専務取締役杜氏の純米酒ブログ

期せずして杜氏になっちまった造り酒屋後継ぎの純米蔵奮闘記

西駒登山(つづき)

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娘は、2日間にわたる登山からとても元気に帰ってきました。天候は悪かったわけじゃないんだけど、私が下から見上げて心配していたように、1日目はほとんど霧の中を歩いていたようです(笑)。2日目はそこそこに良くて、暑くもなく寒くもなく快適だったようです。先生方の計測によると、両日で10万歩の行程だったとか。

娘に話を聞いてみると、2日目の朝見たご来光が素晴らしかったこと。『馬の背』と呼ばれる道幅の極端に狭い稜線を歩いた時には、まるで雲海の上を歩いているような気分でとても見晴らしが良かったこと・・・は鮮明に記憶にあるようですが、その他は「ただひたすらに歩いた」という印象しか残っていないようです(笑)。

そういやぁ、私もそうだったなぁ。いよいよ『本岳』へのアタックをする時には、目の前にそれは見えてるんです。でも、その手前に『前岳(だったかな)』っていうのがあって、それを越えて行かなくっちゃならない。「もう、手前のあれでいいよー、大して高さ変わんないじゃんかー」とか、みんなでぼやいたのを覚えてますよ(笑)。

いったいいつからこの登山が続いているのか知りませんが、かつて大正時代には大勢の生徒が亡くなった遭難事故も起きています。『聖職の碑(せいしょくのいしぶみ)』っていう映画にもなっていますが、現代だったら、そんなことになれば西駒登山は翌年から中止っていうことにもなりかねないんじゃないですかね。

それでも続けてきた、この地域の教育者や子供の両親や地域の大人の意図っていうものが、しっかりとあると思うんです。学校としても負担は大きいし、親としてもお金がかかるし、地元の人たちがみんな心配して見守っているのにやるんですからね。それは、山を知ってほしい、自分の生まれ育った土地のことを理解していてほしい、郷土を愛してほしいという一点にあるんでしょう。

大半の子供にとってこの西駒登山は、もう一度登りたいとまでは思わないにしても、一生の中のいい思い出になるはずです。この登山によって刻み込まれた経験は二度と忘れないでしょうし、県外の友人との会話の中で山国出身者としての自信にもつながると思います。中高齢者の登山ブームとはいえ、本格的な登山を経験した人は、そうは多くないはずです。

駒ケ岳がどこにあってどのくらいの高さなのかを『知って』いるのと、そこに登ったことがあって『知って』いるのとは全然意味合いが違います。私たちはキリンのことを知っているつもりでいますが、その息遣いも、触った感じも、肌の匂いも知らないのと同じです。山に対して思い上がっちゃいけませんけど、一度『征服』したという実感は何物にも代え難いんじゃないですかね。

歯ブラシは持ち物リストにないんです。山小屋で出されるカレーライスはとても不味いと評判です。登山中のトイレは雑木林の中です。でもそれは、山小屋では水が貴重だから歯磨きなんかしないんだとか、標高が高くてイモもご飯も上手く炊けないんだとかいう、平地での常識が通用しない世界にいるっていうことです。そういう山の掟を実感して帰ってくるんですよね。

思ったよりもずっと元気に帰ってきた娘でしたが、ご飯を食べながらひと通りの行程を私たちに息せき切ってしゃべり尽くした後は、落ちるようにして寝ちゃいました(笑)。ひとつの大きな山場を越えて、彼女も少し成長したことでしょう。女房もホッとした様子でしたが、心配だ心配だと言う割に、昨日の夜は私に「娘がいないから飲みに連れてけ」とか不埒なことを抜かしておったんですけどね(笑)。


□□□ ちゃんと飲みに連れてきましたよ □□□
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西駒登山

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私のカワイイカワイイ愛娘が、今登山に行っています。地元の赤穂中学校では、中学2年生の時に、恒例の学校行事として中央アルプスの駒ケ岳へ登山をするんです。駒ケ岳っていう名前の山は日本各地にあって、ここの駒ケ岳は西駒とも呼ばれるもんだから、私たちは西駒登山って呼んでいます。ちなみに『赤穂』は『あかほ』と読みます。討ち入り浪士で有名な『あこう』ではありませんから、お間違いのなきよう。

昨日は、朝の3時半に学校を出発して、山の麓の登山口までバスで行き、そこから頂上を目指して歩き始めたようです。駒ケ根市の大いなる観光資源の駒ケ岳ロープウェイを使えば、あっという間に標高2600メートルまで行けちゃいますが、下から歩くとなるとかなりの行程になります。朝早くから行動しないと、山小屋までたどり着けません。

私も30年以上昔に登ったんですよ。この伊那谷にあるほとんどの中学校では、同じように西駒登山を実施しています。高校に入学して、離れた地域の連中と話しても必ず登山の話は出ますから、この地域の特徴ある学校行事だと言っていいんじゃないですかね。目の前が山みたいな環境じゃないと、そんなこともできないでしょうからね。

3000メートル級の山に登るんですから、それはもう遠足っていうレベルをはるかに超越していて、何の準備もなしに登るっていうわけにはいきません。何週間も前から登山用リュックに教科書以外の重りを余分に入れて、登下校時に背負って歩いて訓練をします。運動部じゃない子は、放課後に階段の上り下りもやったみたいです。

道具だって揃えなくっちゃなりません。下手をすれば命にかかわりますから、それなりの装備を買うわけです。リュックに登山靴にカッパにと、今回限りしか使わないような道具も多いんですがそれなりのものを用意します。あまりにもったいないので、我が家ではお父ちゃんの出張用のリュックを使わせてます(笑)。「出張にリュックで行くのか?」とか余計なことは聞かないように(汗)。

この時期は梅雨が明けるか明けないかのような頃合いで、案外雨にたたられることも多いようなんですが、今年はちょうど梅雨明けした直後で雨が降ることはなさそうです。しかし、平地と山では天候は全く違いますから、昨日も一日中山の方を気にしていたんですが、雲がかかることが多くて、いい景色を楽しめてるのかどうか心配してます。

本当は、もう少し後の方が登山をするにはいいんですが、そうなると山全体がハイシーズンになって、他所から来る登山客とバッティングするようになっちゃうんですよね。それを避けてはいるんでしょうが、雨の中をずーっと歩き通した生徒は、金輪際登山はやらないと思っちゃうなんて話も聞きますから、なるべくいい時期に登らせてやりたいですね。

私の記憶にあるのは、2日目の朝早くに起きて、山小屋から少し登った山頂で見たご来光ですね。眼下に真っ赤に染まる雲海を見下ろして、伊那谷を隔てて反対側にある南アルプスから登る太陽は感動的です。でも、これは別の時の印象だったかも・・・何せ、30年以上経ちますから、ただでさえ記憶があいまいなのに、いつのことだったかよく思い出せません(笑)。

やっぱり、この西駒登山には、地元で育った人間としてとても思い入れがあるもんだから、1日分の記事じゃ書ききれませんね。娘の報告も聞いて、明日もう少し続けましょう。


□□□ 元気で帰ってこいよー! □□□
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経営フォーラム(おまけのつづき)

昨日は、バウムクーヘンの作り方講座みたいな話になっちゃってすいませんでした(笑)。私があのお菓子工房を見て思ったのは、たった一品に秀でた洋菓子部門なのに、会社の業績をガンガン伸ばすほどのパワーを出すなんてスゲーなーっていうことでした。そんな事を言おうとしてたのに、バウムクーヘンの作り方が面白かったもんだから、ついついそっちの説明に力が入っちまいました(汗)。

ある一芸に関しては絶対に誰にも負けない技術を持つっていうことは、私の長年の夢でもあります。お酒造りの技術なんて、今の時代、ほとんど教科書的な作り方は公開されていて、昔のように秘伝みたいな部分はごく一部だと言っていいと思います。ですから、お酒造りの技術っていう大きなくくりでは、誰にも負けないなんていう高みに登ることは不可能でしょう。

しかし、ある特定の造り方であるとか、特定の種類であるとか、限られた味の範疇であるとかに関しては、それだけを追求し続けることで、特化した独自の領域を作り出すことはできるかもしれません。お酒は嗜好品ですから、それが一番であるとか二番であるとかいう順位をつけることができる世界ではありませんが、それがある程度の人の支持を受けるのであれば、唯一無二の領域は目指すべき価値のあるものだと思います。

お酒の場合にはちょっと分かりづらくなっちゃうかもしれませんが、このバウムクーヘンの例は単純です。しかし、当然のことながら、バウムクーヘンが美味しいからっていうだけの理由で会社が急成長できるわけなんてありません。そこには経営サイドによる、周到な経営戦略の下地があったことに疑いの余地はないと思います。

まぁ、その部分は今回は置いといて、いろんな一芸があるっていうことを今回の経営フォーラムを聞いていて思ったんです。何も作り出すものを対象として一品なり一芸なりでなくてもいいって感じたんですよね。例えば、特別に美味しいバウムクーヘンとか、絶品の純米酒っていう目に見える製品や商品ばかりじゃないっていうことです。

お好み焼きの『千房』さんの場合、当然そのお好み焼きは平均レベルよりは高い美味しさでしょうが、社長さんの話を聞いていると、この会社の一芸は人材教育かなぁとか思うわけです。お話を聞いていると、きっとこの会社の社員には社長の経営哲学や人生経験がしっかりと行き渡っているんだろうと思われました。

フォーラムの中で話題に上った病院では、とてもすばらしい医療がなされているっていうお話でしたが、聞いているとホスピタリティっていう一芸があるように感じましたね。それは患者さんに対してばかりではなく、一緒に働く同僚にまでも向けられていて、患者さんも働いている看護士の皆さんも、他とは比較にならないほどの満足感をその病院なり病院長さんに持っているんだそうです。

コメントにもいただきましたが、商品としての一点集中はヤバイ場合もあるでしょう。それが下火になった場合とか、更に上をいく競合商品が出てきたような場合には、一気に落日の憂き目を見ることになりかねません。でも、一芸に秀でるというスタンスなら、その他の分野への応用もできるでしょうし、物事の捉え方の要領が次の一芸の獲得に役に立つんじゃないですかね。

ある居酒屋の名物料理は『つくね』なんです。ほとんどのお客さんはつくねを注文します。そこの店主が、「このつくねさえあれば、オレは女房と従業員くらいはどこででも養っていけるさ」っておっしゃってました。「この純米酒さえあれば、オレはこの会社をずっとやっていけるさ」って言えるようなお酒を目指してるんですけどね。きっと、そんなお酒はないんでしょうから、それに向かって努力する姿勢こそが一芸足り得ればいいのかもしれません。


□□□ ようやく、このシリーズ完結です(汗) □□□
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経営フォーラム(おまけ)

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最近のこのブログは(つづき)ものが多いですね(汗)。そして、最後に(おまけ)で終わるというのがお決まりのようで・・・(笑)。今回、この『経営フォーラム』の話題の最後は、当日の話題とは全く方向違いなんですけど、溜まっていた写真を見ていて思いついたことを書いて締めくくりにしようと思います。

この写真、何を作っているのか分かりますか?誰もが知っている洋菓子です。そうです、シュークリームですね・・・ハイ、そこのあなた、いくらこのブログがだらだらブログだからって、適当に読み流しているとシュークリームで納得しちゃいますよ(笑)。「岳志さんのブログは長いから、最初に興味がわかないと後は飛ばします!」ってなことを言われていますから、ちょっとサプライズを埋め込んでみました(笑)。

シュークリームじゃなくって、バウムクーヘンですね。このお菓子屋さんで見ていなかったら、私はこの写真からじゃぁ分からなかったでしょうねぇ。ちょっと分かりづらいですが、後ろにある機械の中で、長い棒に生地を塗りつけながらそれを焼いているんです。薄く塗っては少し焼くっていうことを何回も何回も繰り返すから、あの年輪みたいな模様ができるっていうことが初めて分かりましたよ。

あの機械の中では、そういう棒が何本も回っているんですが、そのうちの1本が完成すると、一番手前に写っているような、細長い筒状のケーキの生地みたいなやつができるわけです。そして、中の人が作業をしているように、それにある一定の幅でクルクルと回しながら切れ目を入れていくと、通常私たちが目にするバウムクーヘンの出来上がりです。

この出来たばかりのバウムクーヘンが飛ぶように売れていくわけです。それも、賞味期限はその日限りだっていうのにです。『おひとり様3個まで』って書いてありましたが、3個買いをしていく人が多かったですよ。それほど値段も高くなかったし、何でこんなのがって思ったんですが、東京のデパートでは行列ができるんだとか・・・。

食べてみると、私たちが知っているバウムクーヘンとは違って、フワフワした食感なんですよね。普通のバウムクーヘンって、出来上がったものから空気を抜くような工程を経て、あの硬さのものになるらしいですね。そういう工程を経ないとすぐに型崩れしちゃうもんだから、賞味期限が当日までっていうことになるんですかね。

このお店は、滋賀県近江八幡市にある『たねやグループ』の洋菓子部門『クラブハリエ』さん。和菓子専門店だった『たねや』さんが洋菓子も作るようになって、近年業績はうなぎ上りだっていうことです。この15年で、売上は約3倍になっているそうです。簡単に3倍って言っても、173億円とかいう世界なんですけどね(汗)。

その原動力になっているのが、このバウムクーヘンらしいんですよね。洋菓子の会社はいくらでもあるでしょうが、きっといろんな種類を作っているのが一般的でしょう。しかし、このクラブハリエさんは、とにかくバウムクーヘンがメインなんだそうです。それしかないなんていうことはないでしょうが、クラブハリエって言ったらバウムクーヘンって答えが返ってくるくらいに特化しているっていう話でした。

なんか、バウムクーヘンの作り方みたいな話になっちゃいましたが(汗)、私がここを訪れた時に思ったのは、一品に秀でるっていうことはすごいパワーなんだなぁということです。それが本題のはずだったのに・・・仕方ないから、もう1日だけこの話にお付き合いください。明日につづきます。


□□□ 飽きちゃうんだよねぇ、こういうネタは(汗) □□□
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経営フォーラム(つづき)

しかし、私がこういう講演を拝聴していつも思うのは、私の場合には、こういう話をいくら聞いても99%は身には付かないっていうことです(涙)。自分で気が付いたようなつもりになっても、それを実践して成果に結び付けられたことはこれまでありません。決してこういう講演会に対して否定的になっているわけじゃぁありませんし、聞かないより聞いた方がいいに決まっているとは思っていますけどね。

お話を聞いたその日は覚醒状態になっていて、何か視界がクリアになったような気がしているんですが、日を追うごとに冷めていっちゃうんですよねぇ(汗)。ただし、今自分が実際にやっていることと同じ考え方が話題の中に出てくると、大きく共感できて、背中を押してもらったような気にはなりますね。自分は間違ってないかもしれないってね。

自分でつかみ取ったわけでもない成功体験を、あまり人からたくさん聞いちゃうと、知識ばっかり増えちゃって、「そんなこと知ってる」とか「これはあの人が言ってたことだ」っていうことになって、自らの内から湧き出た気付きに対する感度が低くなっちゃうんじゃないかなぁ・・・っていうのは、私の編み出した言い訳ですけどね(笑)。

『知っている』っていうことに関しては、そのレベルに相当の開きがあると思います。「キリンって知ってる?」って聞かれたら、大抵の人は「知ってるよ」って答えるはずです。「背が高くて、首が長くて、色が黄色くて・・・」ってね。でも、触った感じだとか、体の匂いだとか、どんなものを食べるのかまで知っている人は少ないでしょう。

我々が知っていると思っていることなんて、ほとんどがその程度のことなんじゃないかな。ごくごく中途半端な知識でしかないんですよね。知識がないよりはあった方がいいっていう考え方も当然あるでしょうが、その知識が邪魔をすることだってあると思うんです。本当にそれを自分のものにしようとした時にね。

全く知識もなく人生で初めてキリンを見た人と、図鑑で知識が中途半端に頭に入っている我々では、キリンを目の前にした時の観察力が断然違ってくるんじゃないですかね。「何だこのヘンチクリンな生き物は?」っていうのと、「思ってたより大きいんだなぁ」程度の見方では、家に帰って子供に話して聞かせる自分の中に残っているものの深さが全く違う。

体験を飛び越えて頭に入ったことなんて、実は身になんか付くわけないと思うわけです。こういう講演会の場合はある意味で、その人を目の前にして、その人の言葉によって、その人がやってきたことを疑似体験しているっていう感じなので、その時は半分リアルなのかもしれません。でも、それが終わると、単に頭の中だけの話になっちゃうし、2回目に聞いたら「もう知ってるわこの話」っていうことになるのも確かです。

ですから、今ではこういう講演会は、音楽のコンサートを聴きに行くようなつもりでいくんです。音楽を聴くと心が洗われるような気持ちになるじゃないですか。それと同じで、少しモヤモヤとしていた部分に喝を入れてもらいに行くような感じでしょうか。だから、気持ち良かったら寝ててもいいんです(笑)。

もしも、聴いている人が何か楽器を習っている人だとしたら、どんなに立派な演奏を聴いても自分の技術が向上するわけじゃぁありませんよね。その技術をモノにするためには、結局は自分で必死に練習するしかないわけです。でも、素晴らしい演奏を聴いておくことは、今後の上達にきっと役に立つことでしょう。

いろいろ屁理屈を並べましたが、そうじゃない人もたくさんおられると思います。こんなこと言ってるっていうこと自体、私の力量の狭さを露呈しているのかもしれません(汗)。いずれにせよ私のようなタイプの人間は、こういうためになる話は、人生で数回聞くくらいの方が自分のものになるのかもしれませんね(笑)。


□□□ こりゃまたacbさんに怒られるな(笑) □□□
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