね!はい、あなたも、あなたも、事務局のあなたも。これから毎日ですよ。いいですね!
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「もっと素直に感謝しろよ!」と今日の研究会で話題になったそうです。してるんですよ、これでも。自分ひとりではこういうことは絶対にやらなかったでしょう。造り酒屋はそんなことしなくてもよいと思ってました(今でもちょっと思ってますけど・・・)。とりあえずでも何でもやり始めたんだから、私にとっては大きな進歩です。

本当に伝えたいことが心になければ、どんなに文章がうまくても、人の心は動かせないでしょう。何が伝えたいかよく考えて、読んでくれる人に共感してもらえるようなブログにしたいです。

さて、これだけは書かなくっちゃと思うことが書けてスッキリしました。少し突っ込みすぎて読みづらい部分もあったでしょうが、初心者ということで許してください。しかし、後はもう面倒くさいことは書きませんよ。今までちょっと無理して書きすぎました(笑)。酒造りの方も目一杯になってきました。明日からは日々の酒造りを中心に少し手短に書き進めていこうと思います。

いきさつ(2)

次回の研究会から、「ブログやれ攻撃」が始まった。
「お前いつになったらブログ始めんだよ?やるのタダなんだから問題ないじゃん。効果がなかったらいつでも止めればいいじゃん。あーじれったい!!!」

ライブドアの堀江社長のブログだけは読んだことがあった。でも、毎日やったことをダラダラと書いている日記みたいなもんだ・・・くらいの認識しかなかった。日記書くのなんかまっぴらご免だよ。小学校の頃日記書くの大嫌いだったもんね。

驚いたことに、テクノネット駒ヶ根の中にもブログを書いているメンバーが何人かいた。彼らの言い分はこうだ・・・。

『 とにかく信濃鶴は認知度がないんだから、お前がブログを書いて、それがいろんな人の目にとまるようにすれば、多少なりとも信濃鶴という銘柄も、どういう思いで造っているかも伝わるだろう。それがひいては信濃鶴の売上げにも貢献するはずだ。

人気ブログランキングっちゅうやつがある。そこにエントリーすると、人気の順にランキングがつけられる。いろんな人に読んでもらっている上位のブログは、実にものすごい数の人に支持されている。カテゴリーがいろいろあって、「社長ブログ」とかいうと大変な激戦区だが、「お酒ブログ」なんていうカテゴリーは、そんなに高ポイントでなくても上位に食い込めるはずだ。

ここにいるメンバーを10人として、1日1回投票してもらえば、1回10ポイントで1日100ポイント、1週間で集計されるから700ポイント!ほうら見ろベストテンに入れるぞ。そしたら他の人も見るようになるはずだ。

こんなに簡単なのに、何で始めないんだ。30分もあれば新しいブログなんか登録できるぞ。今やれ、すぐやれ、ここでやれ! 』

みんなでクリックって言ったって・・・。「~のはずだ」っていう話ばっかじゃん。そんなにうまくいくかー?

実は、会社のホームーページを立ち上げる計画がありました。地元の友人でインターネットを使ったシステムや、各種のコンテンツを作っている仲間が何人かいます。この冬の間に自分である程度作ってみて、彼らにアドバイスを受けて、春先にでも公開できればと思ってました。ただし、その中でブログは付け足し程度の位置付けでした。

しかし、私の中でホームページってちょっと違うなぁという感じは以前からありました。あまりに静的というか、くもの巣を張ってじっとしているというか、1回見たらもう見ないというか・・・。

そこで、こんな話が出てきたついでに少し勉強したら、ブログの方が面白そうだったんですねぇ。ホームページよりイケてんじゃんという感じでした。「Web2.0」という言葉で総括されているみたいですが、マーケティング技術もあるらしいし、テレビや雑誌に代わるコストのかからない集客の仕組みを使って、酒蔵経営の新しいビジネスモデルなんかが出来るかも・・・。

獲らぬ狸のなんとやらですな。でも、こっちから始めても悪くはないなと思ったのです。

それでは、明日「人気ブログランキング」デビューといきましょうか。今晩登録してみます。

※ 尚、前回と今回のこのブログの内容につきましては、ドラマ性を強調するために若干の脚本がなされております。また、記事中の会話部分につきましても、袋叩きにされている臨場感をリアルにお伝えするために、実際の現場より若干乱暴な表現となっておりますことをご承知おきください(笑)。こんな乱暴な人たちでは決してありません。決して・・・(涙)。

いきさつ(1)

なぜ、ブログを書く羽目になったのか。もう造りは本格化しているんですけど、どうしても書いておきたい最後の話です。いきさつはこうでした・・・。

駒ヶ根市に「テクノネット駒ヶ根」という団体があります。異業種交流、人材育成、経営改善など、いろんな研究会を立ち上げて活動しています。ホームページには

『 中小企業が急変する構造改革に対応するため、地域の企業が連携し、知恵や技術を補いながら、それぞれの企業の体質を強化すること目的としている。人材育成のための異業種集団であることから、別名「産業界の市民大学」とも呼ばれている。 』

なんて書いてある。長年にわたる活動が、地域イノベーションに寄与していることを認められて、信州大学イノベーション研究・支援センターから「地域おこし賞」を受賞したりもしていて、結構活発に活動しているのです。実際、参加企業には元気な会社が多く、この活動の成果が現れているものと感じています。

長生社はこれまでもいくつかの研究会に参加してきましたが、本年度は「マネジメント研究会」というやつに参加しているのです。これもホームページには

『 若手経営者が自分の会社の抱える経営の悩みを会員と共有し、解決していくための研究会です。 』

と書いてある。へぇー、そうだったんだ・・・(ヤバイよ、分かってないじゃん)。本当のところは、頭の上がらない先輩が大勢参加している研究会で、何の抵抗も出来ずに引きずり込まれてしまったというところです。業績のいい会社の人ばかりで、私なんか肩身が狭いんですが、こいつも何とかしてやろうと可愛がられているんでしょう。

研究会では、「おめぇの会社はなぁ・・・」とやり込められてしまうことが多く、防戦一方です。これまでも、マーケットインかプロダクトアウトかなんていう議論の際には、信濃鶴は多分にプロダクトアウト的要素を持っているもんだから、今様の流れにマッチしていないと、かなり叩かれました。「それでもやるんだ!」と泣きながら抵抗したもんです(嘘)。

その研究会で、また窮地に立たされちゃったのです。
「お前は純米蔵だなんて言ってるけど、誰もそんなこと知らないじゃん。駒ヶ根市民のどれくらいの人が知っていると思ってんの?そんな独り善がりじゃあ、酒なんて売れないよ。知ってもらう努力が足りねぇよ。やる気あんのか?」
「これまで純米酒造ることに専念してたし、誰も知らないてことはないんじゃ・・・」
「じゃぁぁ聞いてみるか?」
懇親会場の飲み屋のおねぇちゃんに聞く。
「信濃鶴が純米酒だって知ってた?純米酒って分かる?」
「・・・」
「ほら知らないじゃん!」
「いや、それは突然聞かれたから面食らっただけ・・・」
「あーあ、だからダメなんだよ長生社は!」
酔った勢いでみんなで同調してヤンヤヤンヤ、大盛り上がり。そして、
「そうだ、お前ブログやれ!」

ブログ?なんだそりゃ?あのライブドアの堀江社長が毎日書いてるやつか?

信濃鶴ってどんなだ?(最終回)

さて、このシリーズでは現在に至る信濃鶴の紹介をさせてもらいました。こんなのが信濃鶴なんです。これ以上でもこれ以下でもない素顔が分かってもらえたらと思って書きました。あまり外に向かって(内に向かってもか?)こんなことを言ったことがなかったので、言葉足らずの部分もあったでしょうが、これからも思い立ったことを、その度に書いていきますね。

こうなったらいいなという夢が頭の中に浮かんでから、本当に純米蔵宣言をするまでに10年以上かかりました。ある年に一変に全てを純米にしてもダメなんです。少しずつゴールに向かって自分を変えていかないと、経営上のコストの問題も、お酒の味の問題も激変はいい結果を生まないでしょう。

アル添していた普通酒を純米酒に変えるのなんて、とても大変なことでした。何年もかけて少しずつ添加するアルコールの量を少なくしていって、純米化する直前の年なんか、本醸造酒の半分程度しかアルコール添加しなかったんだから。そうやって、地元の人たちに慣れていってもらいました。それでも純米酒にしたら、良くも悪くも「信濃鶴は変わった」と言われましたけどね。

本物の日本酒とは何か
誇れる地酒とは何か
うまい普通酒とは何か

いつも考えてきました。今やっていることをひと言で言えば

「地元の酒米で丁寧に純米酒を醸しています」

という何とも陳腐な表現になってしまいます。けど、陳腐でいいんです。同じことを地道に地道に繰り返すんです。そしてそのたび毎にほんの少しずつ積み重なった「信用」が100年後の日本酒の世界を築いてくれるものと信じています。

信濃鶴は純米酒をあんなに安い価格で販売して、その価値を落としたのかもしれません。こんな経営もいつまで続けられるのか分かりません。でも、座して死を待つよりあえてリスキーな道を選びました。その結果は100年後に出るんです。私はその時生きてないから、気楽に構えてていいんです(笑)。

最後に、純米化を進める中で出会った、心に残る言葉を挙げてこのシリーズの閉めにしたいと思います。この言葉は江戸時代の儒学者である佐藤一斎によるもので、困難に遭っても、ただいたずらに時代を憂いたり、悲観するのではなく、自分自身の考え方・生き方・信じた道に従い、前に進むことの大切さを説いたものです。地元の青年会議所の後輩に教わりました。この「一燈」が私にとっては純米信濃鶴でしょう。琴線に触れた言葉です。

一燈を提げて暗夜を行く
暗夜を憂うることなかれ
ただ一燈を頼め

信濃鶴ってどんなだ?(8)

純米信濃鶴を造るために、大きな設備投資をしました。ちょっと過剰かもしれない・・・。バブルの時期の(もう古い!)過剰な設備投資が原因で倒産した会社って、なんかたくさんなかったっけ?うちもヤバイか・・・。

大きいと言っても、小さな造り酒屋の投資ですから、世間様のそれに比べれば何ってことない額でしょうが、わが社とすればここでも清水の舞台から飛び降りるような決断をしたことになります。ただ、バブル時代のように浮かれていたわけではなく、日本酒業界が一直線に右肩下がりの斜陽産業に成り果てていた時期の投資でしたから、よく社長がやってくれたもんだと思いますね。金利だけは安かったわけですけど・・・。いかん、いかん、また後ろ向き発言になってしまった。

今現在イケてる会社が、先行きの明るい分野への投資を決定する場合には、何らかの判断指標もあるのでしょうし、その投資に大義もあるでしょう。しかし、お先真っ暗の業界のど真ん中にいて、ある程度の投資をすることは結構勇気がいることですね。どのくらい先にあるか分からない夢に向かっての投資ですから、その投資が希望を奮い立たせるものでなくてはならないと思います。わが社の投資がその後の会社運営にどの様な意味があったのかは、もう少し先になってみないと分からないでしょうね。

さて、造り酒屋の設備投資って何に金をかけるのでしょう。メーカーなんですから、基本的にはものづくりにかかわる設備になります。純粋に酒を造る部分と、それを商品の形にする部分に分けられますが、やはり前者にお金をかけたいですね。

更に詳しく見れば、原料処理、麹の製造、酒母の製造、もろみの製造、もろみのろ過、清酒の貯蔵、くらいになるでしょうか。原料処理とろ過以外の工程については、もうこれは品温制御に尽きるといっても過言ではありません。品温は目安であって、全然別のものを制御している場合もありますが、いずれにしても温度をどう管理するかがその後のお酒の品質を大きく左右するのです。

いくつか紹介すれば、麹を造る設備を一新しました。これは大きな会社では吟醸酒の麹の製造専用に使われるものですが、うちのように小さな蔵では全ての麹をこれで造ることが出来ます。当時長野県で初めての導入でした。同じ量の麹を作る機械に比べるとかなりお高いものでした。いろいろと細かい制御が出来るのですが、逆に出来すぎちゃって、使いこなすまでに時間がかかりましたね。

一番お金がかかったのが、もろみの仕込みタンクです。これはもろみが発行する際の発熱を抑えるための機能がついた、冷蔵タンクみたいなものです。最初は吟醸酒を作るために導入したのですが、大変に調子がよく、各種品評会で金賞も取れるようになったもんだから、このタンクで全ての酒を仕込むのが夢でした。タンクを作っているメーカーの人も「これだけこのタンクが並んでいる蔵は他にありませんよ」なんて言ってました。

これらは全てこれまで通りの造り方をするのにはなくても良いものです。実際それ以前には、そういった新しい設備はなくてもやれていたのです。そして、これらは全て普通純米酒を造るために投資をしたものです。「普通酒を造るのにここまでやるかぁ」という感じですが、そこまでしても最低ラインの品質を上げて、他ではない信濃鶴だけの味を追求したかったのです。

10年以上かけて、いろいろと導入してきました。このような設備の導入は、単に機械を置き替えるだけではなく、製造工程の変更も余儀なくされますから、一朝一夕にはいきません。悩みながらここまできました。

しかしどんな設備も使う人の技術がなければ宝の持ち腐れです。酒造りは経験工学なのです。機械だけそろえても何の意味もない。やはり経験に裏打ちされた技術と勘が、機械の力を借りてより大きく開花する方向を目指さなくてはならないでしょう。

さあ、これでこの「信濃鶴ってどんなだ?」シリーズは、そろそろ次回でおしまいにしましょう。このシリーズではこれまで長生社がやっちまった事を書いてきました。これからのこのブログは、これから長生社がどうなっていくのか綴っていきたいなぁ。

信濃鶴ってどんなだ?(7)

信濃鶴ってどんなだ?シリーズも終盤です。言いたいことはたくさんあるのに、自分自身の頭の中がうまく整理されていなくて、ゴチャゴチャと読みづらくてすいません。でも、書いておかなくてはならないと思うことは書いてしまいます。

パンフレットからの抜粋も最後です。たったこれだけの文章でも、大勢の人に見てもらおうとすると、じっくり考えて推敲を重ねないと納得のいくものにはなりませんね。その割りにこのブログは書きなぐってますけど・・・。

『 うまい普通酒とは・・・
毎日飲んで頂くいつもの酒を最高の品質にしたい。
これは酒造家全ての夢でしょう。
信濃鶴は美山錦の精米歩合を最低でも60%とし、
全て吟醸造りに倣った低温発酵で醸造されています。
品質向上に向けた全ての設備投資は、普通純米酒のために行っています。
お求め頂きやすいように価格も低く抑え、
いつも傍らに置いて頂ける酒になりたいと願っています。
意識せずにうまい純米酒を飲んでいる人を、
一人ずつ増やす努力をこれからも続けます。 』

駒ヶ根市からは少し離れた飯田市にある、お得意先の小売店さんが言ってくれました。
「駒ヶ根の人はいいよね。あれだけのお酒が、あの値段で、地元でいつでも飲めるんだから」
うれしいひと言。「あのー、もう一回言ってくれますか」とお願いしたくなっちゃいました。

私が造りたいのは普通酒です。普通酒というと税法上の表記からいくと少し誤解があるかもしれませんが、普段の酒、毎日飲む酒、まちの呑み屋さんで出てくる酒、このまちに空気みたいに漂っている酒、飲みすぎてゲロを吐く酒(汚ねーな)、うれしい時に飲む酒、悲しい時に飲む酒・・・まあ、何でもいいや。

それを純米酒でいきたいわけです。それも一切手抜きのない、お天道様に恥ずかしくない造り方で。これは蔵元として、職人としての私のこだわりです。自分が飲みたいのはそんな酒なのです。

わが社の製品ラインナップは、精米歩合60%の普通純米酒、55%の特別純米酒、39%の純米大吟醸酒のみです。使う米が1種類しかなくて純米酒だけとなると、商品の差別化を図るのは精米歩合くらいになってしまいます。ちなみに精米歩合60%というのは玄米の外側40%分を削り落としてしまったお米のことです。

今の造り酒屋は全ての種類の酒を自社ブランドの中に造ろうとしているように見えます。普通アル添酒、本醸造酒、純米酒、吟醸酒、純米吟醸酒、大吟醸酒、純米大吟醸酒、生酒、原酒、おり酒・・・。いろいろな種類を作りすぎる。いろいろあるからお客様のニーズには応えられるかもしれないけれど、「あの蔵の酒はこうだ」という評価が形成されないのではないかと思います。どの蔵にもそれぞれの特徴がある方が、自然だし楽しいと思うのです。

私は上記の3種類の純米酒の中でも、特に普通純米酒に命をかけて造ってます。これだけあればいいとさえ思っています。当然純米大吟醸の方が手もかかるし、同じように命はかけます。しかし私にとって純米大吟醸は、そこで得られた知見を普通純米酒造りに生かすための試験醸造なのです。最高の技術を普通純米酒作りに生かすことが最大の目的です。

最高の技術の中には2つの意味があります。ひとつは経験によって私や蔵人の血となり肉となる「技能」。もうひとつはそれらの技能を生かすための「設備」です。妥協のない修練は必要ですが、技能の方はタダで手に入れることが出来ます。しかし、設備の方はどえらく金がかかるんだなこれが・・・。

信濃鶴ってどんなだ?(6)

「酒造りはまちづくり」・・・いい言葉だと思いませんか。受け売りじゃあありませんよ。いつの頃からか自分の心の中にある言葉です。

もう卒業してしまいましたが、数年前まで駒ヶ根の青年会議所という団体に入会して様々な活動をしてきました。40歳で卒業ですが、13年間もやったので、最後の年には結構な古株でした。以前にもブログに書きました、「協力隊週間国際広場」なんていうのも、その青年会議所での活動を今も引きずっているわけです。

その基本理念は、青年としての英知と勇気と情熱を持って明るい豊かな社会を築き上げようとするものでした。私はそこで徹底的にまちづくりを叩き込まれ、自分でも深く考えるようになったのです。そして、酒造りとまちづくりの垣根がなくなった時に「酒造りはまちづくり」なんていうフレーズがどこからか降りてきたのかもしれません。

話がそれました。さて、地元産の酒米のみで造ることにこだわったこの信濃鶴ですが、単に他と差別化して特徴的な商品を作ろうとしているだけではありません。それがまちづくりにつながればいいと常に考えています。極端な言い方をすれば、造りたいのは酒ではなく、そんな酒を飲んでいるまちなのです。

地産地消が当たり前のまち。
そんな自分たちの文化基盤を誇りに思ってもらえるまち。
日本一純米酒を飲んでいるまち。
いつの日にか、そんなまちがブランドになるかもしれない。そしてその時に、信濃鶴はみんなが誇れる地酒になっていればいいんです。

地元で買えない地酒なんていうのもあるんですよ。変な話ですけど。首都圏の市場で人気に火がついて大ブレイクしてしまった様な銘柄の製品は、全てそちらに吸い取られてしまって、地元の酒屋さんでは売っていないなんてことになってしまうんです。私から見ればうらやましい限りのような気もするんですが、やっぱりそれじゃあ本末転倒でしょう。そんな状況になると、地元の酒屋さんも自分では手に入らないその銘柄のことをあまり良くは言わなくなってしまいます。地元で愛されるのが一番です。

「おれは純米酒は嫌いだ」と面と向かって言ってくる人もいます。それはそれでしょうがない。しかし、もし信濃鶴しかなければいやでもなんでも飲むしかない。そこで言ってやれるかどうかなんです。
「でも、あなたの飲んでいるものに間違いはないんですよ」
と。うまいかまずいか、好きか嫌いかという議論とは違った次元の裏付けを持たせて、地元の人たちを誰かが守っていかなくてはならないのです。このまちの人たちが
「信濃鶴をうまいって言っておけば間違いない」
と言ってくれるその「信用」こそ、私がこの会社に残しておきたいものなのです。

最後に、なぜ地元にこだわるのですかと聞かれた時によくするお話を挙げておきます。

数年前にある新聞記者の方が教えてくれた話です。長野県で「棚田サミット」という会議が開催されたのだそうです。消えつつある棚田の価値を見直し、後世に残していこうという趣旨です。その中のひとつの講演会で、棚田で採れたお米をおいしく食べるには、どんな水で炊くのがよいのかという研究をして、その内容を発表した人がいました。

いろいろな水で炊いてみたそうです。井戸水、川の水、水道水、日本のミネラルウォーター、外国のミネラルウォーター、・・・。そして最もおいしいという結果になったのは、なんとその棚田の脇を流れる用水の水だったというのです・・・。

その米が育った水で炊いた米が一番うまかったのです。「なぜだ?」と問われれば答えようもないのですが、「そりゃそうだ!」と胸に落ちるものもあります。世の中はそういう風になっているんですね。

だから、その米が育った水で仕込んだ酒はうまいに決まってんだって。自分の地元ってすげぇんだって。日本中の「地元」の数だけうまい酒があるってぇことに、疑う余地なんかないんです。

信濃鶴ってどんなだ?(5)

なぜ信濃鶴はそれ程までに地元の酒米にこだわるのか。
なぜ飯島の農協さんは全量をまわしてくれるようになったのか。

「地産地消」と最近よく言われます。地元で生産されたものを地元で消費しようということです。生まれ育った場所の10km四方で取れたものを食べていれば健康でいられるという話も聞いたことがあります。プロの運動選手が故障をしたら、自分の生まれ育った故郷でリハビリをするのがよいという話も。

そのような話の論拠は私には良くわかりませんが、人間も自らが生活している環境の一部なのだから、その自然の循環の中で生きて行くことが摂理にかなっているということなのだと理解しています。人間はそうやって何千年も生きてきたのです。直感的には理解できる話じゃあないですか。その他にも地域経済の内部循環といった側面も含まれた問題だと思います。

「フードマイレージ」という言葉はご存知ですか?食料の輸送距離という意味で、重量×距離で表されます。簡単に言えばその食物が口に入るまでにどれくらいの距離を移動してきたかの指標です。食品の生産地と消費地が近ければフードマイレージは小さくなり、遠くから運んでくると大きくなります。

考えるまでもなく、国別でいえば日本はフードマイレージ世界一でしょう(たぶん・・・)。輸入される食糧が、どれだけの経費をかけて、どれだけの燃料を使って、どれだけ地球の環境に負荷をかけて我々の口に入っているのかも、これからは考えていかなくてはならない問題でしょう。

それでは「スローフード」という言葉はどうですか?スローフード協会という団体が日本にもあります。現在世界を席巻しているファーストフードに対抗したネーミングですね。単に食べ物をゆっくり食べようという運動ではありませんよ。かなり深遠な哲学を秘めたムーブメントらしいです。

これは次の3つの指針を掲げ、イタリアのブラという片田舎からスタートしたNPO運動です。
1.消えてゆく恐れのある伝統的な食材や料理、質のよい食品、ワイン(酒)を守る。
2.質のよい素材を提供する小生産者を守る。
3.子供たちを含め、消費者に味の教育を進める。

最初に「酒を守る」と名指しで書いてくれてあるのに、まだ日本酒がスローフードとして光を当てられているという話は聞いたことはありません。なぜでしょう?もう伝統的でもないし質も悪いと思われているのでしょうか。悪口ではありませんが、アル添も候補からはずされる要因かもしれませんね。添加用のアルコールは国内ではほとんど作られていないので、アル添すると上述のフードマイレージは跳ね上がってしまいますからね。

地産地消、食育、スローフード、ロハス、フードマイレージ、マクロビオティック、etc・・・。いろいろな言葉で現代の食に関する問題提起はなされています。しかし、そんなことは当の昔から言っている人は口をすっぱくするように言っていた内容です。キレる子供は食生活が作る、なんていうことは、始めは「エッ、何で?」といぶかってしまいますが、少し勉強すると見えてくる気分になりますよ。

これらの問題は、あまりにも食に対して無頓着になってしまった現代人に突きつけられた、大変に重要な課題であるように思えてなりません。私は全てに共通する根底の概念は「食は命」ということではないかと考えています。私たちが食べているものが、私たちの命そのものなのです。この点、私は信じて疑っていません。ですから、口に入るものを製造している者としては、本腰を入れて取り組んでいかなくてはならない問題なのだととらえているのです。

地元で立派な酒米が生産されているのだから、それを使わない手はないというのが、信濃鶴が飯島町産の美山錦にこだわる、筋の通った成り行きです。しかし、裏ではこんなことも考えながら酒造りをしています。

そして、わが社も含めてそういう取り組みがまちづくりにつながっていけばいいんだがなぁ・・・。

信濃鶴ってどんなだ?(4)

今日は信濃鶴の原料である地元産の酒米、美山錦について。またまたパンフレットより抜粋。

『 誇れる地酒とは・・・
信州の美山錦は日本一です。
その中でも伊那谷は一大産地として名を馳せています。
信濃鶴は使用する原料米全てがこの地元産の美山錦です。
地元の水で育った酒米を地元の水で酒に醸すことは最も自然な流れであり、
できた酒を地元で飲むことで、地産地消も完結します。
地域に根ざした造り酒屋として、健康で持続可能な、
ゆったりとした生活の価値を大切にしていきたいと考えています。
酒造りはまちづくり。
小さくとも皆が誇れる純米酒のまちを目指します。 』

美山錦というのはお酒を造るため専用のお米です。そのうちにお話する機会があると思いますが、簡単に言えば酒米というのは酒造りに適した成分と形状をした米です。通常の飯米でもお酒は造ることが出来ます。しかし、より良い酒質を目指すなら酒米を使わなくてはなりません。

我々が口にする飯米と同じように炊いても、パサパサしておいしくないそうです。「そうです」というのは変な言い方ですが、蔵では酒米は蒸されて処理されるので、蒸米は食べたことはありますが、炊いた酒米は実は食べたことはないんです。

日本で一番有名な酒米は「山田錦」というやつです。主に西日本で作付けされています。その他にも「雄町」、「五百万石」等がありますが、長野県の代表的な品種といえばこの美山錦になるのではないでしょうか。現在は新しく開発された「新美山錦」なんていうのもあります。

長野県の中でも酒米の産地として有名なのは安曇地方と飯島町です。これらの地域には農家の中に酒米部会というのがあって、互いに技術を学び情報を交換して、専門に酒米を作っている人たちがいます。そういう農家の方々とお話をする機会がありますが、非常に熱心に米作りに取り組まれている様子がうかがえます。その熱心さゆえでしょう、飯島町には県外の有名蔵も買い付けに着ているそうです。

私が蔵に戻ってきた頃には、かつての経済連(今は全農)が酒米の配分を決めていて、申し込んだ量の半分くらいしかもらえませんでした。山田錦なんて手に入らなかったものです。わが社も始めはほんの少しの取引だったのですが、直接飯島の農協さんと話が出来るようになり、近年徐々に数量を増やしてもらって、数年前から全量飯島町産の美山錦をいただけるようになりました。

全量と一言で言っても、飯島町全体で3000から4000俵くらいとれる美山錦の(特別な契約栽培米を含めるともっと多いはずです)1000俵以上をまわしてもらうのですから、相当なもんです。

値段は普通の米に比べてかなり高いです(山田錦はもっともっと高い)。ですから普通はこのような酒米はちょっとグレードの高いお酒の原料として使われます。それを普通酒の原料に使って、それも純米酒で出そうってえんだから、バカだよ・・・。

なぜそれ程までに地元の酒米にこだわるのか・・・。

信濃鶴ってどんなだ?(3)

もう一度純米酒について書きます。今回も始めはわが社のパンフレットの抜粋です。

今年、純米化して初めての商品パンフレットを作りました(遅い!)。エクセルで苦労して作りました。自分なりにこれまでの総まとめのようなつもりで内容を考えたので、このブログにも残しておきたいのです。

『 本物の日本酒とは・・・
中央アルプスから流れ出る伏流水と伊那谷に実る酒造好適米の美山錦。
この2つのみを素材として信濃鶴は造られています。
日本酒文化をこれからも末永く継承することを願い、
醸は農なりの精神のもと、日本酒本来の姿を常に追い求めてきました。
そして、それは純米酒であろうという結論に達しました。
我々の姿勢を実行に移し、純米蔵の宣言に至るのは
容易なことではありませんでしたが、
いくつものハードルを越え、長い準備期間を経て、
製造全量の純米化を実現しました。 』

何度も言っていますが、純米酒のみが本物でアル添酒はまがい物だと言っているわけではありません。アル添酒も本物です。アル添酒もおいしいものがたくさんあります。アル添酒も杜氏の研ぎ澄まされた技術によって造られています。でも、今現在うちではその種類のお酒を造っていないということです。純米酒に特化して生き残りをかけているのです。

清酒業界にとって苦しい時代が続く中で原点に返って考えたとき、純米酒が本物に最も近いことは間違いないと思いました。ならば、そこから再スタートしようと思ったのです。

しかし、アル添の中でも昔で言うところの三増酒というのは、かなり本物から遠ざかっていたと思います。簡単に言えばアルコール添加の量をどんどん増やして、もとのお酒の量の3倍にまで増量するのです。味が薄まってしまうので、糖とか酸とかを添加して味をつけるのです。私が会社に入った頃にはまだ造っていました。これが今の私の反面教師になっているのは確かですね。

逆に純米酒なら本物か?そうでもないかもしれない・・・。今ではいろいろな技術もありますから、伝統的な作り方からかなりはずれた製造方法もあるかもしれないし、手を抜いて適当に造っただけのものを本物と言っていいものか・・・。

いずれにしても、「本物」という表現が曖昧過ぎるかもしれないし、作為的に何とでも言えちゃうかもしれないですね。「純米酒」という定義だって、税務署の決めた要件を満たしているものというだけですからね。

最後に、上原浩著「純米酒を極める」(光文社新書)に同じような事が書かれていますので、載せておきます。上原先生はあの人気漫画「夏子の酒」の上田先生の実在モデルとしても有名な人で、そうとう頑固な純米派です。

『 日本酒とは、米と水だけでつくる酒である。今、この原点を確認しておくことが不可欠であるように私には思われる。それを見失っていたからこその今日までの迷走であった。すべての酒造家が純米酒中心に切り替えたところで、万事がうまく行くとは私にも断言できない。しかし、このまま戦後の遺物を引きずって、指針なき迷走を続け、衰退していくだけではあまりにも情けない。ならば、たとえ一時的に生産規模を縮小させることになろうとも、伝統産業の担い手としての誇りを回復し、日本固有の文化たる日本酒をあるべき姿に戻して、次世代に引き継いでいく方が、よほど価値のある仕事になるのではあるまいか。 』

そうして、彼は純米酒による日本酒再生への挑戦という流れを作ってきたというのです。

純米蔵宣言をして、いろいろと苦しく思い悩んでいた時期にこの本に出会いました。どれだけ勇気付けられたことか。もうお亡くなりになったということで残念ですが、その遺志は継いでいこうと思ってます。

信濃鶴ってどんなだ?(2)

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信濃鶴がどんな酒なのか紹介を始めたのに、いろいろと始まってしまって尻切れトンボになってしまっていました。造りがもっと忙しくなってしまうと、あまり頭も回らなくなるでしょうから書いてしまいましょう。

『・・・』の部分はわが社のパンフレットの抜粋です。これも一生懸命考えた文章なので、そのまま載せます。パンフレットのつもりで読んでいただければと思います。

『 酒造株式会社長生社の歴史・・・
明治16年、初代北原久次郎が創業し、
自ら杜氏として酒造を始めました。
ところが、不慣れのため幾度も酒がことごとく酢となって
大損失を被ったそうです。
しかし、久次郎はこの失敗に微塵も挫折することなく、
酒造の研究に邁進しました。
菊正宗の杜氏について実地を学び、
やがて天竜正宗の芳醇な銘酒を醸造して名声を上げます。
酒造㈱長生社は大正9年に設立され、
久次郎は初代社長として経営にあたりました。
設立当時、賀茂鶴酒造の指導を受け、
その5号蔵を参考に仕込蔵が建設されました。
その由をもって「鶴」の一文字をもらい、
信濃鶴と命名され、以来酒造一筋に今日に至っています。 』

久次郎は私の曾曾祖父にたります。彼は実業以外にも教育関係の名誉職を歴任し、普通教育の振興に献身的に奉仕したかどによって、知事の表彰、更に文部大臣より表彰をされたそうです。地元のために精力的に働いた人らしいです。

昔の地元の人物誌には、「酒造家・自治功労者・画家」と紹介されていますから芸術家肌の人だったのかもしれませんね。彼の描いた書画もいろんなところにあります。彼が土地を寄付して立てた幼稚園に、その書画が写された石碑が建てられました。その時の除幕式の役にご幼少の私が任命されて、「ハイ!」と言われて紐を引っ張ったんだけど、うまく布が落ちてこなかった苦い経験があります。

彼は安政4年生まれというのですから、26歳くらいで酒を造り始めたのでしょう。えらく失敗もしたようだから、今の私よりよっぽど苦労したんじゃないのかな・・・。

明治16年というのは、実ははっきりした根拠があるわけではなく、その時のもろみの経過簿が残っているからというだけです。もしかしたらもう少し前なのかもしれません。上の写真がそれです。その頃の造りに関する資料もいくらか残ってはいますが、尺貫法の時代で「匁(もんめ)」なんていう単位で記録されているので、何か実感がわきません。

でも、酒造の苦しい時期に自身で書いている肉筆なので、そこにいるような親近感を感じます。同じようにもがき苦しんでいたに違いありません。同じ仕事をしている自分に向かっている歴史の流れを感じざるを得ません。

私が一番力をもらうのは、彼も自らが杜氏だったという事です。くじけそうな時には思い出してます。

初もと立て

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昨日出来た麹を使って、今日は酒造りの出発点になる酵母の培養を始めます。簡単に言えば、アルコール発酵のために必要な酵母をこれからどんどん拡大培養していくわけですが、そのスタータとなる酵母の原液みたいなものです。

ウーン、ちゃんと話そうとすると、やはりある程度の説明が必要ですね。いつかどこかで道筋をつけて書かなくっちゃなりませんね。こりゃ大変だ・・・。蔵の中ではいくつもの、いや全ての工程が同時進行していますから、「今日はこれをやりました」なんていうことだけを書いていると、だんだんこんがらがっちゃうだろうなぁ。まあ、今日のところはそれはおいておきましょう。

その酵母の原液みたいなものの事を「もと」と呼びます。お酒のもろみの元になるという意味でしょう。漢字で書くと「とり偏に元」と書きます。「とり偏」と言っても「鳥」ではなく「酉」です。ですから、
「酉元」
です。これを一つの漢字だと見てください。「酉」はそもそもお酒の意味ですから、お酒の元という意味ををそのまんま字にしたような漢字ですね。「酉」は確かとっくりの意味の象形文字だったと思います・・・うろ覚えですいません。

その他には「酒母(しゅぼ)」と言ったりもします。これもよく意味の分かる表現になってます。

その「もと」の仕込みのことを「もと立て」と言います。使用するお米の総量で100kgの少量です。それに同量くらいの水と昨日造った麹が必要です。この「もと」の中で、酵母菌を純粋に培養していくのです。

上の写真では小さなタンクに蒸米が仕込まれていて、その真ん中に円筒形のものが見えます。これはタンクの底までただの筒になっていて、底から水分だけがしみ上がってくるようになっています。その水分をひしゃくですくって周りの蒸米にかけてやるのです。「くみかけ」と呼びます。そうすることで、酵母をはじめ様々な成分が蒸米全体に行き渡るので、蒸米の分解や発酵がスムーズに進行するようになります。

わが社では、もとを仕込んだ当日の夜中までこの「くみかけ」をやりますから、今日のこのブログも「くみかけ」の合間に書いてます。夜の仕事が多いんです・・・。

この「酉元」が今後どうなっていくかはまたレポートすることにしましょう。ところで、この「酉元」の「もと」になる酵母菌はいったいどこから来るのでしょうか?

答え・・・買ってくるんだな、これが。昔は蔵の中にふわふわ浮遊している酵母を、ある神業とも言える方法で培養していました。この辺の解説はは今後のお楽しみにしておきましょう。

初出麹

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11月5日にむろ(麹を造る部屋)に引き込んだ蒸米が、今日麹になって出てきました。ムロから完成した麹を出すことを、「出麹(でこうじ)」と言います。写真がうまく撮れてなくてすいません。やっぱ携帯じゃダメだね。

さてさて、洗い付けにチト失敗した蒸米でしたが、出来はどうだったでしょうか?
ふむふむ、菌糸の様子は、味は、香りは・・・。
まずまず、香りも立って味もある程度のった出麹になりました。思ったよりいいじゃん。

まだ造り始めなので比べようもないのですが、もう少しすると毎日出麹があるようになります。すると、昨日は良かったのに今日はなんとなくイマイチと感じたり、オォッいいぞ!と思ったり・・・。毎日麹の出来を見て一喜一憂してしまいます。出来が悪いと夕飯を食べに家へ帰ってもムスッとしているみたいです。ゴメン!

何がいい麹かなんて、実はよく分かっていないのです。経験上「こんなの」的なものはありますが、その麹についての化学的な分析値だけからはあまり確定的なことは言えません。いい酒を造るのが最終目的ですから、その酒質の実現のためにどんな麹がいいかは長年の経験が教えてくれるのです。

まず、何がいい酒かという出発点から人それぞれでしょうし、時代の流れの中で変遷もあるでしょう。そんなところから考え始めたら理想の麹なんて「おれがルールブックだ」くらいの割り切りがないと、まるで雲をもつかむ様な話になってしまいます。だから、酒造りは杜氏の一人一芸の世界だと言われるのです。

私も前の杜氏から教えられ、いろいろな杜氏さんからも話を聞き、自分の経験を踏まえてひとつの形を追い求めていますが、そこにはなかなかたどり着けない。着けたと思ってもまだ先があるんでしょうね。

化学分析や機器による分析は、分析対象についてしか分からないし、何より時間がかかります。どんなに有用な情報でもそれが生かせる段階で手に入らなければ意味がありません。しかし人間は「五感」というすごい能力を持っているのです。

「み・か・く・さ・き」と覚えています。
「見て・嗅いで・食って・触って・聞く」です。
出麹の時に、麹菌の色や菌糸の伸び方を見て、麹の匂いを嗅いで、麹を口に含んで食べてみて、麹を手で触って、こぼれ落ちる麹の音を聞くのです。

この五感をフル稼働して得られる情報は、一瞬にして得られるし、様々な内容を含んでいるし、ある意味で機械なんかより正確です。人間は本来とんでもない能力を持っているんじゃあないかと最近思っています。

出麹から話がそれました。明日はこの麹を使って酒造りの出発点になる酵母の培養を始めます。

そういやぁ、第六感なんてぇのもあるなぁ・・・。

断髪式

今日丸坊主にしました。5分刈りってやつ。あーーースッキリした!

丸坊主大好きです。石鹸でごしごし洗って、ジャーっと流して、手で払えばタオルで拭かなくていいくらい。余計なことを一切考えずに済むのがいい。ヒゲも剃らなくなっているから、お風呂に入っている時間が短くなりました。これもまた楽。

一番はむろ(麹を造る部屋)で汗だくになってもお構いなしでいられることです。作業内容によっては室温が40℃くらいになるので、バスタオルがすぐにグッショリになるほどです。髪の毛なんか気にしていられません。頭から噴き出す汗をすぐに拭くことが出来ます。

私の中学校時代は、男子は全員丸坊主だったので、小学校の6年の頃には丸坊主にしていました。それから高校時代、1年間の浪人時代、合計8年間くらいはずーっと丸坊主でした。女房と娘のお許しが出れば、今でも1年中丸坊主で構わないのですが、どうもお二人ともお嫌いな様で・・・。

ただ、髪が薄くなってきたらどうしましょうかねぇ。先日も床屋のオヤジが(彼も職業柄、丸坊主は推奨しない)
「髪の毛薄くなってきてんじゃねぇか?」
なんて、ギクリとするようなことを言うので、考えておかねば・・・。ちなみに私の家系は男系全て禿げます。厳然とした事実なので、女房にも覚悟しておくように今から言い含めています。

でも、床屋のオヤジには悪いんですが、ホームセンターで買った2980円の電気バリカンを何年も使っているので、散髪代はほとんどタダです。普通に行けば1回4000円もとられるんだから、その点も大きな魅力じゃあないですか。一晩分の飲みしろくらいにはなりますからね。

今日は面白がって娘も少し刈ってくれました。代わる代わる髪の毛を切るなんて、正に相撲取りの引退の時の断髪式じゃないですか。私の場合「お疲れ様」じゃなくて、「もう逃げらんないよ」という意味ですけどね。

今晩は麹の温度が上昇するのが遅いみたいです。これからもう1回手入れ作業をしなくっちゃだから、寝るのも遅くなりそうです。

初こしき

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きのう米洗いをしましたから、今日は今期初めての蒸し作業がありました。「初こしき」と言います。「こしき」とは漢字で書くと「甑」で、蒸し器とかセイロといったような意味です。

酒造りに使う米は全て蒸します。私たちが口にするご飯は炊く、つまり煮るわけですが、米の下で水を沸騰させて、立ち上る蒸気で米を蒸すわけです。そのでっかい蒸し器のことを「こしき」と言います。そのこしきを初めて使う日ということです。

今回蒸した米は麹になります。蒸米は「むろ(麹を造る部屋)」へかつぎ上げて、床の上に薄く広げて少し乾かします。それから「もやし」と呼ばれる麹の種を蒔いて、ちょうど良い乾燥状態の時に、最適な温度にして、こんもりと盛り上げて布で包んでおきます。明日の朝には麹菌が発芽して、米の表面に少しだけ白い斑点ができるくらいになります。

写真は「むろ」で薄く広げられた蒸米です。今日は50kg引き込みました。多い日は120kgくらいのこともあります。蒸し上げている写真なんかもとれば良かったでしょうが、日曜日で蔵人も少なくとても余裕がありませんでした。スイマセン。

わが社にはこしきは2台あります。ひとつは少量を丁寧に蒸す場合に使う、少し小さなこしき。今日使ったのはこちら。もうひとつは大量に蒸す場合に使う大きいやつです。

麹の製造には細心の注意を払います。麹の出来不出来で酒の味が変わってしまうからです。よく夜も寝ないで作業をする蔵人の写真なんかが雑誌等に出ますが、それは麹の製造過程の図です。それほどまでに気を使うのですから、当然麹用の蒸米にも相当の注意を払います。丁寧に均一にその後の工程に支障のないように蒸さなければなりません。そのような時には小さなこしきを使います。

昨日の洗米で吸水の少ない米が多かったからでしょうね、蒸し上がりは少し硬め。あまり硬いと麹菌がうまく米の内部に食い込んでいきません。逆に軟らか過ぎると、米の表面ばかりに菌糸が伸びてしまって、これもうまくない。ビミョーなんだなこれが・・・。

さてさて、2日後にどんな麹が出来ますか、ここからが腕の見せどころっと。

洗い付け

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今日から米洗いが始まりました。もう、逃げも隠れもできません。今日から蔵に泊まりです。だから、ブログも夜中に書けます・・・が・・・眠いな・・・。

酒造りの手順はこれから順々に紹介するとして、とりあえずやり始めたことからできるだけ書いていきますね。本当はまとまって書いておきたいことももう少しあるのですが、忙しくなってしまうとどうしても日記風にならざるを得ないでしょうねぇ。

その年の造りの一番最初の米洗いを「洗い付け」と呼んでいます。米は必ず蒸す前日に洗いますから、明日は必ず蒸すわけです。

なぜ米を洗うのかというと、酒造りに使う米は普通の飯米を使うにしても、美山錦のような酒造好適米を使うにしても必ず精米します。それも、食用にする時のように5分搗き(外側の5%を捨てる)なんてもんじゃなくて、40%くらいは削って捨ててしまいます。大吟醸なんかは60%以上削ってしまいます。

その際にどうしても米の表面に糠(ぬか)が残ります。この糠が後々の工程に悪い影響を及ぼすため、それを洗いとってしまおうということです。ちなみに、40%捨てると言っても、その糠は家畜の飼料になったり、米の芯に近い部分の色の白い糠はおせんべいになったりするので、本当に捨ててしまうわけではありませんよ。

洗い方は様々ですが、丁寧にやるのならば一定量ずつざるにとって、手で洗ったり専用の機械で洗ったりします。わが社では泡で洗うタイプの洗米機を使っています。

「洗い付け」で問題なのは、その年の米の性質がまだ分かっていないために、どのくらい米が水を吸うのか分からないということです。蒸す前に米にどれくらい水を吸わせるかは、その後の工程に大きく影響をする、重大な問題なのです。本当に。

それで、今年の「洗い付け」は・・・失敗しちまった。

洗米機のホースに穴が開いてたりなんかして、うまく洗えなかったのも原因ですが、吸水率が多過ぎるざるがあったり、少な過ぎるざるがあったり・・・。近年にない失敗でしたね。それでも手当ての方法はあるので、何とかしておきましたけどね。上の写真は、水を吸いすぎた米を、すのこ板の上に広げて乾かしているところです。情けない・・・。

最初からガツンと酒の神様にやられましたね。
「そう簡単にはいかんぞぃ」って。

中央アルプスの紅葉

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あまりにきれいだったので、写真をとりました。携帯のカメラなのでよく映ってませんが、絶景です。電線が邪魔ですいません。ついでに今日の洗濯物の様子。天気のよい日のもの干し場は私の好きな場所のひとつです。

こんな日の朝早くに、駒ケ岳ロープウェイで中央アルプスを登っていくと、朝もやの中に赤や黄色の葉が浮かび上がって、それはそれはきれいです。

ロープウェイの山頂駅にも信濃鶴を納めているので、配達に借り出されることがあります。荷物を上げるのは、始発よりも1本早い、従業員の方々が出社する便になります。第1便よりもかなり早い時間なので、日の出直後のようなタイミングに遭遇すると、圧倒的なスケールで紅葉を眼下に感じることができます。役得でしょうな。

上から見下ろせば、南アルプスの向こうに富士山の頭が見えることもあります。日本の屋根が長野県なんだと感じられます。ちなみに、元旦の初日の出がこの富士山の頭から出るというので、毎年元旦にはどこかの局の中継が来てるみたいですし、お客さんも結構登られるみたいですよ。運良く快晴に近くなければダメですけどね。

元旦にもロープウェイは動きます。よっぽどのことがない限り、365日運行しているというのもすごいことです。今年は長野県の大雨災害の影響で道も通れなくなったりして、観光客の数は減ってしまったみたいですが。

しかし、伊那谷なんて狭いものです。学生時代に、鳥瞰地図と言うのか、あの立体的になった日本地図のかなり大きなものを見たことがありました。
「こんなとこ住まねぇよなぁ!」
と指を刺したところが、ちょうどわが故郷のあたりで、思わず指を引っ込めたことがありました。東京に出ていたので、
「俺って、すごい所に住んでたんだ!」
とびっくりするやら、何かうれしいやらでしたね。

いい所に生を受けたと思います。そして、いい所に蔵があると思うのです。中央アルプスと南アルプスに挟まれた、この狭い伊那谷が蔵そのものです。自然が酒蔵なのです。いい酒ができるに決まってるって。

もう少しすれば、山頂に雪が降るでしょう。山頂が白く山麓が紅葉の、またいい絵になります。すると、酒造りの本格シーズン到来です。

信濃鶴ってどんなだ?(1)

祝!ブログ1ヶ月記念!
このブログを始めて、何とか1ヶ月が過ぎました。三日坊主にはならずにすんでますね。

何か取り留めもなく書いてしまっていて、まだどういうスタイルがいいのか分からないでいますが、追い立てられるように1ヶ月が過ぎてしまって、肝心なことを書いていませんでした。
「信濃鶴は純米酒だー!」
とは書きましたが、具体的にどんな酒なのかはっきり書いてなかったように思います。どんな酒なのか教えてほしいというメールもいただきましたので、とりあえず簡単にまとめてみます。

(1)信濃鶴は全量純米酒です。
純米蔵の宣言をしてから5年目になりますが、当時は全国に純米しか造っていない蔵は数社しかないと言われました。今では10社以上はあるようです。全国では造り酒屋は1400社くらいあるらしいですからまだまだ少数派ですが、清酒の販売数量などを見ると純米酒だけは伸びている傾向にありますから、今後は増えていくんじゃないでしょうか。

わが社には「信濃鶴」しかブランドはありませんから、当然純米酒しか造っていないことになります。

ちなみに全清酒販売量に占める純米酒の割合は、純米吟醸系を含めても10%に満たない数量です。皆さんもうちょっと純米酒を飲みましょう!

(2)信濃鶴は全量地元産の美山錦を使用しています。
「美山錦」というのは酒造好適米といって、お酒造り専用の酒米です。詳しくは今後機会があれば書きますが、酒米というのは飯米と違って食べてもおいしくはありません。酒造りに適した成分と、形状をしています。

蔵のある駒ヶ根市の隣りに飯島町という町があります。この飯島町は長野県内でも有数の酒米生産地帯です。ここの美山錦を全量いただいています。

(3)信濃鶴は全量長期低温発酵もろみです。
毎晩飲める、すっきりとした酒質を目指しています。これまでの純米酒のイメージである、酸度が高く少し重めのどっしりとしたタイプでは、いつも飲む酒としては候補に挙がらないのではないかと考えています。

その酒質の実現のためには、どうしても吟醸造りに倣った長期低温発酵が必要になります。そのために、醸造用のタンクを全て温度管理が可能なタンクにしてあります。

税務署の定める規格だけから見ると、全量純米吟醸ってことになっちゃうんですけど、それも言い過ぎかなぁと思うので、ただ純米酒として表示しています。

(4)信濃鶴はほぼ全量地元販売です。
酒造株式会社長生社は販売数量600石(1升びんで6万本)程度の小さい蔵です。昔から地元で愛されていて、地元で売れる量を造ってきました。それが良いところでもあり、悪いところでもあり・・・。

これまでほとんど県外などにも出荷していないので、95%は駒ヶ根市近辺の地元で消費されているのではないでしょうか。

とにかく、地元の人たちに普通に飲んでもらいたいので、値段も1升で1733円(税込み)です。これは昔の級別があった時代の2級酒の値段です。ちょっと安過ぎと言われています。

・・・とまあこんなところでしょうか。
「最高の品質の普通酒を地元で飲んでもらいたい!」
ということです。地元の飲み屋さんでも普通に純米酒が出てきます。私の初期の目標は達せられているかもしれない。もうたぶん駒ヶ根はなっていると思うんです。

「純米酒を日本一飲んでいるまち」に・・・。

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